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[青森山田]2度目の“二冠”へ王者が始動! Jユースをも凌駕する強さの要因は…【高校サッカー選手権】

2020.01.02

前年度王者・青森山田がプレミアリーグとの二冠に挑戦する [写真]=川端暁彦

「昔の自分はとにかく余裕がなかった」

 青森山田を率いる黒田剛監督はしみじみと噛みしめるようにそう漏らす。選手を厳しく追い込み、駆り立てるばかりだったという中で、高校選手権ではいつしか「3回戦敗退」が定番になった。

「全力で準備し、全力で戦わせてとやると、3回戦になる頃には肉体的にも精神的にも疲れてしまっていた。自分も若かったと思う」(黒田監督)

 青森山田と言えば、とかく雪の中でのハードトレーニングというイメージと共に語られるし、実際に冬の間に厳しい練習を積んでいるチームなのは間違いない。ただ、シーズンが始まってからは、選手を鍛えていく部分とコンディショニングを高く保つ部分を巧みに両立させているチームでもある。昨年4月の高円宮杯プレミアリーグEAST開幕戦と12月の高円宮杯ファイナルの先発メンバーが「背番号1番から11番が綺麗に並ぶ」形で変わらなかったのは象徴的で、シーズンが始まる前も始まってからも主力に大きな負傷者が出ていないゆえである。

 シーズン前にしっかり体を作りつつ、長距離遠征も重なるリーグ戦の中にあってコンディションは落とさない。だからこそJユースの強豪もひしめくプレミアリーグで5年連続の優勝争いができているし、今季は2度目のチャンピオンにも輝いた。そのやり方に手応えを掴んだのは、3年前に高円宮杯と選手権の“ダブル”を達成した経験である。

「人間はずっと張り詰めていることはできないし、モチベーションを高く保つと言っても、ファイナルを戦って高揚した状態を1カ月も続けることなんてできない。そう思って高円宮杯に勝ったあとに思い切って休みにして、1週間くらい前からグッと上げていく形にした」(黒田監督)

 12月中旬に行われる高円宮杯ファイナルから選手権開幕までは2週間と少々。高く保った状態のまま行きたくなるところだが、「一回あえて落とす」ことで選手権を戦う中で、肉体的・精神的に「ヘロヘロにならないようにする」マネジメントである。さすがに怖さもあったというが、3年前の成功体験があるゆえに今回も迷いはない。

 12月までリーグ戦を戦った後に選手権が来る現行の日程を「難しい」と言う高校の指導者は多い。中には「プレミアリーグに全力を懸けるわけにはいかない」とハッキリ言う監督もいる。一方、「確かに最初のころは自分も(リーグ戦と選手権の両立は)難しいと感じていた」という黒田監督の考えは現在違ってきている。

「まったく甘さが許されないプレミアリーグを戦うことで選手たちはタフになっていくし、チームとして戦い方の幅もできた。プレミアリーグの負担が重いから選手権で勝てないなんて今は全く思っていない。プレミアを戦っている間は選手権のことなんて考えずにそこへ全力を尽くしているし、それが結果的に選手権にも繋がっていく」

 青森山田が3年前に続いて狙うのは、リーグ戦と冬のカップ戦の二冠。ただ、それは別々のルートから到達するのではなく、リーグ戦を通じて鍛えたチームをぶつけるという形である。

取材・文=川端暁彦

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