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<長崎総科大附>ユースから高校へ“まさかの移籍” 世代別代表・鈴木冬一が選んだ試練の道【選手権出場校紹介】

2018.12.13

長崎総科大附のエース・鈴木冬一 [写真]=森田将義

 今年3月、高校サッカーに大きなニュースが飛び込んだ。2017年10月に行われたU-17ワールドカップに日本代表の一員として出場したMF鈴木冬一(3年)が小学校時代から過ごしたセレッソ大阪を離れ、長崎総合科学大附属高に“移籍”することを自身のSNSで発表したのだ。

 2018シーズンはC大阪U-18の10番を用意され、2種登録もされていたようにチームとしての評価は決して低くはなかった。だが、「大きく成長するための決断」と明かしたように高校生活の最後の年に敢えて、より厳しい場所に身を置くことで、さらに自身のレベルを上げ、プロでも活躍できる選手への成長を目指した。

 長崎では、練習環境が充実していたこれまでとは勝手が違う。選手の質で見ても世代別代表が複数揃い、J3リーグを経験している選手も多かったC大阪U-18とは比べ物にならない。移籍してから特に意識したのは自分を取り巻く周囲の違いで、鈴木は「C大阪は上手い選手が多くて、自分が盛り上がっていなくても連携が噛み合っていた。でも高体連は、一人ひとりが高い意識を持たないといけない。一人でも崩れてしまえば、全体が崩れてしまうから、C大阪でやっていた時よりも凄く厳しい。自分自身が一番盛り上げて、一番熱くなれば、チームメイトやベンチもついてきてくれると思ってプレーしている」と口にする。

 プレー面でもC大阪U-18時代とは変化が見られる。ゴール前での仕事に集中できたこれまでとは違い、今はチャンスメイクからフィニッシュまで全てをこなさなければいけない。以前とは比べ物にならない程、負担は増しているが、「セレッソにいた頃よりも、やらないといけないことが増えている。同時に自分が引っ張っていくという気持ちも大きくなっている。自由にやっている反面、結果を出さないとダメというプレッシャーもあるけど、今はプレッシャーに負けないプレーができている」と話す。

 加入当初は、試合状況に応じて、組み立て役と点取り屋役の二つの役割を使い分ける鈴木と味方の息が合わない場面も多かったが、試合を重ねるごとに連携が強化。今では「チームメイトも僕が自由なプレーをするのを分かってくれている。僕が後ろに下がると、周りの選手が前に行ってバランスを取ってくれたり、良い関係が築けている」と口にするほどだ。

「凄く厳しい環境でやれたことで、これから社会に出て何らかのキツいことがあっても、乗り越えられる自信を得た。そういうメンタルの所が、ここに来てから鍛えられたと思う」。そう話すように長崎へ来たことを後悔はしていない。以前よりも逞しくなった姿を選手権の舞台で見せつける。

取材・文=森田将義

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