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ACL決勝進出の鍵は守備…G大阪に求められる広州の綻びを突くしたたかさ

2015.10.21

準々決勝第2戦・全北現代戦のガンバ大阪スターティングメンバー [写真]=Getty Images

 ガンバ大阪は、21日に行われるAFCチャンピオンズリーグ(ACL)準決勝セカンドレグで、中国の広州恒大と対戦する。最前線で起点となりながら、相手ゴールをこじ開けるミッションを託されるG大阪のFWパトリックと、広州恒大のブラジル代表アタッカー、リカルド・グラルは奇しくも試合前日に同じ言葉を口にした。

「立ち上がりから、攻撃的に行きたい。相手に圧力をかけたいね」

 アウェーゴールを奪ったものの、1-2で敗れている三冠王者にとって、もはや引き分けはプラン外。勝利が不可欠なチームが攻撃的に行くのはごく当然だ。そして、引き分けでも決勝進出が決まる中国の雄ではあるが、ルイス・フェリペ・スコラーリ監督も「ガンバのような好チーム相手に狙って引き分けを狙えるものじゃない」とあくまでも敵地でも勝ちきりたい考えだ。

 21日夜の万博記念競技場に送り出される11人の顔ぶれを見れば、攻撃的なサッカーで勝ちきりたいという長谷川健太監督の強い気持ちが見て取れるはずだが、運命のセカンドレグで問われるのは、チーム全体の守備力だ。

「失点を恐れていても自分たちのサッカーができないので取られたら、2点取ればいいし、2点取られたら4点取るというようなつもりでやらないと広州に勝つことはできない」(長谷川監督)。打ち合い上等、の覚悟をにじませる指揮官ではあるが、先に失点すれば、その段階で延長に持ち込むために2点、90分での勝ち上がりを目指すならば3点が必要になる。

 芝の状態と湿度に苦しみ、本来の迫力は出し切れなかった敵地での攻撃陣はボールが走る万博記念競技場で本来のテンポの良さを見せるはず。個の力でしのいでいる感はあるが、脆さも抱える広州恒大の守備陣から1点以上を奪える力はG大阪にある。ただ、やはり個の力で奪いきる広州恒大の攻撃力をいかにしのげるかが準決勝のポイントになるはずだ。

 ファーストレグではエウケソンとリカルド・グラルにゴールこそ許さなかったものの、ホァン・ボーウェンとチョン・チーの中国代表選手に一瞬の隙を突かれた。ACLではアジアの屈強なアタッカーたちに堂々と渡り合っているDF岩下敬輔も「個の対応の部分でしっかりと対応したいし、クロスを上げられるシーンでフリーで上げさせないようにしないといけないが、そういうシーンは試合中に必ず出てくる」と局地戦の耐久力が勝負のポイントと認識している。

 攻撃的な選手を両SBに起用する可能性が濃厚なG大阪だけに、クロス対応を含めた個の競り合いで負けないことは不可欠。ボールが走る芝はG大阪のみならず、広州恒大のブラジル人選手を利することにもなるため、ファーストレグ以上にブラジル人トリオの連携には注意が必要だ。

 17日の国内リーグでは2得点を奪い、2-0の勝利に貢献しているリカルド・グラルは「僕らは引き分けでも勝ち上がれるが、そんなプランは毛頭ない。僕らがアウェーゴールを奪えば、よりガンバの立ち位置は難しいものになる。立ち上がりから積極的にゴールを狙いたい」。

 前日の公式会見で長谷川監督は準決勝までの足取りにこう胸を張った。「うちの選手たちは修羅場をかいくぐってここまで勝ち上がって来たし、リーグ戦やACLの戦いを振り返っても、瀬戸際に強いチームだと思っている」。敵地で敗れ、再び崖っぷちに追いつめられたG大阪の前に立ちはだかるのはアジア最高レベルの個のタレントたち。彼らを封じながら、したたかに広州恒大の綻びを突き切った時にのみ、決勝への切符を手にすることになる。

文=下薗昌記

By 下薗昌記

朝日新聞記者を経てブラジルに移住。南米で600試合を取材し、現在はガンバ大阪を追いかける。

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