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【インハイプレビュー】“久我山らしさ”で掴んだ全国切符…「強い久我山を僕たちの代で築きたい」(國學院久我山)

2018.07.30

主将の竹浪良威は「強い久我山を僕たちの代で築きたい」と今大会へ意気込んでいる [写真]=吉田太郎

 2015年度の選手権で前橋育英(群馬)や青森山田(青森)を破って東京都勢として17年ぶりとなる決勝進出。「美しく勝て」をモットーに、國學院久我山(東京)は技術と判断力を駆使した攻撃サッカー、そしてハイレベルな文武両道でも注目を集めた。

 今回のインターハイは、それ以来となる全国大会出場だ。現在、V・ファーレン長崎でプレーするMF名倉巧ら全国準優勝メンバーの主力半数を残した16年度は、インターハイ予選が東京都の1次トーナメント、選手権予選は初戦でいずれも敗退。昨年度はインターハイ予選で代表決定戦、選手権予選でも決勝まで駒を進めたが、いずれもそこで惜敗し、全国には手が届かなかった。

「勝つための絶対はない」。周囲から評価されるようなサッカーをしていても、結果はついて来なかった。迎えた今年、清水恭孝監督、選手たちがこだわっているのは、「より自分たちを出して行こう」ということだ。もちろん、昨年、一昨年も自分たちの特長を出すこと、質の高いサッカーを表現することにこだわっていたが、選手権準優勝の後で注目される中、どうしても結果を追ってしまう部分があった。

 だが、今年はより“久我山らしさ”を表現することを徹底。春先は結果が出なかったが、対面パス一本一本からしっかりと精度向上に取り組んできたこともあり、“久我山らしい”サッカーが良い形で結果にも結びついている。セービング能力よりもビルドアップ能力の高さを期待されて先発起用されているGK生垣海渡や、本来中盤のレフティーCB豊田歩、元FWのCB加納直樹、司令塔のMF高橋黎が後方から丁寧にビルドアップ。ボールを正確に動かしながら相手の守りのズレを作り出し、そこをドリブルや鮮やかなパス交換でこじ開けてゴールを奪う。

 今年のインターハイ予選1回戦では、昨年度の選手権予選決勝で敗れた実践学園に2-1でリベンジし、修徳との2回戦では試合終盤に先制されたが、終了間際に追いついて延長戦で勝利。多摩大目黒との代表決定戦ではFW宮本稜大のハットトリックの活躍によって全国切符を勝ち取った。

 主将の左SB竹浪良威は「また、強い久我山を僕たちの代で築きたい。今年のチームの目標としてチャンスを多く作る、攻め続ける、攻めの姿勢を見せるというのがある」と語っていたが、彼らは自分たちのやるべきことを表現し、“強い久我山”を取り戻してきている。今の選手たちは久我山で全国を戦った経験はない。それでも、やってきたことに自信をもって戦い、今夏、國學院久我山の名をまた全国に知らしめる。

文=吉田太郎

By 吉田太郎

サッカー専門媒体を中心に、主に育成年代の取材活動を展開。

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