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【コラム】J選抜との対戦で圧巻のインパクト…今季高校サッカーの注目株たち

2017.02.20

先制ゴールをマークした町野修斗(履正社高校) [写真]=Getty Images

 2月18日、『FUJI XEROX SUPER CUP 2017』に先駆けて行われた『NEXT GENERATION MATCH』。U-18 Jリーグ選抜と日本高校サッカー選抜の“ライバル対決”という形で今年8回目の対戦となった。

 J選抜は注目の中学3年生FW久保建英(FC東京U-18)と飛び級で昨年のU-19日本代表にも選ばれたFW中村駿太(柏レイソルU-18)の2トップ。中盤から後ろにもMF平川怜(FC東京U-18)、藤本寛也(東京ヴェルディユース)、DF橋岡大樹(浦和レッズユース)、GK大迫敬介(サンフレッチェ広島ユース)といった各年代別日本代表で主力を張る選手たちがズラリと並んだ。Jリーグ関係者の中には「史上最強のメンバーがそろった」と評する者もいたのだが、これも決して的外れな意見ではないだろう。

 だが、フタを開けてみれば、その布陣が機能した時間帯は限定的で、生まれた決定機も高校選抜側の体を張った守備やGK廣末陸(青森山田高校→FC東京)の好守に阻まれることとなった。一方、高校選抜攻撃陣は相手のスキを見逃さずに4得点。試合は結局、4-0という予想外の大差に終わることとなった。

 個人のパフォーマンスという意味でも、集まった観衆にインパクトを残したのは高校選抜サイドだろう。高校2年生たちが好プレーを見せていたのも印象的だ。その筆頭、ディフェンスラインで唯一フル出場を果たしたDF阿部海大(東福岡高校)は久保・中村の強力2トップに粘り強く対応しつつ、得意のヘディング対応でも確固たる存在感を見せ付けた。直近に初選出で参加したU-18日本代表のスペイン遠征ではチームにフィットし切れなかったようだが、その反省から今回の高校選抜では「オフ・ザ・ピッチから積極的にコミュニケーションを取るように心掛けた」そうで、ピッチ上でも納得のハイパフォーマンス。あらためて今季の高校サッカーにおける目玉選手の一人であることを印象づけた。

 目の覚めるようなミドルレンジからのボレーシュートで先制点を奪ったFW町野修斗(履正社高校)も一気に注目度を高める活躍ぶり。181センチの大型ながら柔らかなボールタッチと質の高いキック精度が光り、このチームではトップ下でプレー。元々中盤でのキャリアが長い選手だけに違和感なく役割をこなし、観衆を沸かせた。高校サッカー選手権は無念の大阪府予選敗退となっていたが、その悔しさを晴らすかのようなプレーぶりだった。年代別日本代表の経験はないが、すでに複数のJスカウトが興味を示しており、大ブレイクの予感も漂う。

 左サイドバックとして奮戦したDF杉山弾斗(市立船橋高校)は、「攻守の運動量と攻撃面を買われている」(杉山)U-18日本代表の超攻撃派。この試合はむしろ「青森山田と市船のサッカーは似ているところがありますから」と、戦術的に渋い仕事でも貢献していたが、彼もまたプロ入りの有力候補。今季の市立船橋は「今のままではまずい」という状況だと言うが、同時に「自分が引っ張っていく」とリーダーとしての成長を見せたい考えだ。「攻撃的サイドバック」の枠を超えた、より総合的な選手への成長を期待しておきたい。

 また後半からの交代出場で1得点をマークしたFW安藤瑞季(長崎総科大学附属高校)は、強引なまでの推進力とゴール前での“怖さ”を持ったストライカーらしいストライカー。先の高校選手権では無念の結末に終わったが、その悔しさをバネにして「チームを支えるんだという自覚も出てきた」と名伯楽・小嶺忠敏監督も目を細める成長を見せており、U-18日本代表のスペイン遠征でも確たる存在感を示して評価を上げている。

 彼ら以外にも選手権で結果を残したFW飯島陸、DF渡邊泰基(ともに前橋育英高校)もおり、今回の高校選抜は下級生の活躍が目立った。2年後のU-20ワールドカップを目指すU-18日本代表の活躍も本格化する今年、高校サッカーの次代を担う彼らがどこまで伸びていくのか。もちろん今回の選抜チームに入っていない中にも逸材はおり、その成長をしっかりと楽しみに見守っていきたい。

文=川端暁彦

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