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【スカサカ!ライブ】岩政大樹が中山雅史に聞いた「ストライカー中山雅史」論

2017.09.28

 スカパー!では、毎週金曜日午後9時から、サッカー情報番組『スカサカ!ライブ』をレギュラー放送している。9月22日の放送回では、レギュラー解説委員を務める岩政大樹(東京ユナイテッドFC)がプロデュースするインタビューコーナー「今まさに聞く!」~アスルクラロ沼津 中山雅史篇~後編が放送され、岩政が「ストライカー中山雅史」に迫った。

■ストライカー中山雅史について

岩政大樹(以下、岩政) 反骨心とか気持ちの部分がすごくクローズアップされますけど、実は点を取るところに対して結構、緻密じゃないですか。

中山雅史(以下、中山) まあ、緻密なのかどうなのかは分からないけど。

岩政 いや、ここを探りたいんですよ。ストライカーとしての。相手との駆け引きとか、マークを外すところの動きっていうのは、すごくコンスタントに外せる動きをしているじゃないですか。それってどこかで見つけていったんですか? 何かのヒントがあったんですか?

中山 見つけていったというか、何だろうな、常に相手が動いた逆を取る、その動きをしないと相手の裏は取れないだろうなっていうのと、相手が見ていない時にどこでタイミングを計っていくのか。DFをやっていれば分かるけど、サイドからのボールって(マークにつく相手とボールを)同一視野には収められないから、絶えずこうやって(首を振って)いる。その(視界からFWが)外れた時って一番怖くないですか? そこを狙うしかないなっていう。その時のコース取りですよね。同タイミングで動くけど、そのタイミングで離れていけば裏に抜けられるだろうっていう、その部分はDFをやっていたので、何となく分かる部分がありましたし、これをやられたらDFは嫌だろうなっていうのは、感じはしていましたね。

岩政 それを探して見つけたのが大きなポイントだと思うんですけど。

中山 だから、見つけられたかどうかがいまだに(分からない)。それも、DFがこう来たからこう行こう、ああ行こうというのを考え、意識しながらやるのがいいのか、考えることによって一瞬遅れるから、それを常にやっていることによって、見た時にそれを感じて動きにしているのがいいのか、どっちが“必然”なんだろうって。見ながらやっているのも“必然”。でも、それを練習でずーっとやってきたから、その動きができているのも“必然”なんだけれども、どっちかっていうとその後者のほうが、“偶然”に感じちゃうわけ。

岩政 あ~はい。

中山 だからその“偶然”を“必然”にしたいなって。必然にできれば、常にその駆け引きに勝てるんじゃないかっていう気持ちも出てくるわけですよ。だからそこのところをね、ず~っと考えていました。ちょっとタイム! いい? 冷やし過ぎた。

(※右ひざに施していたアイシングを外す中山。左ひざに巻き直しながら話を続ける)

中山 相手が変われば考え方も変わるし、その状況に合わせた動きが絶対にあるはずだし、それを常に、相手の裏を取るために動いていなければならない。ただ、動きすぎると疲れるし、大事な時に動けなくなったら意味がないし、そこが難しいなとずっと考えていた。「こいつはこういうタイプだから、こう行ったほうがいいのかな」とか、ずっと考えていたよ。

岩政 結局、相手を動かさなければならないじゃないですか。特にゴール前なんて、ちょっと相手を動かして前に入れるかどうか。

中山 そう、そう。そこなんだよね。だからさ、自分が狙っているところに先に入られるとムカつくんだよ。「そこ狙ってるんだけどな~入られたか」って。そこに入らせないように、前の動作で“はがしの動き”をしてそこを狙うしかないなって思うんだけれども、なかなかそれをやろうとしても、狭いスペースと時間ではそれが取れないから、どうしたらそこを取れるんだろうなっていうのは、考えていましたね。ヴェルディと新潟でやった時(1997シーズンJ1セカンドステージ第13節、6-1で磐田勝利)、その時は初めてハットトリックを決めた時なんだけれども、DFが隣にいて、バッと前出たのよ。したらグッと食いついたの。食いついたと思ったのをスッと抜けて、そこにちょうどボールが来てヘディングでシュートを決めて、相手が食いついてきたなって自分で考えながら、相手を動きで釣ったなっていうのができたんだよね。あれはやっぱ気持ちいいね(笑)。自分の意図したとおりに相手を操ったというか、動かしたというのが非常に気持ちよかったし、そういうのが多々あればサッカーは楽しいんだろうなって思うんだよね。だから技術的に長けた人、ロナウジーニョとか(ジネディーヌ)ジダンとか(中村)俊輔とか、あのへんはやってて楽しいんだろうなって。楽しいことって本当にないなって思うもんね。

岩政 ハットトリック何試合もした時(98年のJ1リーグ、4試合連続ハットトリック)もそんな感じでしたか?

中山 あの時もね、うれしいんだよ。確かに点を取って、たくさん取れたのはいいんだけれども、それ以上に外したゴールへの思いのほうが強かったから。あそこの場面、なんであれ浮かしちゃったんだろう、何であれ決められなかったんだろうと。名波(浩)も言ってました。J1で157ゴールを取りましたけど、チャンスで言えば400、500はあるわけですよ。それを決めていれば、もっとすごい数字になっているわけだけども。それを決められていない自分が未熟だし。ただ、それがあったからこそその次の活力にもつながったし、パワーにもつながっただろうなとは思ってますね。常にもっと上、もっと上っていう欲があるから体がそれについていくというか。そのために体が動いてくれるっていう部分はあるから。それはそれで、チームには迷惑かけたけど、僕自身の成長にはありがたかったことかもしれないですけどね。

 「キープ!」っていう言葉が頭から離れない(笑)。来たボールをポーンといっちゃったりして、キープできない時がある。そうするともう見れないもんね。ハット(服部年宏)とか名波とか、後ろから「キープ! ゴン、キープ!」って言うから、ゴメンって。ドゥンガの怒鳴り声とかもね。ドゥンガからは、必ずもう(パスが)来るから、動き出しが遅れたり、そのボールに反応できなかったりすれば僕が悪いわけですよ。でも、見ているほうからすればそれがミスパスになっていると思いがちじゃないですか。それをミスパスにしちゃっているのは僕なんです。っていう思いのほうが強かったから、それをしないために、常に集中しながら、ドゥンガが持ったらたぶん出てくる。それぞれの選手の特徴がありますからね。それをつかみながら、この動き出しのタイミングで行こうっていって、早くなっちゃう時もあるわけですよ。ディフェンスラインとの駆け引きで。でもそうするとオフサイドにかかるケースが僕すごく多かったわけですよ。でも3回ぐらいかかっているのに、3回かかって申し訳ないなって思っているのに、ドゥンガは「お前10回かかってるぞ!」って言うから。「いや3回だよ。俺がかかっているのは3回だよ」って、ドゥンガに向かっては言わずに、逆の方向を見て「3回だよ俺!」って(笑)。

岩政 ちょっとイメージできました(笑)。

中山 あんまり言うと怒るから。もっと怖くなるから。そこはね、逆の方向を見て言ってましたけどね。

中山雅史が描く将来

岩政 ゴンさん今、将来についてはどのように考えてらっしゃいますか?

中山 一応S級ライセンスは取りに行きましたから、その道もないことはないと思っていますけどね。ただ、選手としてもやっているんで、それをやりながら、そこをやりながらも指導者目線を求められているところもあるわけですよね。若い選手にいろいろなことを聞かれるんで、それで答えられればいいですし、感じたことを、指導者になる時にフィードバックできればいいなとは思いますから、いろんなことを体験したいなと。指導者の勉強をしたから、監督はこういう考えを持っているんだなって(いうのが分かる)、選手の時はそんなこと考えないじゃないですか。指導者目線でも、こういう時はこうなんだっていうのを聞きながら納得する部分があるんだけど、もし自分がそういう立場なら、この言葉が出せるのかなっていう、そこに不安を感じますね。僕自身、もし監督やれって言われたら、まずGKコーチ、フィジカルコーチ、DFコーチ、中盤コーチ、FWコーチ、そして総合コーチ、その上に俺。そして行くぞって(笑)。

岩政 全部やってもらって(笑)。

中山 そうそうそうそう。でもそれじゃダメなんだろうな~(笑)。それじゃ監督じゃね~な~って思ったりもするわけなんだけれども。

岩政 FWコーチぐらいはいいんじゃないですか?

中山 まあね、そこはね、いいんだけど。でもFWにつけるところの中盤の考え方とかもあるじゃないですか。中盤には中盤の出しやすい形、こう動いてほしいっていうのがあるから、そこはどうすり合わせていけばいいのかな。だいたい、コーチとなると、監督が攻撃を見たらコーチが守備を見て、監督が守備を見たらコーチが攻撃を見てっていう形になるんですけれども、その辺が俺は見れるのかな~とかね。一応勉強はして、実践はしてきたけれども、それがやっぱ、本番と勉強とでは全然違うものですから、現場になると。だからそこができるのかな~っていう、そういう能力あるのかな~っていう不安のほうが大きいですね。

 9月29日午後9時から生放送される『スカサカ!ライブ』では、「今まさに聞く!」に、現在J1への昇格争い真っ只中にいる松本山雅FCの反町康治監督が登場。また、9月27日に開催されるAFCチャンピオンズリーグ準決勝・第1戦の結果を受けて、上海上港と対戦する浦和レッズのOB鈴木啓太氏らとともに、同試合を徹底レビューする。

『スカサカ!ライブ』公式サイトへ

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