2019.01.21

十八番の“スルーパス”は止められるのか!? 「an超バイト」で中村憲剛に挑戦!

海外サッカー専門誌の編集を務めた後にフリーとなり、ライター、エディター、スペイン語の翻訳&通訳、フォトグラファーとマルチに活動を展開中。

 アルバイト求人情報サービス「an」は、思わず挑戦したくなる「an超バイト」で数々の企画を実施している。そんな「an超バイト」と「サッカーキング」がコラボしたサッカー選手との対決企画第3弾として、「中村憲剛選手のスルーパス阻止バイト」が実施された。

 過去2回は遠藤保仁選手、中村俊輔選手との対決で、内容はいずれも「FKを阻止する壁バイト」だった。今回の相手である中村憲剛選手は、言わずと知れたスルーパスの名手。そこで生まれたのが「スルーパス阻止バイト」である。中村憲剛選手がパートナー目がけて繰り出すスルーパスを、体を張って食い止めるというもの。日当5万円、交通費全額支給に加え、スルーパスを1本阻止するたびに1000円のインセンティブが支払われる。

 5000件以上の応募の中からバイトに“採用”されたのは、中島亮太さん、西岡祥樹さん、香川侑毅さん、井上克洋さん、そして神戸琴葉さんの5名だ。「まさか採用されるとは思っていなかったのですごく驚きましたし、両親も『すごいね~』と喜んでくれました」と神戸さん。採用の連絡を受けた時は、知らない電話番号からの着信だったために疑念を抱いたようだが、それがすぐに驚きと喜びに変わるという心境の変化を説明してくれた。会場に姿を現した5人は、少し緊張した表情を浮かべながら控室へ。中村憲剛選手がブランドアンバサダーを務める「ミズノ」のウェアに着替え、グラウンドに出てウォーミングアップを行う。全員がサッカー経験者ということもあり、軽快にボールを回すことで少しずつ緊張がほぐれていった。

「皆さんこんにちは! ただ今より『an超バイト 中村憲剛選手のスルーパス阻止バイト』のお仕事をスタートします!」

 MCを務める笹木香利さんの言葉が“タイムカード”代わりとなり、5人のバイトがスタートした。いよいよ始まる、ということで5人の緊張感が再び高まる中、中村憲剛選手が登場する。

「この『中村憲剛スルーパス阻止バイト』に応募してくれてありがとうございます。今日はやる気満々で来ていて、絶対に負けないぞ、という気持ちなので、よろしくお願いします」。中村憲剛選手らしい丁寧な挨拶の後、笹木さんから中村憲剛選手に5人が紹介される。まずは中島さん。日本体育大学サッカー部に所属し、FWとしてプレーしていることが告げられると、中村憲剛選手は「そうなの? 現役の大学サッカー部が来た?」と驚きを見せる。続いて西岡さん。こちらも現在は大学生だが、東久留米総合高等学校(中村憲剛選手の母校である都立久留米高等学校が前身)サッカー部の出身であることを告げられると、中村憲剛選手は「あ、後輩なの?」とさらに驚いた表情を見せる。

 同じく大学生の香川さんは幼稚園生の頃から川崎フロンターレの大ファンで、ホームゲームはもちろん、アウェイゲームや海外での試合にも応援に行くという筋金入りだ。「幼稚園から? 今が19歳? 俺はその間ずっとフロンターレでサッカーやってるってことですよね。ちょっと感慨深いですね」と中村憲剛選手。神戸さんは現在、高校3年生で、高校サッカー部はすでに引退しており、「このバイトが高校サッカー生活の集大成」と紹介されると、「集大成? 急に重くなりましたね」と中村憲剛選手。

 最後に紹介された井上克洋さんは27歳と参加者の中では最年長だが、実はプロゲーマーという顔を持っている。しかも大人気のサッカーゲーム『ウイニングイレブン』の日本代表でキャプテンを務めるほどの腕前だ。これには中村憲剛選手も「プロゲーマー? マジっすか!」と反応。「僕も『ウイイレ』やりますよ。学生時代からずっとやっています。そのゲームの頂点にいるってことですよね。すごいな。教わりたいですね」と、プロゲーマーという職業に興味津々な様子だ。

 さて、今回はスルーパスを阻止する対決だ。笹木さんが「スルーパスを出しやすい選手」を尋ねると、中村憲剛選手はこう答えた。

「ミズノファミリーでいうと、今レスターでプレーしている岡ちゃん(岡崎慎司)。あとは“ケイスケ”。本田圭佑とは相性がいいですね」

 この言葉を受け、笹木さんが中村憲剛選手のスルーパスを受けるパートナー役に“あの選手”を紹介する。

「よろしくお願いしま~す。久しぶり」。中村憲剛選手と握手を交わしたのは、本田圭佑選手(?)。「似てるね!」という中村憲剛選手に対して、本田圭佑選手(?)は「いや本人です。変なこと言うようになったね」と、あくまで本田圭佑であることを主張する。

 実はこの方、本田選手のモノマネ動画で人気急上昇中のYouTuber、MAKIHIKAさん。立ち居振る舞いや歩き方、喋り方まですべてが本田選手にそっくりだ。そして単にモノマネをしているだけでなく、大学まで体育会サッカー部でプレーしていた本格派。「頑張って僕へのパスを止めてください」と本田選手口調で語りかけると、参加者たちからは爆笑が沸き起こった。MAKIHIKAさんの登場で一気に和やかな雰囲気になり、いよいよ「スルーパス阻止バイト」の実務がスタートする。

 中村憲剛選手との対決は全部で11本。阻止する側とMAKIHIKAさんがピッチ上に設けられた「ディフェンスエリア」に入った状態で対決がスタートし、MAKIHIKAさんがその後方に設けられた「スルーパス受けエリア」で中村憲剛選手からのパスをトラップすれば「パス成功」、アルバイト側がパスをカットしたり、パスが通らなかったりした場合は「阻止成功」となる。

 最初の3本は中島さんと香川さんがコンビを組み、スルーパスの阻止に挑む。1本目はMAKIHIKAさんがいいタイミングで裏に抜け出したが、中村憲剛選手からのパスが長すぎて惜しくもパスは通らず。いきなり「阻止成功」となった。2本目はMAKIHIKAさんがディフェンスエリアの深い位置まで下がってラインを下げ、そこからくさびのボールを受けに下がり、スルーパス受けエリアでパスを受けた。スルーパスっぽくはなかったが、ルール上はこれで「パス成功」となる。そして3本目、MAKIHIKAさんは右サイドのスペースを突き、そこに中村憲剛選手が絶妙なグラウンダーのパスを供給して成功。普段、川崎フロンターレの試合で見られるような見事なパスに、運営スタッフからも思わず歓声が上がった。

 続いての3本は西岡さん、神戸さん、井上さんの3人が阻止に挑戦。1本目はホイッスルと同時にMAKIHIKAさんが裏に走り、中村憲剛選手が浮き球のパスを狙ったが、長すぎてパスは通らず。2本目は隙を突いて左サイドに走ったMAKIHIKAさんに正確なパスが通った。そして3本目に入る前、中村憲剛選手はMAKIHIKAさん長めに話し合い、作戦を練る。そしてホイッスルが鳴ると、MAKIHIKAさんは一度フェイクを入れた後に裏に走り、中村憲剛選手もその動きに合わせてパスを放つ。タイミングは完璧だったがわずかに長くなり、惜しくも通らなかった。

 ここまでの6本で「パス成功」3本、「阻止成功」3本と全くの五分。そして7本目から11本目は、4人が阻止に入り、残る1人はオフェンス側に回ってMAKIHIKAさんとコンビを組み、スルーパスの受け手に回るという特別版となる。全部で5回あるので、それぞれ1回ずつ、パスを受けるチャンスがある。

 最初にオフェンス側に入るのは17歳の神戸さん。開始前、神戸さんは中村憲剛選手と入念な打ち合わせをした。中村憲剛選手はこの後、他の4人ともプレー前にじっくり話し合っていた。イベント後に教えてくれたのだが、中村憲剛選手はこの時に特別な指示を出していたわけではなく、参加者たちに「自分の好きなタイミングで、好きな動きをしてくれれば、それに合わせてパスを出すから」と伝えていたという。そして実際、神戸さんがスペースを突く動きを見せると、中村憲剛選手はそのタイミングに合わせて浮き球のパスを放ってみせた。わずかに長くなって通らなかったが、中村憲剛選手は「ナイスラン!」と神戸さんの動きを称えていた。

 続いてはプロゲーマーの井上さん。「ゲームでやり込んでいるので、頭の中でのシミュレーションは完璧」と語っていたが、実際に見事な動き出しでマークを外し、中村憲剛選手からの柔らかいパスを丁寧にトラップしてみせた。

 3人目は熱狂的フロンターレファンの香川さん。ホイッスルが鳴ると、香川さんはMAKIHIKAさんの動きに合わせ、ピッチ上で交差するように右サイドへと走った。挑戦者の4人は香川さんにパスが出されることを想定して彼を追走したが、中村憲剛選手は完全に裏をかき、MAKIHIKAさんにパスを通した。本来はパスを阻止する立場のはずだが、香川さんは「おとりの動きでパスの成功を助けることができてうれしい」と、完全にサポーター目線になっていた。

 4人目は中村憲剛選手の高校の後輩である西岡さん。阻止をする4人と駆け引きをしながら左サイドに膨らみ、そこから前に加速すると、中村憲剛は絶妙なスルーパスを供給。高校の先輩・後輩によるホットラインが見事に開通し、西岡さんは「気持ちよかった」と振り返った。最後は日体大サッカー部FWの中島さん。本職だけに動き出しの鋭さやタイミングは絶妙で、中村憲剛選手は難なく浮き球のスルーパスを通してみせた。中島さんは「すごく質のいいボールが来た。やっぱりプロサッカー選手は違う」と、ハイレベルなパスに感嘆していた。

 これで11本の勝負が終了。結果はパス成功が7本、挑戦者は4本のパス阻止に成功した。この日の日給5万円、さらに挑戦者は阻止した本数分のインセンティブを獲得して“勤務”終了となった。

 そしてこの後、5人には“ご褒美”の時間が用意されていた。「ミズノ」のプラクティスシャツが1枚ずつ手渡され、中村憲剛選手が直接、サインを入れてくれる。そして、5人がそれぞれ中村憲剛に聞いてみたいことを直接、質問する機会も与えられることになった。

 高校卒業を控えた神戸さんは「大学でフットサルをやるか、サッカーをやるか迷っている」と“人生相談”を投げ掛ける。中村憲剛選手は「自分がどっちをやりたいか、だと思う。どっちも楽しいと思うので自分の心で決めてほしいし、もし『違うな』と思ったら途中で変えるという方法もアリだと思う」とアドバイスを送った。

 香川さんは「ピッチ内外でサポーターを盛り上げるのがあんなにうまいのはなぜなんだろうといつも思っていました」と質問。それに対する中村憲剛選手の答えはこうだった。

「僕らプロスポーツ選手は、自分たちだけでは成立しない職業。見てくれる皆さんがいるからできる。フロンターレは僕が加入した頃はお客さんが少なく、自分たちで呼び込まなければならなかった。僕はそこで長くやってきたので、サポーターの皆さんを大事にしたいという気持ちがあります。あとは単純に、自分が楽しいからやっていて、それを見てサポーターに喜んでいただき、一緒になってフロンターレを強くしていきたいと思っています」

 中村憲剛選手から「サポーターの声を直接聞けてうれしかったです。ありがとう」と声を掛けられた香川さんは「またよろしくお願いします」と、来シーズンに向けてエールを送ることも忘れなかった。

 一人ひとりの質問に対し、中村憲剛選手は時間を掛けて丁寧に答えてくれた。5人にとっては参考になる部分も多かったはずだ。そして全員で記念撮影を行い、“超バイト”は終了となった。

「実際にやってみて、ものすごく楽しかったですし、成立してよかったなと、ホッとしています(笑)。普段、プロ選手としかプレーしていませんが、コミュニケーションを取って信頼関係を作れば、プロ選手以外でもスルーパスを通せるんだな、ということも分かってすごく新鮮でしたし、勉強になりました」

 今回のイベントについて、そのように語ってくれた中村憲剛選手。「やらないよりもやってみることが大切だと思いました。一般の方とプレーする機会はあまりないですし、プロ選手のプレーをテレビで見るだけではなく、そこに自分が入って“非日常”を味わえるので、いろいろな人に楽しい思い出を作ってほしいですね」と、「an超バイト」の今後の展開にも期待を寄せてくれた。

 実際に“非日常”を味わい、楽しい思い出を作った5人の挑戦者たち。香川さんは「夢があるバイトで楽しかったです。今まで以上に中村憲剛選手を応援したいと思います」とこの日の“勤務”を振り返り、川崎フロンターレ、そして中村憲剛選手への熱い思いを新たにしていた。

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写真=鷹羽康博
文=池田敏明

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