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初の単独優勝を飾った流経大柏、前回2位の悔しさ晴らした2人のリーダー

2017.08.04

流経大柏がインターハイ優勝を飾った [写真]=平野貴也

 昨季の悔しさを知る2人の働きが大きかった。平成29年度全国高校総合体育大会(通称:インターハイ)のサッカー競技大会は4日にユアテックスタジアム仙台で男子の決勝戦を行い、流通経済大学付属柏高校(千葉)が1-0で日本大学藤沢高校(神奈川)を下して9年ぶり2度目の優勝を果たした。初優勝は、雷雨のために決勝戦が中止となり、同県勢の市立船橋高校(千葉)と両校優勝だったため、初の単独優勝となった。喜びを爆発させる選手も多い中、昨季から主力として活躍し、今季のチームを引っ張ってきた2人は、ともに「嬉しいというより、ほっとした」と張り詰めた緊張からの解放感に満たされていた。

 優勝の原動力となったのは、主将でボランチを務める宮本優太と、攻撃の主軸である菊地泰智だ。ともに昨季から主力としてプレーし、前回大会の準優勝を経験している。流経大柏は、今大会で堅守速攻を徹底した。宮本は、最終ラインと中盤の関係をコントロールしながら、球際を戦い、前線へパスを飛ばした。隙のない守備で相手に精度を上げる余裕を与えなかった。榎本雅大コーチも「そこまでは行けないだろうとこっちが思うところまで、優太は行って、ボールを取ってしまう」と感心する働きぶりだった。

 小柄で足下の技術で勝負するタイプの菊地は、ロングパス主体で特徴を生かすのが難しい展開の中で、我慢してセカンドボールを拾ってラストパスで勝負をしたり、味方のパスに合わせて抜け出したりとゴールを狙い続けた。こちらは、本田裕一郎監督が「(強豪の流通経済)大学とやっても、菊地は落ちない。上のレベルでも十分にできると踏んでいる。どのポジションでもできるし、どんな戦術でも理解する。どこか(プロクラブが)拾ってくれればいいんだけどね。守備もできて、攻撃ができる」と絶賛する選手で、試合の流れに応じてサイドハーフ、ボランチ、トップ下と中盤のすべてのポジションで対応。決勝戦では特に鋭いプレスバックでボールを奪うシーンも何度かあり、守備面で目覚ましい働きを見せた。

 2人とも、今季のチームを引っ張る責任を感じていた。宮本は「昨年から試合に出場している自分と泰智が、絶対に優勝しようと言い合って、厳しいことも言って来たから、良い結果が付いて来たと思う」と話し、菊地も「前回大会で決勝まで進むイメージはつかめていたので、優太と2人で合宿からチームを引っ張って来ました。どういうところで何が必要になるか、どれだけきついかを伝えて来たことは、プラスに働いたと思います。負けたら後悔するということは、みんなが思っていたので『(練習などで)辛い思いをするよりも負ける方が嫌だろ』という話はして来た」と共感を示した。

 菊地の話からは、2人の信頼関係が強くうかがえた。この日、守備面の貢献が大きかったことに触れると「優太は普段から守備を全部やってくれて、その上で攻撃もサポートしてくれる。だったら、自分も攻撃を頑張っているときに、守備もやらなければいけないと思ったという感覚で走りました」と理由を明かした。絶対にチームを優勝させると誓った2人の働きなくして、今大会の優勝はなかっただろう。攻守のつなぎ役である2人の結束力こそ、チームの粘り強さの象徴だった。

文=平野貴也

By 平野貴也

元スポーツナビ編集部。フリーに転身後はサッカーを中心に様々な競技を取材するスポーツライターに。

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