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【Jリーグラボ】原Jリーグ副理事長が秋春制移行問題を語る「今のカレンダーのほうが絶対にいい」

2018.02.14

 Jリーグ副理事長を務める原博実氏が番組視聴者からの質問に答え、Jリーグの秋春制移行問題や昨年の浦和レッズのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)制覇について語った。

 まずは「(春秋制から秋春制への)シーズン移行はしないという結論になりましたが、どうしてそのような結論になったのでしょうか」という質問。これに対し、原副理事長はいくつか理由を挙げて説明した。まずはスケジュールの観点。


「日本サッカー協会(JFA)からは代表強化の観点や、雪国対策としてシーズンを移行したほうがいいという意見もあったが、一方で冷静に見ると、どうやっても今よりもサッカーをやれる期間が1カ月間短くなってしまう。6月、7月の一番いい時期にサッカーをやらないということにもなるので、そことのバランスをどう取るかということ。経営リスクもあるし、秋春制の通年スケジュールにはYBCルヴァンカップも入っていない。九州など温暖な地域でやりましょうという変則的なレギュレーションが提案されていて、現行のようなミッドウィーク開催ができない。そしてJFAの案では、天皇杯のスケジュールは現状のままだった。リーグ戦をずらすなら天皇杯もずらすべきだけど、それもスケジュールに入れられない。そうなると正しいカレンダーが成立しない。ということで、昨年の段階ではシーズン移行は難易度が高いのでしないという結論に達した」

 日本の社会との関係という観点から見ても、秋春制は難しいという。

「地域とどう連携していくかと考えた時に、学校のカレンダー、日本の企業のカレンダーとほぼ同じように動いたほうが、いろいろなことがやりやすいと個人的には思っています。アジア各国を見ると全部そうなっているし、ヨーロッパもサッカーシーズンに生活を合わせているわけではなくて、生活にサッカーを合わせている。ヨーロッパでも寒冷地域では日本と同じようなカレンダーになっています。そこが原点なのかなと思います。もちろん降雪地域のサッカー環境、スポーツ環境をもっとよくしていきたいという思いはありますし、それは継続してやっていきたいと考えています」

 ACLで優勝することをJリーグクラブの目標の一つにすべきだという観点で考えてみても、ACLのスケジュールにシンクロする現状のカレンダーのほうが最適だという。

「アジアナンバーワンになろうと考えるのであれば、今のほうがいい。アジアの中でJリーグが憧れのリーグになるためにも、今のカレンダーのほうが絶対にいい」

 続いては「昨シーズン、浦和レッズがAFCチャンピオンズリーグ(ACL)で優勝しましたが、Jリーグはどのようなサポートをしましたか?」という質問。原副理事長によると、JFAとJリーグが連携して「サポートメンバー」という組織を作り、可能な限り協力しているという。

「まずは人的サポート。AFCのコンペティションでの運営はJリーグの仕切りよりもすごく細かいルールがあるんですよ。だからアウェイゲームに行った時にそれにうまく対応できるように、語学に堪能でAFCの主催試合に携わったことのあるスタッフをJリーグとJFAから派遣しています」

 浦和は決勝でサウジアラビアのアル・ヒラルと対戦したが、サウジアラビアは「ビザの申請が世界一難しい」と言われるほど入国が厳しく制限される国として知られている。

「サウジアラビアでアル・ヒラルと決勝を戦った際は、ビザの申請をクラブに任せるのが難しい側面があったので、JFAがお願いに行ったり、大使館が間に入ったりという、いろいろなサポートをしました」

 ACLで何度もアウェイゲームを戦うとなると、それなりの費用がかかるもの。リーグ戦の日程との調整も必要になるが、これらの側面でも万全のサポートをしたという。

「以前はACLに出場する際にはクラブ側が資金を負担しなければならず、赤字になることも多かったのですが、そうならないようにJリーグもJFAも金銭的なサポートをしています。日程については、Jリーグの各クラブが協力してくれて、火曜日にACLのアウェイゲームが入る場合は直前のリーグ戦を金曜日開催にしたり、水曜日にACLを戦った場合はその次のリーグ戦を日曜日開催にしたりと、細かい調整もしました」

 そういったサポートの恩恵を受け、浦和は10年ぶりのACL制覇を成し遂げた。原副理事長は「監督交代も刺激になったし、当時の浦和はACLに集中しやすい状況になっていて、徹底した戦い方ができた。よくあそこまで行ったと思います。Jリーグの力を示してくれた」と賛辞を送った。

 ここで番組MCを務める野々村芳和氏(北海道コンサドーレ札幌社長)から“爆買い”で知られる中国のクラブとの実力比較を聞かれると、原副理事長はこのように答えた。

「はっきり言うと、中国でプレーしているフッキやオスカル(ともに上海上港)などのビッグネームはレベルが違います。外国籍プレーヤーは中国のほうが上だと思いますが、中国人選手と日本人選手を比べると、Jリーグのほうが強いと思います。外国籍選手が試合を決めてしまう圧倒的な力を持っていますが、試合を経験する中で、彼らを抑えれば互角以上に戦えるようになってきました」

 北海道コンサドーレ札幌の野々村芳和社長がMCを務める『Jリーグラボ』は、毎月第2日曜日の21時から放送される。日本のサッカー水準向上を目的に、毎回ゲストを招いて様々な角度から日本サッカーを分析していく。次回は3月11日(日)21時から放送される予定となっている。

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