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故郷ペルーではなく「日本代表でやりたい」…FWシマブク・カズヨシが抱く特別な決意

2018.01.25

しっかりと時差ボケ対策をしてきたというシマブク(右)。「絶好調です!」と語る [写真]=NIKE

『NIKE NEXT HEROプロジェクト』のイタリア遠征メンバーの中に、日本代表への“特別”な思いを抱えた選手がいる。FWシマブク・カズヨシ(浦和レッズユース)だ。

 サッカー選手ならば、一度は日本代表への憧れを抱くだろう。シマブクもその一人だが、彼の故郷は南米のペルー。日本名と思わせるのは日系人だからだという。赤ん坊のころから埼玉県で育ち、「もう日本人ですよ」と笑う彼は、父親にある選択を迫られた。

 ペルー代表を選ぶか、それとも日本代表を選ぶか――。現在の制度では、選手がある国のA代表で公式戦に出場すると、以後は他国の代表選手としてプレーすることができない。もしこれが、親善試合のみの出場であったり、年代別の試合であれば、他国のA代表でプレーすることは可能だ。

「僕は『日本代表でやりたい』と言ったんですけど……。お父さんにも『それは自分で決めることだよ』と言われていたんです。でも、実際に自分の意思を伝えるとちょっと寂しそうな顔をしたんですよね」

 18歳までに決めろと言われ、出した答えは「日本代表」を目指す。父親の表情を見て複雑な気持ちにもなったが、それでもシマブクの決意は変わらなかった。彼が思い浮かべる将来像は青いユニフォームをまとった自分だった。

 今回の遠征には、U-19日本代表のコーチを務める秋葉忠宏コーチも帯同している。「まだ国籍が違うんですけど」とまずは日本国籍を取得するところからのスタートにはなるが、遠征中に「ドリブルが武器なので、どんどん仕掛けて、チャンスや得点に絡みたい」と得意のドリブルでインパクトを与えるつもりだ。

 ユースの3年間で成長した実感もある。「前線の選手だし、攻撃だけをやっていればいい」と思っていたシマブクを大槻毅監督が叱った。「メキシコ遠征で海外のチームとやった時に、『守備に戻れ!』とめっちゃ怒られたんです。戻ったら、たまたまそこでボールが取れて、すごく褒められた。『こんな感じなんだ』と思って、守備も意識するようになりました。今では守備も攻撃もできる。一つの武器になりました」。そう語るシマブクの表情は自信に満ちていた。

 この遠征ではインテルの下部組織との練習試合が予定されている。「体の大きさは関係ない。スピードやボディフェイントを入れたり、ドリブルで揺さぶりたい」。シマブクがイタリアの地で爪痕を残す。

取材・文=高尾太恵子

<NIKE NEXT HERO プロジェクト>
日本サッカー協会が推し進める「JFA Youth & Development
Programme(JYD)」のオフィシャルパートナーであるNIKEが立ち上げたプロジェクト。高校年代最高峰のリーグ戦である高円宮杯U-18プレミアリーグの試合を対象に実施され、毎試合各チームの監督またはコーチが、活躍した選手を対戦相手から各ポジション1名ずつの原則3名(GK or DF/MF/FW)を選出する。選ばれた選手にはポイントが加算され、リーグ終了時点で多くのポイントを獲得した選手を中心に海外遠征を行う。

By 高尾太恵子

サッカーキング編集部

元サッカーキング編集部。FIFAワールドカップロシア2018を現地取材。九州出身。

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