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湘南内定FW新井光、一年越しのリベンジ果たす「今年は本当に勝ちたかった」

2017.07.29

来季湘南内定が決まっている市立長野の新井 [写真]=川端暁彦

 7月29日、全国高校総体男子サッカー競技1回戦が宮城県内各地で行われた。信州の新鋭校・市立長野高校(長野)は鹿島学園高校(茨城)と対戦。全国大会での実績も豊富な相手に対して堂々たる戦いぶりを見せ、2度目の挑戦にして全国初勝利を掴み取った。

 その中心にいたのが、来季から湘南ベルマーレへの加入も内定しているFW新井光だ。序盤から運動量豊富に攻守両面で顔を出しながら連続性のあるプレーを継続。スキルの高さを随所に見せつつ、後半20分にはMF小林恭也の速いクロスにダイレクトボレーで合わせて先制点も奪い取った。自身も「練習していた形」と胸を張るファインゴールだった。

 この後セットプレーから1点を加えた市立長野は、鹿島学園の反撃を1点に抑えて逃げ切り。昨年はFW安部裕葵(現 鹿島アントラーズ)を擁した瀬戸内高校に1-5と大敗を喫して大会を去る屈辱的な結果だっただけに、新井にとっては1年越しのリベンジ達成という意味もあった。「去年は悔しい経験をして、今年は本当に勝ちたかったので」(新井)と、白い歯をのぞかせた。

 そのプレーぶりは昨夏とは大きく違っていた。技術は当時から高く、参考にしているという香川真司(ドルトムント)を彷彿とさせるようなボールの引き出し方とターンの上手さは当時からあった。芦田徹監督が「かなり変わったと思う」と語るように、球際でのバトルの意識が向上し、絶対的な運動量も大幅に増えた。「リーダーシップを取るところも苦手だったのに、この試合のハーフタイムでは彼が積極的に周りに声を出していた」(同監督)と、指揮官も驚く変貌ぶりを見せた。

 変化の理由は、昨年の総体の屈辱的な負けに加え、湘南の練習に招かれるようになったことにある。曹貴裁監督は初見で練習に入って違和感のないプレーを見せたその資質を高く評価しつつ、同時に他の選手と変わらぬ要求もしてきた。

「(湘南の練習には)行くたびに成長できている感覚がある。1度目より2度目、2度目より3度目と少しずつ成長できている。高校とはプレッシャーが違うし、判断や球際のところは変わったと思う。運動量も増えた」(新井)

 全国舞台で「独特な雰囲気があって、やっていて楽しかった」という感触を得て、成長の手ごたえを感じた上で、新たな目標も設定しつつある。これまで年代別日本代表には1年生のときのU-16日本代表に1度呼ばれたのみだが、「もう一度入りたい」という気持ちが強まっているのだ。

「あの時一緒にやった同い年の選手が飛び級で上の代表に呼ばれたりもしていて、本当に自分にとっても刺激になった。日本代表に、もう一度あの場所でやりたい気持ちは当然強く持っているし、この大会でしっかりアピールしたいという気持ちはあります」(新井)

 実はU-18日本代表の秋葉忠宏コーチもこの試合を視察しており、ポジティブな評価はしていた。あとはより対戦相手が強くなっていく中で、どこまで「呼んでみたい」と思わせるプレーをできるかどうかだろう。屈辱の夏から1年を経て逞しく生まれ変わった新井光が、二つの夏を経て、大きく羽ばたこうとしている。

取材・文=川端暁彦

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