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勝利2日後に敗戦の通達も…奈良クラブ、PK戦やり直しの経緯と見解を発表

2018.06.15

5月26日に開幕した天皇杯、2回戦は6月6日に行われた [写真]=JFA

 JFLに所属する奈良クラブが、天皇杯JFA第98回全日本サッカー選手権大会2回戦のPK戦やり直しについて見解を発表した。

 奈良は今月6日、名古屋グランパスとの天皇杯2回戦に臨んだ。120分を終えて1-1と決着がつかず、PK戦に突入。奈良が2-4で迎えた4人目、金久保彩のキックはネットを揺らしたが、主審がキックフェイントと判断して蹴り直しを命じた。再度のシュートもゴールネットを揺らして3-4となると、名古屋の5人目が失敗して同点に。最終スコアは5-4で、奈良が3回戦進出を決めた。

 しかし11日、日本サッカー協会(JFA)が「次ラウンド進出チームの決定に直接影響を及ぼす、担当審判員による明らかな競技規則の適用ミス」があったと発表。臨時の天皇杯実施委員会を開催して協議を行った結果、1人目からPK戦をやり直すことが決まった。

 奈良は公式HPにて見解を発表。「このような決意に至るまでには多くの葛藤がありました。先日行われた天皇杯2回戦の勝利の余韻も冷めやらぬ2日後、日本サッカー協会より『主審の競技規則の適用の誤りにより、奈良クラブの敗戦とする』旨が通達され、経験したことのない絶望とやり場のない怒りがチームを襲いました」と、8日に敗戦の通達を受けたことを明かした。勝利を収めたはずのPK戦から2日後の連絡により、「その通達が覆るまでの間には、JFLのリーグ戦が行われ、複雑な思いを抑えてプレーせざるを得ない状況でした」と回想している。

 今回の「明らかな競技規則の適用ミス」は、キックフェイントと審判が判断した場合、当該選手は警告を受け、キックは失敗とみなされるはずだった点だ。今回の事例では、金久保は本来は蹴り直しをすることができないため、「4人目のキッカー終了時点で4-2となり名古屋の勝利」となるはずだった。そのため、奈良は2日後に「敗戦とする」旨を通達された模様だ。

 しかしJFAは奈良の敗戦ではなく、PK戦のやり直しを決定した。理由としては「今回は判定ミスではなく競技規則の適用ミスであること、そして試合の結果に直接影響を及ぼす場面での明らかなミスであったことから、PK方式そのものが成立していないこととみなし」たためであると、公式HPにて11日に説明されている。

 なお、JFAによる11日付の説明では、金久保のキックについて「フェイントであったか否かについては議論の余地があるとし、明日(12日)、審判委員会を開催して判断」すると記されていた。

「フェイントであったか否か」に関して、奈良は声明にて「日本サッカー協会より発表された『審判員の判定に関する審判委員会の見解について』において、『フェイントとして判定された金久保選手のキックは、正当なキックであった。即ち、主審の下した判定は誤りであった。』と報告を受けております」とも明かしている。

 適用ミスと判定ミスが重なった今回の事例。“再PK戦”の日程や会場などは現時点で決まっていないが、奈良は「選手たちは、競技者として、潔く全身全霊を尽くし、PK方式の再度実施に臨むことを誓っております」と記し、以下のように続けている。

「また、名古屋グランパス様には、これまでも私たちと友好的な関係を築いてくださっており、初めて公式戦での対戦の中で、フェアにプレーしていただき、私たちの力を存分に引き出してくださいました。試合後においても、本件に対し、真摯にご対応いただきましたことに感謝を申し上げます」

「日頃より活躍される審判員、審判アセッサー、マッチコミッショナーの皆様が、本件を糧に、更なる審判レベルの向上と競技規則の周知徹底をしていただき、2度とこのようなケースが起こらないよう願っております。これからも選手たちの真剣勝負の一瞬の輝きを裁いてもらいたいと望んでおります。私たち奈良クラブも、サッカーファミリーの一員として、ファン・サポーターの皆様に喜ばれるクラブを目指して参りますので、引き続き温かいご支援、ご声援を宜しくお願い申し上げます」

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