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ベトナムとの2試合について語るFP仁部屋和弘「この経験を財産と言えるように」

2016.04.23

ベトナム戦で2ゴールを挙げた仁部屋和弘 [写真]=河合拓

 2カ月前のAFCフットサル選手権とは大きく違う姿が、そこにはあった。22日のフットサルベトナム代表戦で、フットサル日本代表というチームは1点のリードに奢ることなく得点を重ねる集団となり、そしてFP仁部屋和弘(バサジィ大分)という個人も闘志をむき出しに相手にくらいついて行った。アジア選手権のときも選手たちは戦っていたのだが、ピッチから感じる熱量、ひたむきさは明白に違った。

 本来の力を出し切れば日本代表がベトナム代表に負けることはない。7-0という快勝でそれを証明した直後、仁部屋にアジア選手権でのベトナム戦の負けをあらためてどう感じているのかを聞いた。「やっぱり勝ちたかったなというのがありますね。今日勝ったから、余計にアジア選手権で勝ちたかったなと思いますね」。

 アジア選手権での日本は、語弊を恐れずに言えば集中できていなかったのだろう。彼らが見ていたのは、2016 FIFAフットサルワールドカップ・コロンビアの出場権獲得ではなく、W杯でどこまで行くか、だった。「アジア選手権で上位5チームに入れないはずはない」。過去13大会の歴史を見てもそうだったが、その意識が相手に付け入るスキを与えた。

 木暮賢一郎監督の下、準備期間がわずか3日のチームは、シンプルに戦うことを徹底された。前線に素早くパスを出す。ボールを奪い取りに行く。一対一に負けない。そして日本代表に招集されるレベルの選手たちが、それを徹底できれば力の差は歴然だった。

 そうした戦い方を見せるためにも、2つの戦い方が必要だったと仁部屋は話す。アジア選手権のときとの違いについて聞くと、「勝ちたいっていう気持ちも、もちろんありましたし、あとはシンプルに縦に早くというのが、今日はすごく有効的でした。アジアの中ではアジアのフットサルをしないといけなかったなと、今日やって思いました。世界には世界のフットサルがありますし、アジアで通用したことが世界で通用するかは別のことだと思いますが、相手を見て自分たちの良い所を出すということが重要だったかなと思います」と、振り返った。

 ベトナムはアジア選手権のときから6人の選手が入れ替わっており、ベストメンバーではなかった。また、徹底して引いてくるような戦い方でもなかった。「アジア選手権の時のベトナムとは、だいぶ力が落ちているなと感じました。本戦では相手も殺気立って守備もしてきます」という前提を口にしながらも、仁部屋は「そうした雰囲気では違うにしても、もっといろいろな選択肢を持ってやった方が良かったなと今は思います」と、悔しさを募らせた。

 もはや時計の針は戻ることはない。日本は9月に開催されるW杯に行けない。ならば、そうなってしまった経験から学び、同じ過ちを繰り返さないようにするしかない。

「負けたことが良いとは絶対に言えませんが、僕たちが経験したことを財産と言えるようにしないといけない。それくらい日本フットサルの歴史で考えて大きな経験だと思うから、ここをベースにもっともっと良いものを出していけたらと思います。ブラジルであっても、スペインであっても、こういう経験は絶対にどこかでやっているとみんな分かっていると思うので、これから日本がもっともっと強くなるためには、この経験を糧にもっと頑張らないといけないと思います」

 24日には、ウズベキスタン代表との対戦が待っている。2カ月前のアジア選手権決勝で対戦できていた可能性のあった相手だ。来日14名のうち、12名がアジア選手権と同じ、まさにW杯に向けたベストメンバーで来日しているウズベキスタン戦で、日本フットサルの底力が問われる。

文=河合拓

By 河合拓

フットサル専門誌Pivo!編集部⇒サッカーマガジン編集部⇒ゲキサカを経て、フリーランスに。現在もサッカー、フットサルを中心に取材活動。

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