FOLLOW US

<東山>決して驕らない“注目の逸材”久乗聖亜、ついに選手権へ【選手権出場校紹介】

2018.12.27

東山のエース・久乗聖亜 [写真]=森田将義

 東山高校の10番FW久乗聖亜(3年)は大会の主役になる可能性を秘めた選手だ。持ち味は柔らかなボールタッチと視野の広さを活かしたパス。高校3年間で華奢だったフィジカルが強くなってからは、飛び出しやポストプレーにも磨きがかかり、ゴール前での怖さも増した。中学時代はJアカデミーに所属しながら、ユースへ上がれなかった経歴やプレースタイルからOBの鎌田大地(シント・トロイデン)と比較する声も多い要注目のストライカーだ。

 これまではチームが全国大会に出場できなかったため、陽の目を浴びる機会が少なかったが、今年はインターハイに出場し、ブレイク。準々決勝で貴重な同点ゴールを挙げるなど、エースとして奮闘し、大会優秀選手にも選ばれた。選手権予選では戦術的な理由で、後半途中にピッチから退く試合も多かったが、準々決勝と決勝ではチーム唯一の得点をマークし、22年ぶりの選手権出場に大きく貢献した。

 能力、結果ともに貢献度はチームの上位に入る選手だが、決して驕ることはない。福重監督も評価するのも、テクニックよりもハートの部分で、「あの子はメンタルの強さがある」と口にする。象徴的なのはインターハイ予選前の出来事だ。部で決められたルールを守れなかったら、坊主にするのが選手同士で決めたルールだが、久乗が数分ほど朝練に遅刻してきたことがあった。

 これまで遅刻は一度もなく、誰もが彼が真面目なのは分かっている。その日は天候も良くなかったため、自転車で通う久乗が遅れても怒る者はいない。福重監督は「お前には似合わないから、坊主はやめとけ」と坊主を引き留めたが、久乗は「部で決められたルールなので」と自らの意思で頭を刈り上げたという。「適当な言い訳して坊主から逃れてもいいのに、真面目というか頑固。それがあの子の良い所」(福重監督)。

 注目度は以前と比べ物にならないほど高まっており、選手権ではこれまでのように簡単にプレーはさせてもらえないだろう。だが、持ち前のテクニックとメンタルの技術を発揮することができれば、難なく乗り越えられる可能性は十分にある。高校最後の晴れ舞台で大暴れに期待したい。

取材・文=森田将義

SHARE

LATEST ARTICLE最新記事

SOCCERKING VIDEO