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<徳島市立>「絶対に恩返しを」家族思いの快足FW岡健太、晴れの舞台で大暴れを誓う【選手権出場校紹介】

2018.12.13

徳島市立FW岡健太 [写真]=森田将義

 徳島市立高校の注目ストライカー、岡健太(3年)のトレードマークは、坊主頭と屈託のない笑顔。人懐っこい性格も相まって、誰からも愛される存在だ。魅力はキャラクターだけではない。プレーも人を魅了するだけのポテンシャルを秘めている。50メートルのタイムが6秒03という快足を活かした飛び出しは観客と相手DFを驚かせるには十分な速さだ。

 中学2年生の頃から県屈指の強豪である徳島市立への進学を目標にサッカーを頑張ってきた。入学した頃の徳島市立は今よりも足元の技術を重視しており、タイプ的には決して合うチームではなかったが、「3人目の動きを意識すれば、下手なのが隠せるかもしれない」とシンプルにボールを叩き、動き直すなど工夫を続けた。加えて、練習後に毎日、シュートとトラップを猛練習した甲斐もあり、1年目からインターハイのメンバー入り。わずか1分ながらも選手権のピッチも経験した。

 迎えた2年目は、エースとして期待されたが、決定力不足が仇となり、新チーム結成直後にはスタメンから外されたこともあった。シュートを決められなかった試合数に応じて、グラウンドを全力ダッシュするなど自分を追い込んだが、課題は克服できず。あまりにも落ち込んだため、2週間ほど学校に行けなくなった時期もあった。選手権予選の決勝も決定機を活かせず、徳島北に0-1で敗戦。岡は「自分のミスで負けたから、悔しかった」と振り返る。

「俺が決めて勝つくらいの気持ちでいる」今年は、プリンスリーグ四国で2試合連続ハットトリックを記録するなど好スタートを切ったが、インターハイ予選からは再び決定力不足に陥った。夏以降はケガにも苦しみ、選手権予選の出場は準決勝と決勝のみで終わったが、2試合ともチームを勝利に導くゴールを奪うなど、逞しさが出てきた。

 チームの顔として迎える最後の選手権は負けられない理由がある。女手一つで育った岡は、4人兄妹の長男。母を手助けするために練習を終えて帰宅すると毎日、妹たちの面倒を見ながら、洗濯や掃除など家事をこなしてきた。朝は5時半に家を出るため、休まる暇はないが「母さんを支えていかなければいけない」と小学校の頃から当たり前のようにこなしてきた。

 決して裕福とは言えない家計で、サッカーを続けさせてくれた母への感謝はひと時でも忘れたことはない。岡は「遠征とかスパイクとかお金をかけてもらっているので、絶対に恩返ししたい。俺らの目標であるベスト8に行って、母さんを喜ばせたい」と晴れ舞台での大暴れを誓う。

取材・文=森田将義

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