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豪雨の『JA全農杯全国小学生選抜サッカーIN四国』を制したのは徳島ヴォルティスジュニア! ライバルへ火を灯し、磨いた技で全国大会へ

2021.04.07

『JA全農杯全国小学生選抜サッカーIN四国』を制した徳島ヴォルティスジュニア [写真]=日刊スポーツ

 新年度、そして春の到来を告げる『JA全農杯全国小学生選抜サッカーIN四国』。昨年はCOVID-19感染拡大の中、残念ながら開催中止となってしまったが、様々な対策を取り、協力を得ながら、四国4県から各3チームの計12チームが集まり、2021年4月3日、4日の両日にわたって高知県香南市の野市ふれあい広場サッカー場で開催された。

 3日は3チーム、4ブロックに分かれてのリーグ戦。この日は雨天予報も全プログラムが終わるまで雨も降ることなく、子どもたちの「みんなと楽しく、いろんなチームとフットボールがしたい!」という思いのあふれた、ピッチ上のコーチングの声も弾む賑やかな試合が見られた。

 8人制12分3ピリオドで行われる試合は、第1、第2ピリオドは選手完全入れ替え、休憩をはさんで行われる第3ピリオドはどの選手が出てもよいというレギュレーション。多くの選手が一定以上のプレー時間を持つと同時に、どの組み合わせがどの順ででるか?で展開がガラリと変わることもあり、マッチアップの妙も見どころの大会となっている。

 試合が始まると、チーム全体でボールホルダーへの寄せが早くて強いDESAFIO CLUB DE FUTBOL(香川県・以降デサフィオCF)、個人技に優れ、局面打開力のあるメンバーが揃っている徳島ヴォルティスジュニア(徳島県)がそれぞれ特徴を発揮した試合をみせており、その2チームが当たる4日の準決勝は好ゲームの予感が漂っていた。

 小雨の中で始まった4日の順位決定戦だったが、3試合目となる準決勝が始まるころには跳ねた雨粒で四国山地の山景もかすむ大雨となった。立ち上がりはデサフィオCFのプレスに苦しみ先制を許した徳島ヴォルティスジュニアだったが、「落ち着いて自分たちのプレーができた」というキャプテン・倉貫溜凰(くらぬきるお)を中心に逆転に成功。最後はぬかるんだ足元にちぐはぐなプレーが出てしまったデサフィオCFを4-1で下し、徳島ヴォルティスジュニアが決勝進出を決めた。

ゴールを狙う徳島ヴォルティスジュニア[写真]=日刊スポーツ

 準決勝もう一試合は、沖洲(おきのす)フットボールクラブ(以降、沖洲FC)vs川内北サッカースポーツ少年団の徳島県勢対決となり、個人技に優れ、チャンスを確実に決めた沖洲FCが4―0で勝利し決勝へ。

 決勝スタートの14時45分、降り続く雨でピッチコンディションは最悪。エリアによって、ボールは滑ったり止まったり、浮いた水に足を取られ、止まり切れずにぶつかる選手も見られ、「普通のフットボール」はできない環境のなかでキックオフ、練習を重ねてきた足元の技術を使いたい徳島ヴォルティスジュニアにとって利点を生かせない展開もあり得た。

 第1ピリオド10分に大石翔真(おおいししょうま)がこぼれ球を押し込んで先制しながらもペースを掴めずにいたが、第2ピリオドでは「雨の中で選手たちが自分たちで判断して、仲間に声を掛けて、(ピッチコンディションによって)プレーを使い分けられていた」(反田監督)という徳島ヴォルティスジュニア。指揮官の言葉通り、選手たちは浮き球を効果的に使いつつ、コンディションのよいエリアでのプレーへ持ち込んで次々に得意のドリブルやショートパスを見せ始める。2分には宇山彰(うやまあきら)のクロスに山水新大(やまみずあらた)が合わせて2点目を挙げる。

 第3ピリオド開始と同時に反撃を試みた沖洲FCは、準決勝で2得点をあげ、増金監督から「テクニックが生かせていたし、得点への意欲がよかった」と称賛された上木太雅(かみきたいが)を中心にゴールへ迫ろうとするが、攻撃は単発。ルーズボールをことごとく徳島ヴォルティスジュニアに回収されてしまう。

競り合う両チーム[写真]=日刊スポーツ

 5分に高橋成海(たかはしなるみ)、6分に倉貫のゴールが出て突き放すと、ボールが不規則な跳ね方をするピッチを攻略した徳島ヴォルティスジュニア、焦りもあったか攻撃のきっかけを掴めない沖洲FCの関係が鮮明になり、そのまま4-0でタイムアップ。徳島ヴォルティスジュニアの選手たちの笑顔が試合終了と同時に小やみとなったピッチにはじけた。

 大会を振り返れば、4試合で総得点15、失点はわずかに1で、「足元の技術があれば楽しくサッカーができる」(反田監督)狙い通りのプレーができていた。また、面白いのは“負けた”チームたちの奮起。9~12位順位決定戦を勝ったエストレーラス高知、5位~7位決定戦を勝った久枝サッカースポーツ少年団は3日のリーグ戦で、そして、3位決定戦を11-0と大差で勝ったデサフィオCFもまた、徳島ヴォルティスジュニアに“負けた”チームだ。

「徳島のプレーは素晴らしかったし、(足元の技術は)見習わないと(高知県/エストレーラス高知・岡林コーチ)」、「現状では太刀打ちできないけど、勉強になったし倒さなければ。(愛媛県/久枝SSS・佐々木代表)」、「自分たちの立ち位置が分かった。課題とライバルが見つかった。(香川県/デサフィオCF・村松監督)」、「もっとできるようになりたい。もっと練習をしてもっとうまくなりたい。(徳島県/沖洲FC・上木選手)」と、それぞれの心に火が灯った様子だった。

 悔しさを胸に、そして対峙した目標をイメージして前へ進む。COVID-19の停滞を超えて、この年代の選手たちによる、切磋琢磨の第一歩が刻まれた。

 磨いた個人技を携え、下したチームの想いを背に、徳島ヴォルティスジュニアは5月3日~5日にかけて神奈川県横浜市で開催される『JA全農チビリンピック2021 JA全農杯全国小学生選抜サッカー決勝大会』に挑む。

「ミスが多くてまだ自分たちの足りないところがあるので、もっともっと練習して全国で勝ちたい(倉貫選手)」。徳島ヴォルティスジュニアもまた、前へと進む。

文=上溝真司

 全国9地区で開催される『JA全農杯全国小学生選抜サッカー』の模様は@zennoh_sportsにてTwitter速報を実施。

チビリンピック2024

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