2020.01.01

[帝京長岡]実力者がそろった注目の世代…集大成を迎える“優勝候補”【高校サッカー選手権】

FC町田ゼルビア入団が内定している晴山岬 [写真]=平野貴也
元スポーツナビ編集部。フリーに転身後はサッカーを中心に様々な競技を取材するスポーツライターに。

 雪深き地域の努力が、花開こうとしている。

 第98回全国高校サッカー選手権大会に新潟県代表として出場する帝京長岡は、優勝候補の一角だ。同じスタッフが同じグラウンドで指導する長岡JYFCという中学生のクラブチーム出身選手がチームの主体となり、毎年、鮮やかなパスワークで織りなす攻撃を披露しているチームで、前回も全国8強と活躍した。

 加えて今年は個人の力量も高い。FW晴山岬、MF谷内田哲平、DF吉田晴稀(いずれも3年)は、それぞれFC町田ゼルビア、京都サンガF.C.、愛媛FCへ加入するJ内定選手。技巧派レフティーのMF田中克幸(3年)は、大学進学を選択したが、複数のJクラブが獲得に動いた選手だ。ボールの扱いとポジショニングに長けた選手が多く、相手にボールを渡さずに攻撃を組み立て、流動性の高いコンビネーションでゴールを襲う。

 特に、攻撃の1列目と2列目、中央とサイドの連係は抜群だ。シャドーストライカーの田中は、センターでパス交換にも加わるが、サイドなど空いているスペースからドリブル突破も狙う。前線に近い位置に顔を出したかと思えば、次の攻撃では田中が中盤を埋め、シャドーを組む谷内田が前に出る。

 長岡JYFCに在籍した中学生の頃から、プリンスリーグ北信越で帝京長岡高チームの一員としてプレーしてきた(※リーグ戦は、高体連主催ではなくJFA主催のため出場可能)谷内田は象徴的な選手だ。「中学生でも、ポジショニングが良ければ、高校生にも勝てると分かったし、サッカーで最も重要なことだと思っている」と話す通り、複数のプレーが可能な抜群の位置取りで周囲を生かす。古沢監督も「焦らないでほしいところで落ち着かせてくれるし、相手の嫌なところにも入っていける。数年後、卒業生の小塚和季(大分トリニータ)みたいに評価される選手になるかもしれない。今年のチームでは、田中がドリブルをすることが多いけど、アイツもゴールへドライブできる。攻撃に関しては、『もっとこうしろ』と言ったことがない」と一目置く存在だ。

 FW矢尾板岳斗(3年)はセンターに張らず、両サイドにも頻繁に顔を出す。変幻自在の攻撃で相手の急所を突く。「後出しジャンケンみたいな感じでやれとミーティングで言われている。相手のやり方を見て、やり方を変えることを意識している」と話すエースストライカーの晴山も、裏への抜け出しと、低い位置での起点作りの両方を使い分け、最終ラインの前後の動きで駆け引きを仕掛ける。左サイドの本田翔英(3年)は、パワフルで推進力がある。本田がスピードを落としたかと思えば、その後ろから高精度の左足を駆使する吉田勇介(3年)が駆け上がり、サイドを制圧する。チームとしての攻撃力は大会屈指だ。

 目標意識も高い。晴山は前回大会の初戦でハットトリック、2回戦でも1得点を挙げている。だが、「昨年、3回戦、準々決勝と大事な試合になったところで得点できなかったのは、課題。全試合で得点してチームを優勝させて、成長させてくれたスタッフに恩返しをしたい」と意気込んでいる。主将の谷内田も「自分たちの世代には、日本一しか正解ではない」と明確な目標を力強く語った。

谷内田哲平は京都サンガF.C. への入団が内定 [写真]=平野貴也

 下級生中心で全国8強を経験し、今年は期待値が高かった。実際に、プリンスリーグ北信越を優勝した。しかし、夏のインターハイでは、全国大会に出場できなかった。巧みなパスワークで翻弄しようとしたが、がむしゃらにフィジカル勝負を挑んで来る日本文理に苦戦し、新潟県予選の準決勝でPK戦の末に敗退。古沢徹監督は「夏のインターハイを取れなかったことが、ターニングポイント。選手権が終わって(今年は)いけるだろうという甘い考えが、どこかにあった。プロ気取りではないですけど、ファウルジャッジを自分たちでしてしまうとか、サッカーをリスペクトしていない部分があったので、見直しました。“心美しく勝つ”というテーマをずっと掲げています。サッカーの練習は、本当に一生懸命やりますけど、それ以外の部分での成長が、ピッチでの表現力にもつながっていると思っています」とチームの成長を振り返った。

 新潟県予選の準決勝では、晴山が相手に倒された場面で笛が鳴らず、一部の選手が審判に苛立ちを見せたが、DF丸山喬大(3年)が「いつから(審判に文句を)言っていいようになった! まず(次のプレーを)やれ!」と一喝する場面があった。丸山は、古沢監督が「アイツをキャプテンにしてしまうと、みんなが任せきりで何もしなくても良くなってしまう。僕が担任のクラスですが、あのクラスは『担任:丸山』でやっていけます。ピッチ内外でチームの象徴。(サッカーの実力で周りに認められている)谷内田、晴山、田中にもガンガン言える。大事なキャラクターで、うちの生命線」と高く評価するキーマンだ。前線では晴山、最終ラインではDF丸山が声を出してチームを鼓舞する。

 今年のチームは、降雪地域で体育館を使ってフットサルも採り入れながら足下の技術と狭いエリアでの連係を重視して選手を育てて来た“長岡JYFC → 帝京長岡”ラインの集大成と言える。過去の最高成績は、前回大会と小塚を擁した第91回大会のベスト8。目標は、先輩たちを超えて、頂点に到達することだ。夏には見せられなかった実力を、1年越しとなった全国の舞台で思う存分、披露する。

取材・文=平野貴也

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