2012.11.10

フットサル代表、ベスト8を懸けてウクライナと激突…カズはW杯初ゴールなるか

カズはウクライナ相手に再びゴールを奪えるか

 フットサルワールドカップでベスト8を目指す日本代表は、いよいよ明日11日の18時半(日本時間20時半)にウクライナと対戦する。

 日本は7日のリビア戦に勝利し、史上初めてグループリーグを突破。これはミゲル監督が目標に掲げてきたことであり、この結果を受けて、監督だけでなく選手たちも一定の満足感や安堵の表情を見せていた。そして8日のオフを挟んで、9日からトレーニングを再開。そこには、また別の目標を掲げた選手たちの姿があった。

「グループリーグ突破という最大の目標を達成して、チームにも僕にも安堵感やホッとした部分はありました。でも今は、絶対に勝ちたいという気持ちで、新たな緊張感が出てきているので、もう切り替わって、目標を達成できたからよしではなくて、次の試合も勝ってさらに上を目指したい」と三浦知良は気を引き締めた。

 次のウクライナ戦に勝ってベスト8へ進出すれば、それはもちろん初の快挙だ。日本は、新たな歴史を刻み続けるため、この戦いを絶対に落とせない。

 ウクライナとは大会直前の10月27日に親善試合を行い、日本が3-1で勝利を収めている。しかし、「(親善試合を行った)旭川の時とは違うウクライナと戦わなければいけない。その時は移動などもあり、彼らは万全のコンディションではありませんでした。ワールドカップに入り彼らは上がってきているし、同じ相手ではないと思って戦う必要がある」(ミゲル監督)と、勝利が保証されているわけではないのだ。

「親善試合では、彼らは前半と後半のパフォーマンスが違いました。後半はあまり僕たちがプレス回避をできませんでしたし、強かったです。今回は本気でやってくるでしょうし、負けたら終わりのトーナメントなので油断はない」(森岡薫)

「僕らは親善試合で勝っていますが、その時とは違う。五分五分だと思っています。ブラジル、ポルトガル戦のように戦えれば勝てると思いますし、また歴史に残るような試合にしたい」(木暮賢一郎)

「親善試合の時には、後半は特に強かったイメージがあります。グループリーグの戦いをテレビで見ていても全然違うパフォーマンスでした。でも僕たちも今大会で(コンディションやパフォーマンスが)上がってきているので良い勝負ができると思う」(稲葉洸太郎)

 選手たちにも油断は見られない。ではウクライナといかに戦い、そして勝利を目指すのだろうか。

 ウクライナは、突出した個の力を持つ選手はいないものの、組織されたディフェンスとスピードを生かしたカウンターを武器に戦ってくる。68パーセントという圧倒的なボール保持率を記録したリビア戦と同様に、長い時間で日本が優位に試合を進めるだろう。

 その試合展開の中でポイントとなるのは2つ。試合の入り方に注意することと、決定機を確実にものにすることだ。ブラジル戦は立ち上がりが悪くリズムをつかめず、ポルトガル戦は、早々に2点を献上してしまった。一方でリビア戦は守備に重点を置いて試合に入ったことで、日本のリズムを生み出すことができた。このウクライナ戦でも、早々に先制点を奪われないことに最大の注意を注ぐ必要がある。

 さらに、良い流れで攻撃できている時に、確実に得点につなげられる勝負強さが重要になる。良いリズムで点を奪えずにいると、往々にして流れは相手へと傾いてしまう。さらに一発勝負のトーナメントでは、得点を奪えないことでより重圧が増していく。そこで欠かせないのが、森岡、稲葉、星翔太、小曽戸允哉ら、攻撃に特徴を出せる選手たちの奮起だ。

 そしてもう一人、覚醒を求められているのが、三浦だ。大会直前のウクライナ戦で代表初ゴールを記録したが、それ以降、まだ本大会ではゴールを奪えていない。フットサルを本格的に始めてからまだ1カ月という短い期間に成長を遂げ続ける、“キング”のゴールは、誰しもが待ち望んでいるものだろう。

 三浦には、ピッチ外での「フットサルの火付け役」だけでなく、1人のプレーヤーとしての期待も高まっている。周囲の選手たちもいい意味で“カズ慣れ”し、ピッチ上では他の選手と同様に、「もっとこういうプレーをしてほしい」という要求を出し始めている。そして彼自身も、フットサル選手として対等なプレーをしたいという欲求を胸に秘めている。「ミゲルは、『サッカーからフットサルに転向してきた選手を教えてきたりしたけど、1カ月や2カ月でこんなに覚えられた選手はいない』っていつも言ってくれるんです。『今はディフェンスシステムのやり方をずっとしてきているから、自分の持ち味まで出し切れないのは当たり前。この舞台はワールドカップで、その一番高いところでプレーしてこれだけできるんだから』と。でもそう言われても僕はもっとやりたいという自分の思いがある。僕もミゲルの言っていることは分かるし、僕もやっていてまだ戸惑うこともある。ただそれはもう関係なく、ピッチに立ったら堂々とやろうと思っていますから、それはサッカーをやってきた経験、日本代表を背負ってきた経験がものすごく大きいですね」。選手として、何ができるのか、三浦はそれを追求し、チームへの貢献度を高めようとしている。それゆえに、プレーへの向上心も半端ではない。「この短い期間でみんなに追い付けるわけがないですが、自分がピッチに立った時にベストを尽くせるように、コーチの部屋でいろんなシステムのビデオを見せてもらったり、自分のプレーを何回も見て悪いところを教えてもらったり、もっとこうしたほうがいいということを、こっちに来てからは毎日、コーチの部屋とかでやったりして動き方なども教えてもらっている。そういう意味でも自分のプレーの向上というのは常に考えています」。

 グループリーグの3戦は、三浦の出場時間は長くはなかった。というよりも短かった。ポルトガル戦では、「本当のスペシャリストでないと対応ができない」(ミゲル監督)という理由で、緊迫した展開の中、後半の出場機会を得られなかった。世の中には、選手としての三浦の起用に関して、守備面の不安やフットサルの経験不足が引き起こすミスなどを引き合いに出したネガティブな意見も出始めている。確かにその側面を否定することはできないが、ただ、この先は三浦の力なしに勝ち上がれないことも事実としてある。

 特に次の試合は、若きエース、逸見勝利ラファエルが警告の累積による出場停止でピッチに立てない。さらに、プレーは目立たないながらも、チームに欠かせない献身的な働き者である高橋健介が、右眼のケガで今後出場できなくなってしまった。フィールドプレーヤーが2人もいないのだから、必然と三浦に求められるものも増えてくる。つまり、三浦の出来がチームの勝敗を左右する可能性があるともいえる。

「僕がゴールを決めたらチームが勝ちに近付くのであれば、そのためならゴールを挙げたいし、前向きなプレーをしたい」(三浦)

 三浦が、本当の意味で日本のフットサル界を救う救世主となり、そして日本フットサル界にまた新たな歴史を刻んでくれるのだろうか。三浦の選手としての覚醒こそ、待ち望まれている。

写真・文=本田好伸

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