左からジョルジュ・メンデス、C・ロナウド、C・ロナウド・ジュニア、C・ロナウドの母・マリアさん [写真]=Getty Images
編集部が独断で推薦!「秋に観たいサッカー映画」
「あいつは映画のために脱いだ!」
2014年のチャンピオンズリーグ決勝後にそんな話が出たのを皆さん覚えていますか?
この噂の真偽がどうかはわかりませんが、実際に映画で登場します。それがクリスティアーノ・ロナウドの自伝的ドキュメンタリー『RONALDO/ロナウド』。サッカー選手としてだけでなく、父親として、一人の息子として、ピッチ内外での様々な姿が描かれています。
CR7ファンだけでなく、サッカー好きな人ならそれだけで見る価値十分ですが、個人的にはこの映画、ロナウドだけでなく、“ジョルジュ・メンデス”という人間が垣間見える作品だと思っています。
ジョルジュ・メンデス――。サッカー業界でナンバーワンの代理人でロナウド以外にも数多くの選手・監督を顧客に抱えています。で、このメンデス。映画の中ではとにかく電話、電話、電話。複数の携帯を手に持ち、バッテリーは欠かせず、ベルが鳴りっぱなしなんです。
映画の中でも「電話は僕の命」とキッパリ言っているし、子どもを抱えながらも電話。いかに代理人という職業が24時間365日必要とされているか、わかります。
ともすれば「銭ゲバ」「守銭奴」「クラブの敵」などと捉えられがちな代理人。映画の中で出てくるメンデスは、確かにお金や名誉へのこだわりが時折顔を覗かせていますが、選手のことをビジネスパートナー以上に考えている様が見て取れます。
個人的なおすすめシーンはエル・クラシコ勝利後の身内での祝勝会。そこでのメンデスのスピーチは、もちろんカメラも入っているためにセルフ・プロデュースはしていると思いますが、冗談を交えつつ、ほっこりする内容です。
メンデス以外にもリオネル・メッシが登場してきたり、息子を学校に送り届けるシーンがあったり、ロナウドの母親が美容院で身だしなみを整えているシーンなど、いかに“ファミーリア”を大切にしているかがわかります。今、ロナウドはプライベートの問題を抱えて(本人は否定している)いますが、いかにスターの彼を取り巻く環境が異質で、一挙手一投足を世間が注目し、メディアが騒がれているかも見えてきます。
スポルティングのロナウド、マンチェスター・Uのロナウド、レアル・マドリードのロナウド、ユヴェントスのロナウド、ポルトガル代表でのロナウド――。どのロナウドでも、少しでも関心を持っている方がいたら、今まで知らなかった、誤解していたロナウドが見られるかもしれません。放映時間は90分とお手頃ですし、ぜひお手に取ってみては?
文=小松春生