2013.01.13

[京都橘-桐光学園]神出鬼没の仙頭をつかまえられず、桐光学園が京都橘に屈する/選手権

出場2回目の京都橘が堂々たる戦いぶりで決勝進出を決めた [写真]=高見直樹

第91回全国高校サッカー選手権大会 準決勝 京都橘-桐光学園
2013年1月12日(土)/14:25キックオフ/東京都・国立競技場/観客26880人/試合時間90分

京都橘 3(1-0、2-0)0 桐光学園

<得点者>
前半42分 仙頭(京都橘)
後半31分 小屋松(京都橘)
後半39分 伊藤(京都橘)

 前半42分、京都橘が桐光学園の堅い守備を打ち破った。今大会、(5)高林に代わってキャプテンマークを長く巻いている(7)仙頭がチャンスを演出し、最後は自分で押し込み先制点をゲット。後半に入ると、左ふくらはぎ痛で別メニュー調整が続いていたエース(10)小屋松が左足でシュートを流し込み、追加点を奪う。終了間際の後半39分にはカウンターから(8)伊藤が3点目を挙げ、全国出場2回目の京都橘が、優勝候補の最右翼と目されていた桐光学園を3-0で下し、初優勝に王手をかけた。

■神出鬼没の仙頭をつかまえられず、優勝候補の桐光学園が新鋭・京都橘に屈する

 開始直後、ビッグチャンスが生まれる。今大会2人で7ゴールを挙げ、チームをけん引してきた(7)仙頭啓矢のスルーパスに、(10)小屋松知哉がフリーで抜け出し、GKと1対1の場面を迎える。(10)小屋松の放ったシュートは桐光学園GK(1)長津大裕がなんとかブロックしたが、このプレーがその後の試合展開を暗示していた。

 京都橘と桐光学園は、ともに4-4-2のシステムだが、選手の役割は大きく異なる。なかでも特徴的だったのが、京都橘自慢の2トップ、(10)小屋松と(7)仙頭の関係性だ。(10)小屋松を1トップ気味に前線に残し、「監督からは『自由にやっていい』といわれています」という(7)仙頭が、前後左右ダイナミックに動き回る。(7)仙頭は最前線でプレーしたかと思えば、中盤の深い位置でボールを受けてビルドアップに加わる。さらには左右のワイドに張り出した位置でボールを受けたりと、神出鬼没の動きで堅守を誇る桐光守備陣をかく乱した。

 先制点も(7)仙頭と(10)小屋松が基点になって生まれた。互いにチャンスらしい場面がなく、こう着状態で迎えた前半終了間際。センターサークル付近から、(7)仙頭がドリブルで持ち上がると、(10)小屋松へスルーパス。(10)小屋松が落としたボールを(11)中野克哉がダイレクトシュート。ボールはバーをたたいたが、跳ね返りを(7)仙頭が押し込んだ。「インターハイなど、決めなあかんところで決められなくて負ける経験をしてきたので、個人的にも絶対に点を取ってやるという気持ちで臨みました」という執念で押し込み、先制点を奪った。

 後半に入ると、桐光学園は中学時代から同じチームでプレーする(7)橋本裕貴、(2)大田隼輔を中心に右サイドから積極的に仕掛け、京都橘ゴールをこじ開けようとする。だが、京都橘のバランスの取れた守備と素早い攻守の切り替えの前に、リズムを作り出すことができない。

 京都橘は仙頭を始め、相手の動きを「見る」ことのできる選手が多かった。どんなときも自分たちのプレーをするのではなく、相手選手の走るコース、寄せてくる角度など、状況に合わせてボールをコントロールし、桐光学園の寄せをいなすようなボール運びが目立った。「いつもなら1人が寄せてコースを限定し、2人目がボールを奪うのですが、今日は2人目の選手もはがされてしまいました。もっとうまくプレスをかけて、相手のプレーを限定させるべきだった」とは、桐光学園キャプテン(2)大田の言葉だ。たとえ桐光学園がボールを奪ってもいい形ではないので、次のプレーにスムーズにつながらない。そうこうしているうちに、京都橘の守備陣形が整い、攻撃が跳ね返されてしまう。桐光学園にとっては、フラストレーションのたまる試合展開だった。

 後半31分、試合の行方を決定づけるゴールが生まれる。右サイドの高い位置でボールを奪い合った(8)伊藤大起のところから、(10)小屋松へボールが渡る。ゴール前でボールを受けた(10)小屋松はキックフェイントでDFをかわすと、左足で正確なシュートをゴール左隅に流し込んだ。冷静さとテクニックが高いレベルで融合したエースのゴールで、京都橘がリードを広げた。1点を早く返したい桐光学園は、キャプテンの(2)大田のロングスローを基点に京都橘ゴールに迫るが、あと一歩が遠い。すると後半44分、カウンターから(8)伊藤が3点目をゲット。出場2回目のニューフェイス、京都橘が堂々たる戦いぶりでファイナル進出を決めた。

◆試合後の監督・選手コメント

京都橘・米澤一成監督
「桐光さんは力のあるチームなので、守備意識を高めて試合に臨みました。守備に関して、選手たちはボールによく行っていました。セカンドボールに対する意識も高く、よく足が動いていました。桐光さんは守備が強く、(10)松井君からの配球、サイドにテクニックのある選手がいて、(9)野路君の抜け出しなど、どうやって止めるかを考えました。そこで『個では負けるから、みんなで戦おう』という意識づけをしました。最初から堅いゲームをしようといっていて、継続できたのがよかったと思います。得点場面については、カウンターの形にならざるを得ず、こぼれ球にうまく詰められた。ラッキーな部分もありました。次は決勝戦ですが、目の前の試合にこだわって一戦一戦やってきたので、次も集中して戦いたいです」

京都橘・(7)仙頭啓矢
「国立は小さいころから、ずっと夢見てきた舞台。ゴールを決めることができて素直にうれしいです。今日の試合では、相手のラインが低くてスペースが空いていたので、セカンドボールを拾うことを意識してプレーしました。攻撃では、自分たちが理想としているコンビネーションやショートカウンターの形からゴールを決めることができたので、自信になりました。決勝まで来られるとは思っていませんでした。想像以上です」

桐光学園・佐熊裕和監督
「ゲームプランとして、前半は失点1までに抑えて、後半につなげようという指示を出しました。攻撃に関して、攻め切ることができずにカウンターを食らう場面が多かったです。注意していたのですが、想像以上にカウンターを食らってしまいました。そこは悔いが残る点です。今年のチームは、能力の高い選手が多いわけではなく、チームとしてなんとかしようということで立ち上げて、組織を形にして戦ってくれました。勝ち切れなかったのは、私の力不足だと反省しています」

取材・文=鈴木智之(スポーツライター) 写真=高見直樹

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