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【J:COM meets ツバスタ】フットサルが深めた“つながり”と“絆”

2019.10.04

仲間内で始めたフットサルを、全国規模での“社内フットサル大会”に発展させた迫田直樹さん。現在首位を走るFC東京のクラブスポンサーとして、浦和レッズのオフィシャルパートナーとしても知られる株式会社ジェイコム(以下J:COM)の、異動が多い社内で途切れがちな“つながり”や“絆”を深める手段として、迫田さんが選んだのがフットサルだった。

写真=兼子愼一郎

■きっかけは仲間内で始めただけのフットサル

――迫田さんはもともとサッカーをやられていたんですか?

迫田 はい。実は小学生の頃に始めて、本格的に打ち込んでいたのは学生時代ですが、社会人になった今でもフットサルを定期的に行っています。

――御社の社内フットサル大会はすでに17回目を迎えたそうですが、何がきっかけで社内フットサル大会を開催しようと思ったのですか?

迫田 弊社はM&Aを繰り返して大きくなった会社です。ですから新卒スタッフよりも、実は合併や買収で新しく仲間になったスタッフのほうが多いんです。そのため、業務以外に仲間とのコミュニティや絆を深める仕組みはないか、と検討したことがきっかけで“社内フットサル大会”というイベントを開催することになりました。

――J:COMと言えば、ケーブルテレビでお馴染みの会社ですが、そのすべてに所属する社員を一堂に会して、“社内フットサル大会”を開催しているのですか?

迫田 そうです。親会社は株式会社ジュピターテレコムで、会社全体では11社71局あります。社員数は全体で約17,000人いますが、そのすべてが参加対象です。もちろん参加は強制ではないのですが。

――となると、社内フットサル大会自体の規模感がなかなか大きなものになりそうですね。

迫田 アミノバイタルフィールド(AGFフィールド)を借りて、フィールドを8面に割って、1日掛けて試合を行っています。参加登録チームだけで120ぐらいあるので、全部で100試合を超えるんですよ(笑)。

――社内レクリエーションの域を超えた、なかなか大規模な社内フットサル大会ですね(苦笑)。最初からそこまでの規模感だったのですか?

迫田 もとを辿れば、私が、自分の出身の局の仲間内でフットサルを始めたことがきっかけでした。そこから「他の局の人たちともやりたいね」という話に広がり、私と本社勤務の川村氏と二人で一部の局に声を掛けて、局を超えたフットサルがスタートし、そこから徐々に広範囲に発展していきました。だから第1回目はこじんまりと7チームだけでしたね(苦笑)。でも、初年度の噂を聞きつけたのか、2年目からは20チームに増え、17年目の今では100チームを超えるチームが参加してくれています。これは弊社の特徴の一つなのですが、いろいろな局への異動が頻繁に行われるので、そのつながりでどんどん全国に広がっていったんだと思います。

■家族も参加OKの全社イベントに発展

――そもそもどうしてフットサルを社内イベントにしようと思ったのですか? もちろん発起人の迫田さん自身がサッカー経験者でフットサルをやっている、というのも理由にあったとは思うのですが。

迫田 野球は1日にできる試合数が限られていますし、野球が好きな人というのは社内でも比較的年配の方が多く、若手社員にはやはりサッカー人気が強かったという点が大きいですね。実は、弊社の社内フットサル大会には社員の家族も呼ぶことができるんです。普通ですと社員同士のイベントですが、このイベントには社員の家族にも来場していただき、J:COMという会社がどういう会社なのかを知ってもらいながらイベントを楽しんでもらえればと思っています。ですから、コート横間近で仲間や家族も応援できるということと、得点が入った時の歓喜や競技をとおして味わえる団結感というのは、野球とは比較にならないと感じていますね。

――仲間内で始めたフットサルが全社規模のイベントとして実現するまでは、大変だったのではないでしょうか。

迫田 初回は7チームだけでしたし、地方の運動公園を貸し切って実施していたので、あまり苦労は感じませんでした。ただ2回目以降、参加チームも増えて、ルールもいろいろ決める必要が出てきたりしてからはちょっとだけ大変になりましたね(苦笑)。単純に、家族も含めた参加者の人数が増えてきたので、イベントの規模が拡大するにつれてハーフタイムに芸能人を呼んだり、元サッカー日本代表の選手をお招きしたり、出店があったりと運営側も大変になってきました。しかしその分、参加者が喜んでくれるのでやりがいを感じています。

――とはいえ、実際に運営していく上での気苦労などもあったと思います。

迫田 そうですね。弊社の社内フットサル大会の特徴として、2つのリーグを設けています。一つは本気でフットサルをやりたい『ガチリーグ』。そしてもう一つは健康促進目的やサッカー・フットサルの未経験者、女性向けの『フレンドリーリーグ』です。

――最初からこの二つのリーグが存在していたのですか?

迫田 いいえ、最初はガチリーグだけでした。もともとが、本気でフットサルをやりたいということで集まったメンバー同士の大会だったので(苦笑)。ただ、その中から「ガチじゃなくてゆったりとフットサルをやりたいんだけど、どうしたらいいか分からない」ということで、全国に声を掛けて新しいリーグ『フレンドリーリーグ』がスタートしたんです。でも、この2つのリーグの参加登録チーム数を見てみると、今では半々ぐらいなんですよ。

――J:COMさん独自のオリジナルルールがあれば教えてください。

迫田 基本的に参加は強制ではなく、希望者のみです。初心者も楽しくプレーしてもらうために、先ほどお話しした真剣勝負の『ガチリーグ』と初心者向けの『フレンドリーリーグ』の2リーグ制にし、ルールもパックパス禁止など厳しくはしていません。また女性の得点を2点にすることで、たくさんの女性社員が参加し、楽しくボールを蹴ってくれています。

■フットサルが退職をも止められる!?

――実際に参加した社員の皆さんの評判はいかがですか?

迫田 「会社を辞めようと考えていたけど、素晴らしい仲間たちに触れて辞めるのをやめた」とか、「日頃は一人で現場営業に出ているけど、このイベントに参加すると会社の規模や仲間がたくさんいることが分かり誇りにつながる」といった声をいただきました。また、普段はあまり目立たない社員が実はサッカーがうまくてヒーローになれたりするので、仲間の知らない部分に気付くことができるといった側面もありますね。それと実は、会長や社長といった本社の幹部や各支部の局長もイベントに参加してくれているんです。普段はスーツが多いですが、この日だけは普段着で参加され、積極的に社員のみんなとコミュニケーションを取ってもらっています。

――幹部の方々も参加されるんですね。評判はいかがですか?

迫田 初めて参加される幹部の方は「こんなに大規模でやっているの?」、「これが17年も続いているのはすごいね」と驚かれる方がほとんどです。中には「フットサルに参加したい」と言ってくださる方もいるので、執行役員だけのチームを作ってエキシビションマッチを行っています。運営サイドとしては、ケガをされたら困るのでヒヤヒヤしているんですけどね(苦笑)。

――これまで17回の社内フットサル大会を重ねてきた中で、迫田さんから見て、具体的にどんな変化や効果を感じていますか?

迫田 異動が少なくない会社なので、社内フットサル大会を行う前は社員同士のつながりが異動によって途切れてしまうことが多かったように感じていました。でも、このイベントを行うようになってからは、社員同士のつながりがより強くなりました。また、その逆もあります。業務で関係する前からこのイベントで知り合うことが多く、仕事の時に「あ、あの時の!」というケースは多くあります。ですから、普段はメールや電話でしか会話をしない人と実際に顔を合わせることで、よりコミュニケーションを深められるようになりました。それが大きいんじゃないかなと思います。あと意外な出来事で言えば、この“社内フットサル大会”をきっかけに結婚したカップルが5組ぐらいいるんですよ。

――結婚ですか? それはすごいですね! 逆に課題はありますか?

迫田 このイベントは毎年7月に東京で行っているのですが、北は北海道、西は福岡から集まってきます。数カ月前から飛行機の予約を入れているのですが、今年は雨が多かったので特に大変でした。この時期は晴れたら晴れたで熱中症などが心配ですが、屋外でのイベントなのでどうしても天候に左右される部分が大きくて。今年は台風の予報も出ていたので一時は中止という話にもなりました。ですが、「それは困る」という声が強く上がったので、当日は雨が降ったり止んだりと生憎の天気でしたが決行しました。

――7月はちょうど梅雨が明けるかどうかの微妙な時期ですが、なぜこの時期に大会を行うのでしょうか?

迫田 4月に新入社員が入ってきますよね? そこから会社や仕事に慣れて、落ち着いてくるのがちょうど7月頃です。それで毎年7月に行っているんです。

■ぼくたちは愛のケーブルでつながっている

――なるほど、そういう理由でしたか。社員の皆さんがそこまで楽しみにされているイベントならば、皆さん普段からフットサルを練習したり、健康維持に努めたりされているのでしょうね。

迫田 そのようですね(笑)。弊社は営業主体の会社で、若い社員も多く、体力がないと務まらない職種だとも思っています。もちろん、この社内フットサル大会をきっかけにフットサルを始めた人も多いです。ジャージや用具をせっかく揃えたんだから続けてみようかなと。それもあってか、各局で、普段から精力的にフットサルに取り組んでいるようです。その中でも特に力を入れている局が『キャプテン翼スタジアム』(以下ツバスタ)戸田店を定期的に使わせていただいています。他社さんとフットサル大会を行ったり、関東チームだけを集めて2カ月に1回のペースで関東大会を開催したりしているようです。北海道には地元のソサイチに登録して活動を行っている局もあったり、個人で個サルに参加したりと、それぞれがフットサルをとおして健康維持に努めていると感じていますね。

――そこまで社員の皆さんが前向きに取り組んでいることが分かると、迫田さんを始め、運営サイドもやりがいを感じますね。

迫田 J:COMには『ぼくたちは愛のケーブルでつながっている』とテーマがあるのですが、コミュニティをとおしてJ:COMとのつながりを強くしたいという思いをもともと持っています。だから、これだけの規模の社内イベントを運営するのは大変ですが、当日喜んでもらえたり、結婚したという報告を受けたりすると、やっぱりうれしいですよね。実は運営をそろそろ後輩に……と毎年のように考えるのですが、社員の皆さんが楽しみにしてもらえていることを知ると、不思議と「また頑張ろう!」って思えるんですよ。また、この大会も第1回から一緒に運営している川村氏や運営スタッフを始め、関係者全員の協力があり、毎回、前年を上回る大会になっています。

――フットサルを通じての社内コミュニケーションの強化、そして健康促進と、とても充実したお話を聞かせていただきました。今後、20回、30回と続けていく上で、何か新しく考えていることはありますか?

迫田 今でも毎年、招待するゲストを変えたり、何かしら新しい変化を考えて運営していますが、今後はフットサルだけでなく、例えばユニフォームデザインコンテストなど、女性社員や社員の子どもたちも楽しめるような企画も考えています。イベント自体も多様化し、サッカーやフットサルのファンではなかった人にも多く来場してもらい、結果としてサッカーやフットサルを中心とした新しいコミュニティや笑顔が集まるフットサルイベントにできれば素晴らしいと思っています。

By サッカーキング編集部

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