2017.01.09

“昇龍の如く頂へ” 青森山田が悲願の選手権制覇、影にあった龍神の存在

第95回全国高校サッカー選手権大会で優勝した青森山田 [写真]=兼子愼一郎
育成年代を中心に取材を続けるサッカーライター

 監督就任から22年。青森山田の黒田剛監督が「高校サッカーに携わっているからには絶対に獲りたいタイトル」と口にしてきた全国高校サッカー選手権大会で頂点に立った。優勝の要因は臨機応変な戦いぶりだろう。創設初年度から参加するプレミアリーグEASTでは、ボールをじっくり繋いでくるJユース勢との対戦が続き、ブロックを作ってしっかり守り、自らがカウンターから攻撃を繰り出す機会が多い。反対に高体連と対峙するインターハイや選手権は自らがボールを持つ時間が増え、守備はカウンターを食い止めるかが勝負を分けるポイントになる。

「プレミアに慣れてしまうと高体連のサッカーに適応しにくくなる。今年はどっちのサッカーもできるように意識してきた」(黒田監督)と万全な準備を進めた結果、第95回全国高校サッカー選手権大会の準々決勝と準決勝の2試合は後者のスタイルできっちり勝利を掴んだ。技術力の高い選手が揃う前橋育英との決勝では、よりプレミアでの戦いに近い、ボールを持たれる展開を想定していたが、序盤はDFの裏を狙われた。慌てる場面も見られたが時間経過とともに順応し、終わってみれば5-0という大差で試合を終え、日本一を掴んだ。

 戦術的な要素とともにチームのエンブレムに使用する龍も勝ち上がりを支えたのかもしれない。2015年2月、黒田監督が指導法を勉強するため、多くのJクラブがキャンプを行う宮崎へ行き、鹿児島実業高の森下和哉監督からピッタリなパワースポットとして紹介された「霧島東神社」へと足を運んだ。霧島東神社は宮崎と鹿児島の県境に位置する霧島山周辺にある6つの神社の総称「霧島六社権限」の一つで高千穂峰の中腹、標高500メートル付近に鎮座。第十代崇神天皇の代に創建され、天孫ニニギノミコトが降臨された際、初めて祖先の神々を祀ったという言い伝えがある。広大な敷地内には龍が住むとされる「御池」、龍神の安息地と伝えられる「龍神の泉」などが点在。そして、殿内奥には雄雌が一対となった龍柱が祀られており、参拝した黒田監督は神秘的な雰囲気に圧倒されたという。

 この年はプレミアリーグEASTで2位となり、選手権ではベスト4まで進出。2016年度は龍の透かしが入ったユニフォームを採用するなど、これまで以上にチームの象徴として龍を大事に扱った。(ちなみに、今大会で着用している2017年度モデルにはカモフラ柄の中に青森の名産であるリンゴの模様が隠されている)。2度目の参拝を行った2016年は、夏にインターハイでベスト4まで進出。12月にはプレミアリーグEASTで初めて頂点に立つと、勢いのままチャンピオンシップも制し、高校年代No.1の称号を手にした。そして、2016年度の締めくくりとなる選手権では念願の日本一を達成。黒田監督は「行ってからの成績は本当に凄い。御利益ってあるんだなって思った」と口にする。龍神に見守られた今季の青森山田は天に昇る龍の如く、頂へ昇った一年だった。

取材・文=森田将義

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