19日の水原三星戦へ向けてメンタル面の重要性を説いたG大阪・丹羽[写真]=GAMBA OSAKA
ガンバ大阪にとって今年で8度目の出場となるAFCチャンピオンズリーグ(以下、ACL)。うち、初出場を果たした2006年と、国内戦とともに苦戦を強いられた12年こそグループステージ敗退となったものの、それ以外のシーズンはグループステージ突破を実現。Jリーグを代表するクラブの一つとしてアジアの舞台にその名を轟かせてきた。
それは昨年も然りで、序盤戦こそ苦しみ、一時はグループ最下位に甘んじたものの、第4節のアウェイでのブリーラム・ユナイテッド戦での逆転勝利を機に白星を重ね、最終的には首位でグループステージを突破。決勝ラウンドではJクラブ勢では最高位となる準決勝まで上り詰め、再びG大阪の存在をアジアに強くアピールした。
そのG大阪が今年のACLで、まさかの苦戦を強いられている。
ここまで4試合を終えた戦績は、2分2敗。順位も4位に落ち込み、グループステージ突破の可能性を残すには、4月19日に待ち受ける第5節、ホームの市立吹田サッカースタジアムで行う水原三星戦と、第6節、アウェイでのメルボルン・ビクトリー戦での2連勝が大前提となっている。
すなわち、まさに崖っぷちに立たされている状況だが、その大一番を前に、熱く気を吐くのが、2つ前の公式戦、J1リーグ第6節のベガルタ仙台戦で右鎖骨骨折からの戦列復帰を果たした、守備リーダー、丹羽大輝だ。その丹羽は当然、この一戦がチームにとって是が非でも勝点3が求められる大一番であることを十分理解した上で、あえて「気持ち、プレーに余裕を持って臨むべき」と独自の理論を展開する。
「チーム状況的になかなか白星がないこともあって、どうしても意気込み過ぎたり、気負い過ぎたりしがちだけど、この大一番を前に勝ちたいという気持ちは放っておいても自然と沸いてくるもの。そのために全力で戦おうという思いも、誰もが当たり前のように秘めていますしね。だからこそ、変に意気込み過ぎる必要はないというか。例えば、相手に主導権を握られたとしても『相手にボールを回されている』と思うのか、『相手にボールを回させている』と思うのかで心理的な余裕が変わってくると考えても、大事なのは状況に焦ることなく、すべての局面で心理的に上に立って試合を進められるか。大一番なのは重々承知の上ですが、だからこそ、どういう流れになっても90分が終わった時に勝っていればいい、というくらい気持ちに余裕を持って試合を進めたい」
もちろん、これは何も『気持ち』だけが大事だと言っているわけではない。0-0で引き分けたアウェイでの水原戦はもちろん、Kリーグにおける水原の戦いをしっかりと分析した上で、戦術的な対策や相手選手の『個性』についてもしっかりと頭に入れている。「これまでのACLの戦い然り、そもそも、球際で負けていたら話にならない。間違いなく肉弾戦も多くなるからこそ、躊躇なく、臆することなく相手に向かっていかなければいけない」と話すとおり、ACL特有の戦いの厳しさも頭に刷り込み済みだ。だが、そうした様々な準備を『勝利』に結実させるためにも、「メンタル的に優位に立った戦いを」と丹羽。これまでの経験を踏まえ、それがG大阪らしく結果を求めるための最善の策だと思うからこそ──。
文=高村美砂
By サッカーキング編集部
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