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イタリアで得た自信を胸に…“植田2世”吉村仁志が目指すのは「相手に恐れられるCB」

2018.01.26

試合前は緊張したという吉村。チーム3点目を奪い、完封勝利に貢献した [写真]=NIKE

 DF吉村仁志(大津高)がインテル下部組織のチームを相手に、“植田ばり”のヘディングシュートを叩き込んだ。『NIKE NEXT HERO プロジェクト』の選抜メンバーは25日にヴァレジーナ・カルチョと対戦。CKのクロスに反応した吉村が高い打点で合わせた。

「海外でもヘディングを決めたいと思っていたので、セットプレーの時は狙っていました。前の試合で失点に絡んでしまった分を取り戻したかった。最悪な終わり方で帰国するのは嫌だったので、チームに貢献できて良かったです」

 安堵の表情を浮かべる吉村は、183センチという長身を生かし、空中戦で強さを発揮するセンターバック。同じ熊本県出身で、大津高校の先輩でもあるDF植田直通(鹿島アントラーズ)を彷彿とさせるプレースタイルから“植田2世”と呼ばれている。

 しかし、その力強いプレーとは対照的に、「今回の遠征ではみんなの足を引っ張ってしまって……。宿舎で『自分はダメです』とみんなに言ったんです」と弱気な言葉を口にすることがあった。特に課題としているビルドアップについては「自信がない」と声を落とす。

「縦にうまくパスをつけることができなかったら、試合の流れを崩してしまう。そんなことを考えていると、ボールを持った時に怖くなって、すぐに誰かにパスを出そうとしてしまうんです。一度失敗したら、余計にビビってしまう」

 昨年の高円宮杯U-18プレミアリーグに参加した全20チームのうち、大津高校は失点が最多の「54」。失敗が続いたり、失点すると黙り込んでしまう自分がいたと吉村は振り返る。「それがチーム全体のモチベーションを下げていた」。相手に恐れられるセンターバックになるために必要なことは何か。そのヒントをイタリア遠征で探ろうとしていた。

 そんな吉村を試合でサポートしたのが、センターバックでコンビを組んだDF吉田伸弘(阪南大学高)と、キャプテンを務めたMF谷川勇磨(ヴィッセル神戸 U-18)だった。吉村がボールを持つたびに「ここに出せ」、「ドリブルで持ち上がれ」と的確な指示を出し、攻撃に転じた際はカバーリングやポジションの位置取りを細かく修正していた。学年が一つ上の“お兄さん”たちに支えられ、吉村は堂々としたプレーを披露。得意のヘディングシュートも決めて自信を手にした様子だった。

吉村仁志

 今回、吉村が最も驚いたのは「コーチングがうまい選手はずっと喋っている」ということ。17歳の長身DFは、吉田についこんなことを聞いてしまったという。

「喋りすぎじゃないですか?」

 ピッチに立てば最終ラインから積極的な声かけでチームを引き締め、ピッチ外ではムードメーカー的な存在だった吉田は、後輩からの問いかけに「いやいや、関西ではこんなんフツーや!」と笑いながら答えたようだが、頼りになる先輩の言葉を受けた吉村は「もし失点をしても、とにかく黙らないことが大事。前がやりやすいように、自分も声を出していきたい」と目を輝かせた。

 イタリアの地で受けた大きな刺激を、早速行動で表すつもりだ。「この遠征で得たものを、大津のチームメイトにも伝えます。僕は後ろからしっかりとチームを支えて、県内3冠を達成したい」。先輩・植田も袖を通した大津の5番を受け継ぐセンターバックが、成長スピードを加速させる。

取材・文=高尾太恵子

<NIKE NEXT HERO プロジェクト>
日本サッカー協会が推し進める「JFA Youth & Development Programme(JYD)」のオフィシャルパートナーであるNIKEが立ち上げたプロジェクト。高校年代最高峰のリーグ戦である高円宮杯U-18プレミアリーグの試合を対象に実施され、毎試合各チームの監督またはコーチが、活躍した選手を対戦相手から各ポジション1名ずつの原則3名(GK or DF/MF/FW)を選出する。選ばれた選手にはポイントが加算され、リーグ終了時点で多くのポイントを獲得した選手を中心に海外遠征を行う。

By 高尾太恵子

サッカーキング編集部

元サッカーキング編集部。FIFAワールドカップロシア2018を現地取材。九州出身。

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