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限界越えても交代なし! 流経本田監督「コイツらにそういう経験がない」

2014.05.02

先制PKを決めるDF小川諒也。流経はこの1点を固守した【写真】=川端暁彦

 高校年代最高峰のリーグ戦である高円宮杯U-18プレミアリーグ。そのうち、東西2ブロックの東日本地区に相当するEASTリーグで、前年度王者の流通経済大学付属柏高校は2勝1分の2位につけている。3試合を終えて、王者の手応えはあったのだろうか。

 MF青木亮太(→名古屋)、小泉慶(→新潟)といった主軸となっていた選手が軒並み抜けたことによる戦力低下は確かにあるのだろうが、新たに出場機会を得ている新3年生たちの能力は決して低くない。ただ、精神面でのタフさは総じて不足気味。ここで言う精神面とは、落ち着きなどを含めた、たくましさ。「勝利経験」「成功体験」という言葉に置き換えてもいい。「自信」という名の強さは、やはり実戦の中でしか得られない。

 柏レイソルU-18との激突となった4月29日の“柏ダービー”は、そうした点で深い意味を持つゲームとなった。ゲーム内容としては「褒められないよ」と本田裕一郎監督が苦笑を浮かべたように、特に後半はレイソルのポゼッションプレーに振り回される形で劣勢に陥った。だが、選手たちはまさに死に物狂いでボールに食らい付き続けた。左SBの久保和己は、後半途中から完全にガス欠。だが、本田監督は交代のカードを切らない。走れない限界を越えてなお走ろうと踏ん張るその姿は、この日の流経を象徴していた。

「コイツらにはそういう経験がなかったから」と本田監督は言う。交代カードを温存したのは、現在2年生チームがイタリア遠征中のためにベンチの駒が不足していたという現実的な理由だけではないだろう。ゲームキャプテンを務めるボランチの相澤祥太も、体力的な限界が見えてなおピッチに残した。レイソルの下平隆宏監督が「10番(相澤)は相当なテクニシャンですけれど、あれだけの技術を持った選手が本当にボロボロになるまで守備をしている。流経からは、そうした人間的な強さを感じた」と話したように、この日の流経は限界を迎えた“その先”で真価を示した。結果は1-0の勝利。普通の試合ではちょっと得られない経験値を積み上げたゲームだったとも言える。

「ヘロヘロになったけれど、自信になったでしょう」。いつも辛口の指揮官は、そんな言葉でこの試合を総括。ボロボロのゲームだったからこそ、つかんだモノも大きかったに違いない。

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