2015-16シーズンはヘルタ・ベルリンからトルコのブルサスポルへレンタル移籍した細貝萌。リーグ戦11位、監督がシーズン中に2度交代するなど、チームとしては難しいシーズンを送る中、リーグ戦19試合に出場するなど、個人としてはある程度の結果を残した。
今オフは2013年から活動を継続しているCTEPH(慢性血栓塞栓性肺高血圧症)啓発大使として、恒例となったイベントに参加。『サッカーキング』では同イベントに合わせてインタビューを実施。細貝にCTEPH啓発大使の活動やドイツメディアなどでも報じられる去就、2014年から遠ざかっている日本代表復帰への気持ち、さらにはまもなく父親になる心境についてなどを聞いた。
インタビュー=小松春生
自分のできることをやっていく
CTEPH啓発大使としての活動も4年目を迎えました。これまでの活動を振り返ってください。
細貝萌 個人としてとても有意義なことだと思いますし、僕がサッカー選手としてプレーしているからこそ、こういう話をいただいてサポートできる。啓発大使として活動できるので、すごく嬉しいことですね。できる限り、続けていきたいですし、全てをサポートすることは難しいですが、自分のできることをやっていきます。この病気は難病に指定されている病気で、広く知られていない病気でもあるので、自分がいろいろな人に伝えていくことや、個人として支援していきたいですね。
これまではフットサルコートやランニングなど屋外での運動を通した活動でしたが、今回は渋谷の街中でのイベント(※)となります。
細貝萌 今までは興味がある人に来ていただけるイベントでしたが、今回は通りがかりの人にCTEPHを知ってもらえる機会なので、僕個人としてもこういったことに参加できるのは光栄なことですし、少しでも多くの方に知ってもらえるように、楽しみながら成功させたいですね。
(※)6月3日に渋谷モディでイベントを実施
日本の多くの方と交流をもつのは久々ですか?
細貝萌 今オフは出るイベントが限られているので、その中で交流する感じですね。群馬県伊勢崎市の自分のフットサルコート(HOSOGAI FUTSAL PLATZ)に顔を出したりもする予定です。
今季は得るものが多かった
トルコでの初めてのシーズンを振り返っていかがですか?
細貝萌 日本やドイツとは違う文化ですね。イスラム教の国なので、生活スタイルもかなり違いました。個人としてはすごくいいシーズンを過ごせたと思います。得るものも多かったですね。
具体的に得たものは何でしょうか?
細貝萌 私生活もそうですし、プレー面もですね。「これを得ました」と言うのは難しいですが、サッカー選手といっても1人の人間なので、新しい環境で生活することで、ドイツでもう1年過ごすことより、違う国で過ごすことで必ず人間としても成長していると信じています。
選手としてはいかがでしょうか。ブルサスポルはトルコのトップクラブというわけではありません。
細貝萌 フェネルバフチェ、ガラタサライ、ベジクタシュのトップ3の次をトラブゾンスポルと狙っていくチームがブルサスポルですが、今シーズンは11位という結果に終わりました。なかなかいいシーズンを送れず、監督も3人替わる、社長も替わるという中でプレーしました。クラブがガラッと変化する中で、難しさはありました。
その中で自分のプレーは出し切れましたか?
細貝萌 公式戦は25試合に出場して、試合に出ることで得たものもあります。シーズンの後半戦は右サイドバックで出場することが多かったので、自分の得意としているポジションではなかったですけど、試合に出ることは重要なので、いいシーズンだったと思っています。
代表のことを僕は全く意識していない。自分らしく、ベストを尽くす
日本代表には2014年から遠ざかっていますが、戻りたいという気持ちはいかがですか?
細貝萌 まずは自分が所属するクラブで出場することが重要です。この先どのクラブに行くのか、今は正直わかりません。でも、日本代表のことを考えてどこでプレーする、ということは全く考えていないので、自分が行きたいところ、自分がプレーしてみたいところ、自分を評価してもらえるところで全力を尽くすことで、それが代表にまた呼んでもらえる結果につながれば、嬉しいことだと思います。
ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が盛んに口にする「デュエル」は細貝選手の強みの1つであると思います。
細貝萌 ストロングポイントではあると思います。でも、代表のことを僕は全く意識していないので。自分らしく、所属しているチームでベストを尽くしていきたいです。
今シーズンはヘルタ・ベルリンからレンタルという形でトルコに移籍しました。まだヘルタとの契約が残る中、来シーズンはいかがお考えですか?
細貝萌 何も決まっていない状況です。例えば、ブルサスポルは1年間プレーしたことで評価をしてくれています。ブルサスポルに残ることも可能ですし、契約が残っているベルリンに戻ることも可能です。他に興味を持ってくれているクラブを含め、自分が成長できるであろうクラブでプレーできればいいと思っています。
父親になることはすごく楽しみ
まもなくお子様が生まれることもあり、日本でのプレーは考えていますか?
細貝萌 選択肢としては、どこでもあり得ます。カテゴリーも全くこだわっていません。日本やトルコ、ドイツの3部でも構いません。本当に自分を必要としてくれるクラブでプレーしたいという気持ちがあるので、カテゴリーは全く関係ないです。どこに行く可能性があるかわかりませんが、自分を必要としてくれるクラブに行きたいと思うし、自分の成長を考えてのクラブが選択できればいいかな、と思います。
父親になる心境はいかがですか?
細貝萌 初めてのことなので、わからないこともありますが、すごく楽しみにしています。ちょうどオフで日本にいるタイミングなので、立ち会えるといいなと思っています。
最後に日本のファンの方にメッセージをお願いします。
細貝萌 今シーズン、トルコでプレーして、なかなか自分の情報が流れることは少なくなりましたけど、自分の道を自分らしく進んでいければいいと思います。この記事を読んでくれている人はサッカーが好きで、自分のことを知ってくれている人だと思うので、とにかく自分の意思を信じて、その道を進んでいくことで、応援してあげたいと思われるような人になっていきたいと思います。
【独占インタビュー】細貝萌『トルコでの一年』『日本代表復帰』『父親になること』『気になる来季』を語るhttps://t.co/Heqlp4iNRS
細貝選手インタビューです。動画でメッセージもいただきました! pic.twitter.com/Gd8wwIHuQ6— サッカーキング (@SoccerKingJP) 2016年6月8日
By 小松春生
Web『サッカーキング』編集長