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2年ぶりの優勝へ…藤枝順心を決勝へ導いた“苦労人”池口響子とSB転向の角田菜々子

2020.01.08

準決勝でゴールを記録した池口響子(左)と角田菜々子(右) [写真]=吉田孝光

 第28回全日本高等学校女子サッカー選手権大会は8日、ノエビアスタジアム神戸で準決勝の2試合が行われた。

 2大会ぶりの優勝を目指す藤枝順心高校(東海2/静岡)と、4回目の準決勝で初のファイナル進出を目指す修徳高校(関東2/東京)の対戦は、2-1で競り勝った順心が決勝に進んだ。

 今大会無失点同士の対戦であったが、その均衡は28分に破れる。順心の小原蘭菜が右サイドからクロスを上げると、池口響子が初戦以来の得点をマークした。その後、オウンゴールで1-1となり順心の多々良和之監督は、「2戦連続PK戦を覚悟した」と話したが、後半終了間際に角田菜々子が左サイドから豪快なシュートを決めて勝ち越した。

 前日の準々決勝で負傷した順心のセンターバック、井手ひなたは、この日は応援席からの観戦。その緊急事態にも動じることなく、順心は修徳のシュートを4本に抑え、14本のシュートを放った。

 先制点の池口は、前回大会の1回戦で右ひざ前十字じん帯断裂の重傷を負い、公式戦復帰まで10カ月かかった苦労人。キャプテンの長江伊吹は、「響子はずっと弱音も吐かずにリハビリを頑張ってきた。活躍を期待している選手のひとり」と、仲間の活躍を自分のことのように喜んだ。

 決勝点の角田は元FWだが、昨季からサイドバックに転向。夏の全国高等学校総合体育大会(インターハイ)ではメンバー外だったという悔しさをバネに、今大会2得点目で攻撃にも貢献した。「初めはやりづらかったけど、今はサイドバックの方が生きる」と言い切るほど、与えられたポジションを自分のものにし、第98回全国高校サッカー選手権大会でベスト4に勝ち残っている男子の静岡学園高校とともに、「静岡がもう一度『サッカー王国』と言われるようにアベック優勝を」と、心に決めた。

 12日(日)の決勝戦を前に、チームは一旦静岡に帰り、平日は授業を受けて再び神戸市に戻ってくる予定。多々良監督は、「今季の神村学園(九州1/鹿児島)とは、まだ対戦していないし、まだ試合も見ていない。相手の良さを消しながら強みを出す試合をできれば」と話しており、決勝まで休む日はなさそうだ。

文=馬見新拓郎

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