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なぜJリーグ勢はACLで勝てないのか…5年連続で優勝届かず

柏は準決勝で大敗を喫し、大会から姿を消した [写真]=Getty Images

 トータルスコア、1-8。

 AFCチャンピオンズリーグ(ACL)準決勝に進出した柏レイソルは、広州恒大(中国)に完膚なきまでに叩きのめされ、敗退の憂き目を見た。期待の裏返しなのか、多様な批判の声も聞こえてくるが、そもそも、どうしてJリーグのクラブはACLで勝てなくなったのだろうか。

 Jリーグ勢が最後にカップを掲げたのは2008年のガンバ大阪である。その前年には浦和レッズが同大会を制しており、これほどまでに「Jリーグ勢が勝てなくなる」ことを予見する人は少なかった。

 極めて単純な理由としては、G大阪がカップを掲げた翌シーズンから大会方式が改められたことが挙げられるだろう。参加チームが32に増加し、決勝トーナメントにラウンド16が新設された。しかも2009年と2012年まで、このラウンド16がホーム&アウェーではない純粋な一発勝負だったことから、このステージで「食われる」Jクラブが続出した。「勝負弱い」と言えばそれまでだが、こうした一発勝負をJクラブが苦手としていたのは否めない。

 そして、その陰でじわじわと進行していたのが、Jリーグの国際移籍市場における競争力低下である。中東勢がオイルマネーを背景にJクラブの有力助っ人を買い漁るようになり、G大阪を筆頭にエースを引き抜かれるケースが続出。中国経済の急速な伸長によって資金力をつけた中国超級リーグのクラブとは国際移籍市場で競合するケースが増加し、そして敗れるようになってきた。Jリーグにとって重要な選手供給源となっていたブラジルが大きな経済発展を遂げ、「お買い得」でなくなってきたのも大きい。さらにJリーグの国際移籍市場における競争力が低下する一方で、2010年ワールドカップで日本代表が結果を残したことによって日本人選手の需要は急騰。次々と有力選手が海を渡ることとなった。

 もちろん、日本経済とJリーグそのものの地盤が沈下している事実も見逃せない。たとえば、アジアを制した08年の時点で、浦和の営業収入は約70億円、G大阪は約44億円あったが、12年の浦和の営業収入は約54億円、G大阪は約33億円まで低下している。収入の低下が、戦力の低下を招くのは半ば必然である。

 しかも、Jリーグの場合はその戦力が均衡している。G大阪の降格が象徴的だが、少し歯車が噛み合わなければ前年の上位クラブもあっさり降格するほどに上位と下位の差が小さい。リーグ戦にまったく気を抜けない状況で、ACLに注力するのはリスクが大きいのだ。優勝してクラブ・ワールドカップ出場権を得られなければ実入りの乏しいこの大会に、強気の投資をしようというクラブは少ないのも無理はない。今季の柏はこの大会を見据えてかなりの投資を行い、その甲斐あっての4強進出となったが、本気でこのタイトルを獲るなら「まだ足りない」というのが率直なところだろう。

 こうした状況に追い打ちをかけてくるのがスケジュールという悪魔である。日本はアジア各国に比べて1部リーグのチーム数が多く、カップ戦の試合数も多いため、全体に日程が過密で動かしにくい。スポンサーの道楽的なマネー供給がベースとなっているアジアのビッグクラブと異なり、Jクラブにとっては入場料収入こそが生命線であり、国内リーグから得られる収益を軽視するわけにはいかないのだ。そして当然ながら、この収入が漸減している現状で、試合数を削減するという手は打ち難い。事実、先日Jリーグが打ち出したのは、レギュラーシーズンのリーグ戦の試合数はそのままに、新たにポストシーズンを導入するという「試合数増」の方向性だった。

 ACLを獲ることだけを考えるならば、打てる手はいくつかあるだろう。国内リーグの流れをムチャクチャにするような終盤戦の日程変更は当然として、極端な話、1部リーグのチーム数を削って日程に余裕を持たせた上で、富の分配を偏らせるだけでも一定の効果は期待できるだろう。ただ、それが長期的に見てJリーグにとっての幸福となるかは、別の議論だ。

 サッカーは富める者が必ず勝つようにはできておらず、カップ戦においてはなおさらである。今後もJクラブがACLを獲る可能性がなくなったとは思わない。中東や中国の“バブリー”な資金供給がいつまで続くかも分からない。単にACLを獲るためだけに、国内リーグをゆがめる方向へ舵を切るべきではない。

文●川端暁彦

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