2013.01.05

[立正大淞南-鵬翔]立正大淞南オフェンスを封じた鵬翔の堅守のメソッド/選手権

原田駿哉
DF原田駿哉のヘディング弾で鵬翔の先制した [写真]=鷹羽康博

第91回全国高校サッカー選手権大会 準々決勝 立正大淞南-鵬翔
2013年1月5日(土)/12:05キックオフ/千葉県・フクダ電子アリーナ/観客2688人/試合時間80分

立正大淞南 1(0-2、1-1)3 鵬翔

<得点者>
前半30分 原田(鵬翔)
前半36分 柏田(鵬翔)
後半8分 隅田(立正大淞南)
後半13分 芳川(鵬翔)

 序盤から立正大淞南が高い位置に基点を作り、(14)田路の仕掛けや、快足の左SB(10)高橋の攻め上がりを生かした(13)隅田のカットインから立て続けにチャンスを築くが、DFラインにアンカーの(5)矢野大樹を合わせた鵬翔の守備をこじ開けることができない。すると前半30分、鵬翔は右サイドで得たFKから、(14)芳川のキックにファーで(3)原田が合わせて先制。その5分後には左のCKから、立正大淞南GKの(1)添谷舞樹がキャッチミスしたこぼれ球を(2)柏田がボレーでゴールに突き刺し前半で2点差にした。後半、怒とうの攻撃を見せる立正大淞南はハイボールの競り合いのこぼれから(14)田路がペナルティーエリア右に侵入すると、CBの(3)原田が倒してしまいPKに。これを(13)隅田が右足で決め1点差に迫った。しかし鵬翔は、後半13分に右ワイドのFKから、(8)小原が入れたボールに(14)芳川が戻り気味のヘッドで合わせて3点目のゴールネットを揺らした。その後も攻め立てる立正大淞南に対し、終盤には鵬翔がFWの(10)北村を下げて(15)小川を入れて自陣を封鎖。守護神の(1)浅田の好セーブもあり、そのまま逃げ切り。鵬翔が宮崎県勢として初のベスト4、そして国立行きを決めた。

◆立正大淞南オフェンスを封じた鵬翔の堅守のメソッド

「みんなで気持ちを1つにして守備から入る」とは鵬翔のアンカーを務める(5)矢野大樹が強調した言葉だ。OBである増田誓史や興梠慎三のようなずば抜けたタレントは現時点では見当たらない。しかも、本来のキーマンである(13)中濱健太は、左ヒザを手術した影響でジョーカーとしてしか起用できない状況だ。だが、松崎博美監督が「きずなで結ばれている」と語るチームは全員でしっかり守備をし、そこから少ないチャンスをものにする形で選手権を戦い、準々決勝の舞台で破壊的な得点力を誇る立正大淞南をも打ち破った。

 セットプレーによるDFの3得点は松崎監督にも想定外だったようだが、「相手の本来得意な形でいい時間帯に取れたことで、相手も動揺した」と振り返る。何より相手の鋭い攻撃を、組織的なディフェンスでしっかり受け止め続けたことが勝利につながった。

 もちろん全員で体を張るだけでは、全国屈指の攻撃を止め切ることはできない。指揮官は「人を捕まえるのではなく、ボールを捕まえること」を徹底させた。特に注意したのが、立正大淞南の南健司監督が“エリア背後”と表現する中央のトリッキーな崩しだ。「中盤がうまくて、FWにボールが入ったあともヒールパスなどを使ってくるのは分かっていた」と(5)矢野。とにかく相手の足元に突っ込まず、(3)原田駿哉と(14)芳川隼登の両CBとアンカーの(5)矢野が距離を開けずに、粘り強く縦を切り続けた。そうした中で、ペナルティーエリア内に侵入される場面もあったが、そこは両SBやサイドMFも協力し、時には7人がゴール前でボール保持者に立ちはだかり、守護神の(1)浅田卓人を最後の防波堤としながらボールをペナルティーエリアの外にかき出した。

 唯一の失点はGKのキックを鵬翔の(12)松永英崇と立正大淞南の(23)田中龍也が競ったこぼれを(14)田路に拾われ、ワイドに仕掛けられたところでカバーにいったCBの(3)原田が右足で引っ掛けてしまったもの。その局面でも、ゴール前はしっかり守備をそろえていた。左SBから驚異的なスピードで攻め上がる(10)高橋の存在は警戒していたようだが、「サイドの2人でしっかりサンドする状況を作るように心掛けていた」と(5)矢野は語る。「(立正大淞南が7得点した)八千代戦のように、思ったよりミドルシュートを打ってこなかった」と松崎監督が語るように、ゴール前の崩しにこだわってきた立正大淞南の攻撃に助けられた部分もあったことは確かだが、攻め込まれても慌てることなく、守備の組織と集中力を維持し続けた鵬翔に国立の扉が開かれることとなった。

◆試合後の監督・選手コメント

鵬翔・松崎博美監督
「こんなに強かったのかこのチームはというぐらい、選手たちは頑張ってくれた。長いボールを蹴ってからドリブルという攻撃に対して、人数をかけて守備ができた。人を捕まえずにボールを捕まえるということを指示していたが、相手が(7点を取った)八千代のビデオで見たよりもミドルシュートを打ってこなかったですね。セットプレーはやってはいますが、特別なことをやっているわけではないし、むしろ立正大淞南さんが得意としているもの。その形からいい時間帯に得点できたことで相手が動揺したと思う。国立にはみんな行きたいだろうけど、自分もあと何年もないだろうから、先に俺に行かせてくれと。そんなに抜けた選手はいないんですが、きずなを大事にして、中学生からセントラルFC宮崎というクラブでずっと一緒にやっていることも一体感につながっていると思う。国立は本当に夢じゃないかと思いました。自分は行けるとは思わんけど、グランドに『目指せ国立』という看板は掲げてあるので。やっぱり高校サッカーをするからには目指すもので。30年は長かったですが、夢を見れば叶うんだなという心境です」

鵬翔・(5)矢野大樹
「ずっと我慢する時間が続くと思っていたけれど、それに耐えるころができた。相手の中盤がうまいことは分かっていたし、FWに入ったあともヒールなどでつないでくるのは予想していて、下手に飛びこまずに裏を取られないように注意した。ペナルティーエリアに入られたときは相手のシュートチャンスなので、人数をかけてもボールをはき出そうと。みんなで気持ちを1つにして守備から入るということです。鵬翔らしい粘り強い守備で勝ってきたので、国立でもそれをしっかりやりたい」

鵬翔・(4)澤中拓也
「3本ぐらいのチャンスがあって、それを外してしまった。チームは勝ったけれどFWの自分としては悔しい。勝ったのは目指せ国立を掲げて1戦1戦を大事に戦ってきたからだと思います。前線では相手のプレッシャーがそんなになかったので、自分がキープして、周りの動きを意識してという感じですね。(背番号4は)本田圭佑選手を意識しています。地元が大阪の摂津なので」

取材・文=河治良幸(フリーライター) 写真=鷹羽康博

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