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叶わなかった夢は後輩に託して…十文字MF瀧澤千聖「来年、再来年は決勝に」

2019.01.08

準決勝敗退が決まり肩を落とす瀧澤千聖(9番) [写真]=吉田孝光

 第27回全日本高等学校女子サッカー選手権大会は7日、兵庫県の神戸ユニバー記念競技場で準決勝の2試合が行われた。

 夏の全国高等学校総合体育大会サッカー競技大会(インターハイ)で優勝した常盤木学園高校(東北1/宮城)と、2大会ぶりの日本一を目指す十文字高校(関東2/東京)の名門対決は、常盤木が2-0で勝利を収め、決勝に駒を進めた。

 インターハイ1回戦で両校が対戦した際は、十文字が一時逆転したが、常盤木が競り勝ってそのまま優勝に輝いた。「夏の段階から常盤木にリベンジできるといいね、とスタートして、準決勝という最高の舞台で再戦できた。前半30分くらいまではやりたいことを体現できた」と、十文字の柴山桂監督。しかし、34分に常盤木のMF沖野るせりが今大会初得点を挙げ、十文字は苦境に立たされた。

 後半も十文字ゴールのクロスバーに直撃するシュートを2本打たれ、69分にはついに再び失点。十文字のシュート数7本に対して、常盤木のシュート数21本が示すように、常盤木の攻撃陣の強さが際立った。

 2大会前に十文字を日本一に導いた石山隆之監督が今大会直前に退任したため、十文字でコーチ経験があり、プレナスチャレンジリーグのFC十文字VENTUSを指揮していた柴山監督が就任した。柴山監督は「直前の合流になってしまった」と話したが、「そこ(監督交代)も力にしながら、しっかり戦えた」と、前回大会を上回る4強に進んだ選手たちを称えた。

 十文字のゲームキャプテンを任されたボランチのMF瀧澤千聖は「インターハイで負けている相手に2度は負けられないという話は、みんなでしていた」と意気込んで臨んだが、「リズム良くボールを回しながら、人数をかけてゴール前までいける場面はあったけど、そこでしっかり決めきらないと次には進めない」と唇を噛んだ。

 同じボランチで出場した常盤木のMF西野朱音は昨年11月、U-17日本女子代表の一員として、瀧澤とともにFIFA U-17女子ワールドカップウルグアイ2018を戦ったメンバー。日本のベスト8進出に貢献した二人が中盤の位置でマッチアップした。

 大会を去ることになった瀧澤は、「朱音には負けられないと思っていたけど、持ち味のロングキックで、いいボールを配給させてしまった。自分たちよりも、相手の方が積み上げてきたサッカーを出せていたのかなと思う」と、完敗を認めた。

 瀧澤は来季、プレナスなでしこリーグ1部のAC長野パルセイロ・レディースでプレーすることが内定している。

「今回の悔しさは、もう選手権で晴らすことはできないけど、自分がサッカーを続ける上で大事になってくると思う。最後の一歩を出せなかったところや、一歩体を寄せられなかった部分は、自分の中で整理して成長するためにつなげていきたい」と、前を向きながらも、「苦しいことの方が多かったけど、自分自身が強くなれた。サッカーを本気で考えて成長できた3年間だった」と高校時代を振り返って話すと、再び涙が溢れてきた。

 十文字はこの日の準決勝で先発した11人中、7人が1、2年生のメンバーという若い構成で、「選手権に来る前も来てからも、1、2年生の力で助かった。それは自信を持ってほしい。自分たちができたことと、できなかったことを再認識して、来年と再来年は決勝の舞台に立ってもらいたい」と、瀧澤は後輩たちに期待をかけて、試合会場を去っていった。

文=馬見新拓郎

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