取材に応じる小倉純二JFA名誉会長 [写真]=足立雅史
日本サッカー協会(JFA)の小倉純二名誉会長が28日、複数の国際サッカー連盟(FIFA)幹部が収賄や脅迫、マネーロンダリングなどの容疑で逮捕された件を受け、長野県内でメディア対応を行った。
9年にわたってFIFA理事を務めた経験を持つ小倉名誉会長は「正直、本当にびっくりしている。いったい何が起こっているのかと。いろいろあってこういう結果になったと思うが、FIFAにとっては大変な事件。29日(日本時間5月30日)のFIFA総会で会長選挙が行われる予定だったが、これだけの人が疑いをかけられ、逮捕者を出していることからゼップ・ブラッター会長にも責任があるのではという意見も出ていて、会長選を半年ほど延期させようという動きもある」と内情を明らかにした。
今回の事件はアメリカ司法省が北中米と南米のFIFA幹部を収賄やマネーロンダリングで、スイス検察庁がロシアとカタールのワールドカップ招致に関する収賄を摘発したことに端を発するが、その裏側には北中米カリブ海サッカー連盟(CONCACAF)の事務局長を務めるチャック・ブレイザー氏が自らの事業における脱税発覚に対し、司法取引をしたことがあるとされている。
小倉名誉会長も「ブラッターの責任がゼロだとは思わない。コントロールできなかった責任はあるんじゃないか」と、進退を問われるべきとの見解を示した一方で、JFAがFIFA会長選で5選を目指すブラッター氏の支持を表明していることについては、「昨年のAFC総会でブラッターを支持すると決めた。今は動かせないでしょう。AFCのコンセンサスがある。今はそうとしか言えない」と話した。
ロシアとカタールでのワールドカップ開催について再考すべきとの意見も噴出しているが、「これまででFIFA主催の大会が開催地変更になったことはあるが、準備が間に合わないといった理由だった。先日の内部調査報告が理事会で承認されているから予定どおりでしょう。この事実を受けてどうなるか」と話し、まずは今後の成り行きを見守る方向性を示した。