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選手権初出場で3回戦進出の龍谷…太田恵介監督が与えた規律と考える力

2019.01.02

選手権初出場権の龍谷が初勝利を手にした [写真]=梅月智史

取材・文=河合拓(提供:ストライカーデラックス編集部)

 サッカー部を強化し始めて5年。初めて選手権の出場権を得た龍谷が、2回戦で全国初勝利を挙げた。清水商から福岡大に進み、Jリーグのアビスパ福岡でもプロ経験のある太田恵介監督のもと、今年のチームは「5原則」を掲げて強化してきた。

 その5原則とは、「声」「球際」「ハードワーク」「切り替え」「競り合い・拾いあい」。初の選手権で先制点を含む2ゴールを挙げたFW出口陸も「この5原則を重視してきました。そこをやったうえで、自分の長所を出さないといけない。そのベースをつくるために、日々の練習からしっかり意識してやっています」と話す。

 朝練習では週に一度か二度、1キロ走×6本を行った。そして、その6本すべてを3分30秒以内で走れなければ、トップチームに入ることはできないという。「もともと高1、高2はケガが多くて、体力がなかったのですが、高3で体力も付いて、走れるようになり、メンバーに入れるようにもなりました」と、出口は振り返る。

 この決まりを与えた一方で、太田監督は選手たちに自分で考える力をつけさせた。太田監督は「最初は一番ダメな監督だった」と自分のことを振り返る。

「たとえば選手たちが歩いている目の前に、小石があったとします。以前は練習試合でも、それをどけてきた。でも、今は小石があることに気づいて、このままだと選手がつまずくなと思っても、つまずいてもらっている。そうやって、次に転ばないために何をすればいいかを考える力をつけてもらうんです」と説明する。

「以前は、恥をかきたくないから、練習試合から選手たちに答えをすべて教えてしまった。そうしてきれいな道を歩いてきた選手たちは、公式戦になると、うまくいかないとき、ベンチを見てしまっていたんです。でも今の子供たちは、練習から自分たちのものにできているので、自分たちで対処できるようになりました」

 自分たちで考えるようになると、選手たちは監督にも意見をしてくるようになったという。「外から見たら、『監督に盾突いているよ』と思う人もいるかもしれません。でも、僕は『主体性が出てきたな』とうれしかった」と太田監督は言う。

 初戦に勝利し、龍谷はさらに勢いが出てくるだろう。初出場校ながら、しっかりと応用力を身に着けてきた選手たちが、どこまで勝ち進めるか、今後も注目だ。

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