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<四学香川西>卒業後は競輪選手に転身 DF白石圭吾、サッカー最後の大舞台へ【選手権出場校紹介】

2018.12.12

四国学院大香川西のDF白石圭吾 [写真]=森田将義

 高校生の選手はいつ、どんなきっかけで急成長するか分からない。多いのは、高校3年生を迎えたタイミングだろうか。仲間と一緒にプレーできるのが残りわずかとなり、少しでも長くプレーしたいという想いから、一皮剥けるケースだ。ケガ人など“出られない選手の分まで頑張ろう”という想いがブレイクのきっかけになるケースも珍しくない。

 四国学院大香川西のDF白石圭吾(3年)が急成長を遂げたのは、サッカーを諦めたタイミングだった。

 粘り強い守備と味方を盛り上げる声を買われ、入学初年度にはプリンスリーグ四国の開幕戦でスタメンに抜擢されたがスピード不足が露呈し、徐々に出場機会が減少。2年目は1度もAチームのピッチに立てなかった。最終学年を迎えた今年も、2月の新人戦で出場機会を得られず、「ボールを蹴りながら、なぜ試合に出られないんだろうと悩んでいた」

 苦悩から抜け出すきっかけとなったのは、母から「頑張ったら頑張っただけの成果が出るスポーツ」と紹介された競輪だった。インターネットで調べると興味が沸き、6月に地元・和歌山へ帰省したタイミングで競輪を初めて観戦。「1ミリの差で勝敗が変わる。サッカーとは比べ物にならないくらい厳しい勝負の世界で、ここで勝負してみたいと思った」

 卒業後の転身を決意した白石は、競輪の練習にも参加。40分間ひたすらペダルをこぎ続けるトレーニングを経験し、自転車から降りた瞬間に、その場で倒れこんだ。

「あの時の足の感覚は今でも忘れられない。サッカーの練習でしんどいと言っている場合じゃなかった。そこからは一切弱音を吐いていない」

 高校を出た後は、布居寛幸選手の弟子になることが決まっている。師匠の下で競輪のイロハを学んでから、試験を経て日本競輪学校に入学。約1年半のトレーニングを積んだ後にデビューするのが目指すルートだが、高校から自転車競技に励む志願者も多く、道のりは決して楽ではない。遅れを取り戻すために、現在は練習後やオフの日に近くのトレーニングルームで自転車を漕ぎ続けている。

 そうした取り組みの成果はサッカーの世界でも活き、「競輪選手を目指し始めてから、足が少し早くなった」(大浦敬恭監督)。厳しい勝負の世界に触れ、「絶対に勝ちに拘ろうと思えるようになった」(白石)ことも成長を後押し。夏以降は不動の座を掴み、4年ぶりの選手権出場に貢献した。

 今回の選手権が、サッカー選手として挑む最後の大舞台。「チームが勝つためなら、僕はどんな犠牲になるつもりでいる」と意気込むように、競輪の世界で気付いた勝負に対する貪欲さで、チームに貢献するつもりだ。

取材・文=森田将義

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