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なぜAbemaTVは『Fリーグ』を選んだのか。決め手となった3つの理由(藤井琢倫・AbemaTV編成制作局長)

2017.11.16

2017年、FリーグはAbemaTVというネットの世界を手に入れた。なぜAbemaTVはFリーグを選んだのか? そして、どうFリーグの魅力を伝えようとしているのか? 都内にあるサイバーエージェントのオフィスで、AbemaTV編成制作局長、藤井琢倫氏が、新しいスポーツの伝え方を提示する。(2017年7月26日収録)
写真・文=佐藤功

◆Fリーグを選んだ3つの理由

――Fリーグ中継を始めた経緯についてお聞かせください。
藤井 テレビ朝日の早河洋会長からのご推薦がきっかけです。昨年も何試合か配信をさせてもらいましたが、反響もよく手ごたえを感じられたこともありいただいたアドバイスを基にやろうと決めました。

――AbemaTVのビジネス上で、Fリーグ中継はどういった位置付けになるんでしょうか?
藤井 8月から『サッカーch』と、サーフィンなどを放送している『ヨコノリch』を統合して、『SPORTS ch』を新設しました。スポーツの生中継をそのチャンネルの柱としているのでFリーグは生中継コンテンツのひとつの重要な軸として考えています。

――いろんなスポーツがある中で、なぜFリーグだったのでしょうか?
藤井 大きく3点あります。まずは、毎週のように生中継で試合配信ができる点です。週末にFリーグの生中継がいつもやっている状態を作ることができれば視聴習慣につながります。次に、若くてこれから人気が出そうな選手が存在している点。スポーツが一般の人にも普及する条件の一つにスター選手がいるかどうかがポイントになります。若くて能力が高く特徴のある選手はスターポテンシャルが高いので、そういった選手がいるかどうかをチェックしました。最後に、協会、チーム、選手がAbemaTVに対して協力的であることです。新しいファンを獲得するためには、お互い協力して様々な新しい取り組みにチャレンジしていく必要があります。この3点は、Fリーグだけではなくスポーツ中継を選ぶ時の軸としても大切にしています。

――全試合ではないものの、シーズンを通して放送ができることが大きいということですね。
藤井 そうですね、全試合配信をしている方が分かりやすいのですが、ユーザーに「いつもやっている」ことを定着させるためにシーズンを通して定常的に試合が配信できることが大きいです。

――放映権料ですが、Jリーグの場合ですとDAZNが10年で約2100億円と言われています。そこから得られるであろう資金から計算してヴィッセル神戸がポドルスキー選手、セレッソ大阪が清武弘嗣選手と大きな移籍金を支払って獲得しました。そのような大物選手の獲得の影響もありJ1の平均観客動員は現在のところ大きく伸びています。そこで今後、AbemaTVとしてインパクトのある選手を獲得するための獲得資金の援助やFリーグ全体に対しての投資は考えていますか?
藤井 現在のところは未定です。契約に関することなので放映権料の具体的な金額はお話はできませんが、投資に関してはなくはないと思います。

――具体的に契約年数は?
藤井 1年です。

――そこから契約延長をしていくという形ですね。
藤井 そうですね。

◆Fリーグの魅力がより伝わるように


――中継を見ていると、フットサルルールを説明をされていたりとフットサルを見たことない方に向けて放送されている印象があります。実際は、どういった視聴者をターゲットにされているのでしょうか?
藤井 まずは、コアファンの方にAbemaTVでFリーグが見られることを認知してもらうのが第1フェーズです。生中継の最中にゴールシーンの映像を切り出してクラウド上に保存し各チームがそこから自由に映像素材を入手できるような仕組みを作りました。それを元に各チームが独自のアカウントでPRするとか、僕らがSNSにアップしたものをリツイートしてもらうなど、選手やチームには積極的に協力してもらっています。

――試合にもよりますが、カメラの台数は?
藤井 選手がゴールを決めた時のカメラなど、4、5台で撮影しています。見ていただければわかりますが、選手の上半身アップの絵を多様しています。上からの俯瞰よりも、ピッチの横から選手の足元だったり表情を中心に、Fリーグの魅力、迫力がより伝わるような画作りを心がけています。

――AbemaTVの放送にはコメント機能があります。視聴者の反応はどうでしょうか?
藤井 比較的ポジティブな反応が多いですね。純粋に中継を楽しまれているコメントが見受けられます。いい選手に対して応援や、解説がわかりやすいみたいなコメントもあります。ゴールシーンを切り出してツイッターで拡散をしていますので、スーパープレーがあったりすると見てて面白いですよね。サッカーよりもゴール数が多いですし、ボールの扱いやドリブルもJリーグでは見られないようなテクニックが出てくるので好評です。

――中継を見ていて面白いと思ったのが選手の説明です。宮崎曉(フウガドールすみだ)の『顔色が悪すぎて「死神」と呼ばれていた』というのはドキっとしたんですけど、これは誰が作っているんですか?
藤井 クラブから情報をもらって、ウチのスタッフで作っています。コメントを盛り上げるためのひとつの施策です。テレビの中継では、なかなか出せない情報をAbemaTVではテロップで出しています。実際にコメントでいじられて盛り上がっています。

――これも初めて見る人に選手を知ってもらおうという。
藤井 そうですね。初めての人はもちろんコアな人も知らない情報があると思います。

写真・文=佐藤功(デジタルピヴォ!)

フットサルプレーヤーにFリーグ熱を。スターを生み出し150万人にリーチしたい(藤井琢倫・AbemaTV編成制作局長)/デジタルピヴォ!

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