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<岡山学芸館>“まさか”の躓きから夏の鍛錬で復活 目標は「ベスト8」【選手権出場校紹介】

2018.12.26

岡山学芸館の主将・永田一真 [写真]=安藤隆人

 岡山学芸館の2018年度は、中国新人大会で優勝を果たす幸先のいいスタートだった。

「ここから調子を上げて行きたい」

 そう語っていたのはナンバー10を背負うMF永田一真(3年)。屈強なフィジカルと分厚い上半身を生かし、フィジカルコンタクトで負けない迫力あるドリブルでゴールに向かって行くエースは、「全国ベスト8の目標を達成したい。今年の1年が勝負になると思う」と意気込んでいた。

 しかし、その目標を達成する最初のターゲットとなったインターハイ予選で、準々決勝で伏兵・倉敷古城池にまさかの敗戦。

「ウチらしいサッカーができず、ボールを失う回数があまりにも多過ぎた」と高原良明監督が語ったように、攻守が噛み合ず、持ち前のポゼッションからの素早い攻撃が影を潜めたことで、足下をすくわれた。

 この敗戦のショックは思っていた以上に大きく、プリンスリーグ中国にも大きな影響を及ぼしてしまった。インターハイ予選前は2勝1敗2分だったが、予選後はガイナーレ鳥取U-18にいきなり0-4の大敗。そこから高川学園に0-2、同じ県内の玉野光南に1-1、同じく同県の作陽に1-3の敗戦と、夏の中断期間に入るまでに大きく順位を落とした。

「もう夏に立て直すしかなかった。インターハイ予選から選手間の距離がどんどん広がってコンパクトにできなかったからこそ、セカンドボールを拾えなかった。インターハイのない夏場の期間でそこを徹底して取り組みました。一人ひとりのハードワークと、選手間の距離を詰めることを重点的に取り組みました」(高原監督)。

 もう一度、自分たちの本来の姿を取り戻すべく、7、8月は一日一日を無駄にせずに徹底して取り組んだ結果、チームは再び上昇気流を描いた。9月に入ると接戦へ持ち込めるようになり、選手権予選直前のプリンス中国第15節では鳥取U-18に5-0の圧勝。前期のリベンジを果たした。

 勢いに乗って選手権予選に臨むと、準々決勝で倉敷古城池を3-1、準決勝で玉野光南を1-0で下して決勝に進出。ファイナルでは今年一度も勝てていない作陽に対し、2点を先行される苦しい状況だったが、「臆することなく前からプレスを掛けにいくことを強調した」と高原監督が語ったように、夏場に鍛えたハードワークと精神力を発揮して前半で1点を返すと、後半終了間際にMF藤井大地(3年)が起死回生の同点弾。延長後半9分にはMF鶴海翔大(3年)が決勝弾を叩き込み、大逆転で2年ぶり2回目の選手権出場を手にした。

「本来の自分たちらしさを出せて、走り勝てたと思う」と高原監督も手応えを見せたように、夏場の追い込みが花を咲かせた。

「目標は変わらず全国ベスト8です。そこは狙いたい」

 チームの全国大会最高成績は2012年度のインターハイで成し遂げたベスト16。歓喜の瞬間を掴み獲った永田は、チームの歴史を塗り替えることしか考えていない。一度その目標を見失いかける危機を全員で乗り越えたからこそ、今の彼の目には一点の曇りも無い景色が映し出されている。

取材・文=安藤隆人

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