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【Jリーグラボ】奥寺氏、選手の欧州挑戦は「甘っちょろい考えでは入って行けない」

2018.03.15

 日本人初のプロサッカー選手として本場ドイツで活躍し、現在は横浜FCの会長を務める奥寺康彦氏が登場し、自身のサッカーキャリアを振り返った。

 1977に古河電工サッカー部からブンデスリーガのケルンに移籍し、ヘルタ・ベルリン、ブレーメンでも活躍した奥寺氏。ドイツで通算9シーズンプレーし、86年に古河電工に復帰したのだが、奥寺氏はこの時の経緯を教えてくれた。

「(日本への復帰は)呼び戻されたんじゃなくて、僕から帰りたいと言った。(古巣の)古河電工とも話をしたし、他からもオファーがあったんだけど、いろいろ話をして、古河電工がプロとして受け入れてくれた。アマチュア契約だったら復帰しなかったかもしれない」

 プロ選手として古河電工に復帰するにあたって、奥寺氏は日産自動車サッカー部所属だった木村和司氏とともに、日本サッカー協会から「スペシャルライセンスプレーヤー」に認定された。

「協会がスペシャルライセンスプレーヤーとして認めてくれて、僕は古河電工とプロ契約した。(ドイツ時代に比べると)収入はだいぶ下がったけど、会社としてはかなり譲歩してくれて、普通の社員選手より給料はよかった。ただ、社員は福利厚生があって守られている。プロになればいろいろなことを自分でしていかなければならないから、リスクはあるよね」

 日本人で初めてヨーロッパでプロ選手として活躍し、日本国内でもプロ選手の先駆けとなった奥寺氏。彼の現役当時とは大きく様変わりした今の日本サッカー界をどう見ているのだろうか。

「天然芝のグラウンド、人工芝のグラウンドが増えてきて、環境的な部分ではよくなっている。でも、ヨーロッパには追いつけないと思う。なぜなら、ヨーロッパも同じように進化しているから。だから日本サッカー界は覚悟を決めて、いろいろな国の選手育成方法を集約して『これを小さい頃からやっていこう』というものを作らなければならない」

 実際、ドイツはこの数年間で大きく様変わりしている。以前はフィジカル重視のサッカーをしていたが、今ではテクニックやインテリジェンスを備えた選手が続々と輩出され、世界の最先端を行っている。

「ドイツはすごいよ。あれだけ続けてきたサッカーを『これじゃダメだ』と捨てたんだから。その上で『こうしなければいけない』というものをみんなでやった。実際にうまい子が出てきている。みんなテクニックあって、細かいパスもロングパスうまい。多彩なプレーができるようになったのはすごい」

 では、日本がヨーロッパのレベルに追随するためには、何が必要なのだろうか。

「ヨーロッパでプレーしている選手が日本に来てくれるのがいい。そういう刺激がないと難しいと思う。向こうは毎週のリーグ戦やヨーロッパのカップ戦でタフな試合をしている。世界中からスーパースターが集まっているんだよ? 日本もそうならなきゃいけない。(ルーカス)ポドルスキ(ヴィッセル神戸)が来てくれたけど、ああいう選手がいろいろなチームに入ってくれると選手たちにとっても刺激になるし、要求度が違ってくる。そうすると意識も変わってくると思う」

 最後に奥寺氏は、日本の未来を担うべき若い選手たちにこのような要求をした。

「謙虚にやることが大事だと思うし、貪欲に、むさぼるような感じで吸収する気持ちが必要。常に吸収して自分を高めていかないと、ヨーロッパに勝てっこない。あれだけの環境には、甘っちょろい考えでは入って行けないからね。若い選手は技術力は上がっているけど、インテンシティーの高いプレー、激しいデュエルでボールを取りに行くプレーをもっとやっていかないと、上のレベルに行った時にできなくなってしまう。激しく行かないから相手がボールを持てて、うまく見える部分もあるだろうし、ボールを取りに行く姿勢をもっと強く見せれば、それを抜こうとして技術がさらに高まると思うんだよね。上のレベルに行ってから改善しようと思っても遅いからね」

 北海道コンサドーレ札幌の野々村芳和社長がMCを務める『Jリーグラボ』は、毎月第2日曜日の21時から放送される。日本のサッカー水準向上を目的に、毎回ゲストを招いて様々な角度から日本サッカーを分析していく。次回は4月8日(日)21時から放送される予定となっている。

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