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ヨコハマ・フットボール映画祭が開幕…初日には映画の魅力を伝えるトークショーも実施

2014.02.09

会場を盛り上げた宇都宮氏(左)と千田氏(右)

「バッジョが出てきてびっくりしたね。リネカーやアベランジェ、ヴァルダーノまで。友情出演が豪華だった」

 かつて日本代表でイビチャ・オシム監督の通訳を務めた千田善氏がいたずらを含めて口を開くと、来場者を湧かせた。ヨコハマ・フットボール映画祭2014初日公演での一幕だ。

「ロスト・ワールドカップは、映画としてはすごくおもしろかった。ああいった現実とは違う過去、いわゆるパラレルワールドのような世界を描くのは、村上春樹の作品でも使われるし、最近だと『あまちゃん』がそうなんですよね」

 2月8日(土)、選りすぐりのサッカー映画を上映しフットボールの魅力を伝える『ヨコハマ・フットボール映画祭』が開催された。上映会の合間には前述の千田氏をはじめ、サッカージャーナリストの宇都宮徹壱氏、審判資格を持つほどのサッカー好きとして知られるタレントの井澤エイミー氏、同映画祭の審査委員長を務める柳下毅一郎氏を招いてトークショーを実施。大雪のなか集まった来場者は大いに盛り上がりを見せた。

『ロスト・ワールドカップ−消えた1942年大会−』は、戦火を避けて南米のパタゴニア王国で開催された幻のワールドカップの記録フィルムが発見されて、サッカー界の常識を揺るがすというフェイク・ドキュメンタリー作品。千田氏と共に登壇した宇都宮徹壱氏が続く。

「冒頭で登場するセルヒオ・レビンスキーは、2011年のクラブワールドカップでバルサが来日した際に彼も来ていたのでメディアバスのなかでお会いしました。とても誠実なジャーナリストです。その彼が、なんかこう白骨死体や水中カメラを調査しているという設定にハラハラドキドキしながら観ていました」

 この日の上映作品は前述のほか、1982年W杯で宿敵ソビエト連邦と戦うことになったポーランド代表を追う『クレムリンに立ち向かった男たち ポーランド代表ベスト4の真実』と世界最大のサッカートーナメント“ペラダオ”を映した『ラブ・セレソン お姫様と11人の選手たち』のドキュメンタリー2作品と、インドネシアサッカーの裏で暗躍する闇賭博や八百長を描いたサスペンス『インドネシア・コネクション−サッカーを蝕む男たち』の計4作品。

「サッカー大会でミスコンを開催しちゃうくらいブラジルの人たちはサッカーが好きなんですね。でも女の戦いは恐いですから。ミスコンも舞台の裏では潰し合いです(笑)」と『ラブ・セレソン お姫様と11人の選手たち』を鑑賞した井澤氏が自身のミスコン体験を語ると、柳下氏は同映画祭の一押し作品を話した。

「ラブ・セレソンもそうですが、今年はW杯イヤーということもあり、ブラジル映画祭で上映された作品のなかから数本を選びました。そのなかでも『サッカーに裏切られた天才、エレーノ」は注目です。エレーノは1940年代に活躍した実在のサッカー選手で、とてもハンサムで女性にモテたんですけど、サッカーにストイックに打ち込むというよりは、酒と女に溺れて身を滅ぼしていく悲劇のスターでした。それを主役のホドリゴ・サントロという若い俳優が熱演しています」

 同映画祭は11日(火)まで開催。前述の4作品のほか、『サントス〜美しきブラジリアン・サッカー』『裸足の夢』『プライドinブルー』『ベッカムに恋して』を含む計9作品を上映する。知的障害者のサッカー選手権で日本代表ゴールキーパーを務める加藤隆生氏とブラインドサッカー日本代表の落合啓士氏をはじめ、『裸足の夢』の制作スタッフである藤本信介氏、さらにはサッカージャーナリストの西部謙司氏や田崎健太氏、木村元彦氏など豪華ゲストを招いたトークショーも随時行なう予定だ。

文●出川啓太

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