FOLLOW US

【スカサカ!ライブ】岩政大樹が反町康治に聞いた、知将の人生哲学とサッカー観

2017.10.05

 スカパー!では、毎週金曜日午後9時から、サッカー情報番組『スカサカ!ライブ』をレギュラー放送している。9月29日の放送回では、レギュラー解説委員を務める岩政大樹(東京ユナイテッドFC)がプロデュースするインタビューコーナー「今まさに聞く!」~松本山雅 反町康治篇~後編が放送された。松本山雅を率いて6年目を迎え、サポーターから絶大な信頼を得ている反町監督。記者会見等での歯に衣着せぬ発言が持ち味の知将は、今回のインタビューで何を語るのか。

■2017シーズンの松本山雅について

岩政大樹(以下、岩政) まずは今シーズンの戦いについて。外から見ていているぶんには、なかなか思ったように勝ち点が伸びていないように見えるんですけど。話せる範囲で今、どんな感じですか?

反町康治(以下、反町) まあそうですね。我々が強くなっていないのか、もしくは他のチームが強くなったのかという相関関係が当然あるんで、まあ何とも言えませんけども、やっぱり……う~ん……J2は難しいですね。

岩政 得失点差を見ても、もっと上位にいてもいいと思いますし、戦い方も、長く率いていて圧倒している試合もあると思うんですけど、なかなか勝ち点に結びついていないという印象なんですけど。そのあたりチーム内ではどのような感じなんですか? もどかしいところもありますか?

反町 まあ、もどかしいと言えばそれまでですけど、やっぱりいろいろなことを考えながら試行錯誤しながらやっている中で、いい解答を作り出せていないというのはあるでしょうね。それはまあ、我々スタッフの問題でもあるし。でも、そう簡単にはいかないですよ。みんなが考えているほどは。それは(岩政も)分かっていると思いますけど。

岩政 昨年J2に戻って来てから、少しビルドアップの道筋をつけたのかな、と思ったんですけど、それは監督がある程度、示したんですか?

反町 今まで松本山雅は、僕が来てからは、やっぱりロングボールを多用しながら相手の最終ラインと勝負するような形でやってきた。それである程度、結果と形が出てきてはいたものの、もう一つランクアップするという形で、昨年からそういうビルドアップするためのボールのルート、最後のところでゴールを決めるためのボールのルート、そういうのは少し考えながら、練習あるいは映像を見せながら取り組んできた形ですね。

岩政 そこは今年に向けてはバージョンアップさせたのか、それとも新しいものを取り入れたんですか?

反町 バージョンアップでしょうね。やり方は昨年とはそんなに大きく変えていない。あとはサッカーですから、相手がいて成り立つものですから、どこがウィークポイントか、弱いところはどこなのか、そういうところを常に見ながら、狙いのある攻撃、狙いのあるディフェンス、そういうところは二、三、話をしてトレーニングにも落とし込んで、今日も午前中にやりましたけど、それで試合に向かうようにはしています。

■反町康治の人生哲学

岩政 監督になるというのは、選手時代に多少、自分でイメージされていたんですか?

反町 昔の人だったら知っているかもしれないですけど、僕は社員選手でやっていて、プロになった時に、自分を商品として考えた場合に、何をするべきかっていうのはやっぱりしっかり考えましたよね。で、一つの選択肢はもちろん指導者。サッカーを、選手の時にいろいろな目で見ることを意識しながらやった面があるのでね。例えば面白い練習をしたらそれをメモして、今でもそれを持っていますけど、監督がどういうサッカーをしたいのかをメモしていた。そういう意識は昔からあったのかな、と思いますね。

岩政 いちサッカー選手として(他の選手とは)違った経歴、考え方をお持ちだったのかな、と思うんですけど。

反町 時代が時代だったのでね。Jリーグが開幕した時にちょうど28、29歳で、選手として過渡期にある中で、これからどうやって生活していくかなというところがあったので。外から見ればカッコイイかもしれないけど、我々からすればちょっと中途半端な考え方だったかもしれないですよね。それをすべて断ち切って、サッカーのフィールドの上で勝負したいと。そこからはもうずっと、現場志向もある中でここまでやってきたなと思いますけど。

■反町康治のサッカー観

岩政 選手をやられていた時は、練習したり試合をしたりする中で、少し他の選手とは捉え方を変えてみてみようみたいなことはあったんですか?

反町 どちらかというと性格上、偏屈なところがあるので、反面教師じゃないんだけど、例えば紅白戦をやったとして、僕がBチームで出たとする。Bチームを集合させて、「こういうことやろうよ」とか始めちゃう。よくいるタイプでしょ? それでうまくいっちゃったりする。それで「あ~サッカーって楽しいな~」って思ったりする。それは、本当は良くないことなんだけれども、でも、そういうところがちょっとあるんだよね。やっぱり。全面に押し出すんじゃなくて、ちょっとやってみようと。あなた(岩政)もそういうところは何となく感じられるタイプかもしれないけど。

岩政 僕も大好きです(笑)。

反町 でも、そういうことをやると、「ああ、こうやって新しい道が開けるな」とか「こういう考え方があるんだな」と。だからサッカーって本当に多種多様で、例えばシステムが同じであっても、やるサッカーは全然違うわけだし、一番大事なのはスタイルであって。だから選手とスタイルが融合しているとやっぱりチームはうまく機能するわけであって。だから選手を見て、そのスタイルを作り出して、そのスタイルを作り出すことによってシステムがあるというような、そういう段階がチーム作りで一番いいわけだよね。特に攻撃面で。で、それに見合った守備の戦術を構築していっている。でも、それを考えているうちには、もうこうなっちゃう(解任される)か、徐々に浸透していって昇っていく。この二つがあるでしょうね。正直に言うと。

岩政 監督をやられてからは、半年あるかないかぐらいですよね。監督をやられていない期間は。ずっと継続されている。

反町 新潟を辞めて(2005年)、半年やらなくて、06年のワールドカップをドイツに見に行って解説の仕事もして、オリンピック(U-23代表監督)をやって、ロンドン五輪が08年8月に終わって、8月から12月までの4カ月間は、それは本当に何もしなかったですね。唯一やったのは、ドイツのホッフェンハイムに、ラルフ・ラングニック(現ライプツィヒSD)のところに勉強しに行った。それから湘南ベルマーレをやって、湘南を辞めてすぐに松本に来たので、だから17~18年やっているのかな。それだけやって、休んだのは1年にも満たないかな。でも、休むと勘が鈍ると最近は思っているので。

岩政 あ~そうですか。

反町 そういうもんでしょ。プレーヤーと同じで。ボケる。たぶん。

岩政 それは、勝負勘みたいなものですか?

反町 いや、勝負勘じゃなくて、いろいろな意味でボケる。生活も。だからこういう緊張感のある仕事をしているということは、ある意味、大事なことなのかな、と思いますね。

岩政 一方で、ツラい仕事だと思うんですけど。

反町 そうですね。当たり前ですけど、どのチームをやったとしても、1位のチームしか称賛されないですからね。2位でも3位でも忘れ去られる。しかもそれが下のほうに行くとより(批判を)言われる。でも、目の見えないところで必死に仕事をしている。割に合わない仕事だと思いますよ。ただ、やっぱりそれでも何でやるかと言うと、当然試合に勝つ喜びがあるし、サポーターやお客さんやスポンサーとか、いろいろな方々の笑顔を見られる瞬間がすごくうれしいですし、それと同時に選手が躍動感を持って生き生きとやっているのを見ると、やっぱりやめられない仕事だなっていうのはありますけどね。

 10月6日午後9時から生放送される『スカサカ!ライブ』では、岩政がプロデュースするインタビュー企画「今まさに聞く!」~松本山雅 反町康治篇~後編を放送。また、10月4日に開催されるYBCルヴァンカップ準決勝第1戦レビューの他、2019年にはワールドカップを迎える女子サッカーの現状を考察する特集も放送する。

『スカサカ!ライブ』公式サイトへ

SHARE

LATEST ARTICLE最新記事

SOCCERKING VIDEO