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JFA第13回全日本ビーチサッカー大会、東京Vが最終ピリオドで逆転し連覇!

2018.10.19

創設から2年連続で日本一に輝き、サポートしてくれた東京Vファミリーと記念撮影

文・写真=Noriko NAGANO

 10月12日~14日、ビーチサッカー日本一を決めるJFA第13回全日本ビーチサッカー大会が開催された。熱戦の舞台は、沖縄県の宜野湾トロピカルビーチ。1カ月前、9月16日をもって芸能界を引退した安室奈美恵ラストステージが行われ、多くのファンが集った場所でもある。その後の台風で狭くなった砂浜を整備し、2面のビーチサッカーコートと観覧スタンドが作り上げられた。

 決勝のカードは、連覇を狙う東京ヴェルディビーチサッカー(東京V)と2015年以来の優勝を狙うドルソーレ北九州(ドルソーレ)になった。連日2試合戦い、決勝で6戦目となるタフな大会。家族やファン・サポーターが遠方から応援に駆けつけ、ビーチサッカー日本代表のラモス瑠偉監督も試合の行方を見守った。

大会の視察に訪れたラモス瑠偉ビーチサッカー日本代表監督と北澤豪日本サッカー協会理事

 決勝は、準決勝を戦い抜いてからおよそ2時間後の13時キックオフ。ドルソーレは、試合開始からゴールを貪欲に狙っていった。対する東京Vは、大会を盛り上げたいという思いも込め、昨年に続き、助っ人外国人選手を呼び寄せていた。中でも、初来日のローレンス・ゴメス・レオン(スペイン代表)は、ここまでの5試合で12得点を挙げ勝利に貢献、持ち前の明るさでチームにすっかり溶け込んでいた。

チャンスを逃さず、どこからでもシュートを狙うローレンス・ゴメス・レオン

 試合開始4分、先制したのはドルソーレ。宮本光が蹴ったFKに松岡吏がダイレクトで合わせ、今大会一度も先制を許していなかった王者・東京Vからリードを奪った。東京Vは得点力のあるローレンスがゴールを狙うが、ドルソーレはGK後藤将斗を中心に気迫溢れるプレーでゴールを死守する。

凄まじい気迫でゴールを守るドルソーレのGK後藤将斗

 だが、11分、東京Vの監督を兼務する茂怜羅オズがボレーで同点弾を決め、1-1で第1ピリオドを終えた。

大事な場面でゴールを決める東京Vの監督兼選手・茂怜羅オズ

 第2ピリオド、ドルソーレはここまで10ゴールを挙げている赤熊卓弥にボールを入れるが、オズに徹底マークされて阻止される。逆に、東京V陣内でボールをキープするオズに赤熊がプレッシャーをかけにいくと、これをかわしたバックパスがそのままオウンゴールになり、再びドルソーレがリードを奪った。だが、オズが狙いすましたループシュートで失点を取り返し、2-2で最終ピリオドへ。

ドルソーレのピヴォ赤熊卓也を徹底マークするオズ。赤熊のパワーある攻撃を封じた

 最終ピリオド、東京Vのローレンスが次々にシュートを放つが、体を張って阻止するドルソーレ。すると、29分、ドルソーレのキャプテン稲田裕が、左サイドでうまくボールをコントロールしてシュートを決め、三度リードを奪う。しかし、東京Vはすぐさまオズのロングシュートで追いつき、貫禄を示した。

 それでも、一歩も引かないドルソーレは、セットプレーのチャンスからPKを得て、これを赤熊が決めて4度目のリードを奪った。

 残り時間3分。1点ビハインドの東京Vは、ローレンスが左隅のコースに決めて同点に追いついた。

残り時間3分。東京Vの80番ローレンスが仕留め4-4に

 同点にされたドルソーレは、2015年優勝時にキャプテンを努めていた宮本が、笑顔で手を叩いて、チームメイトを鼓舞。このとき宮本は、「簡単にはいかないな。これだからビーチは楽しい」と思ったという。そして、フィジカルコーチやメンタルコーチと一緒にチームで取り組んでいる、苦しいときにも笑ってチームをいい方向に導くことを実践した。

 残り時間2分、さらにスコアが動く。東京Vのベルナルド・ボテーリョが仕掛け、GKを釣り出すと、ローレンスにつないでゴールを奪った。東京Vは初めてリードし、試合終盤で勝利を手繰り寄せた。

 集中する両チーム。残り時間1分、ローレンスがピッチ中央付近でこぼれ球を拾うと、ボールを浮かしながらドリブルで面白いようにボールを運び、豪快なシュートを決めて役割を果たした。

 2点のビハインドを背負ったドルソーレは直後のキックオフで、右に開いた岡本功がボレーシュート。シュートは、ゴールを守るGK河合雄介と身長190センチのオズも触れることはできず、ゴールに吸い込まれ、ドルソーレが1点差に詰め寄った。

 どうしても勝ちたいドルソーレは、最後まで食らいついたが、タイムアップ。東京Vが連覇を達成し、監督でもあるオズを中心に歓喜の輪を作った。

 3年連続世界ベスト5プレイヤーに選ばれた世界を代表するオズ、スペイン代表のローレンス、そしてブラジルから呼び寄せたベルナルドなど、強い戦力を擁する東京V。その相手にドルソーレは、1点差の接戦を演じたが、優勝を逃した悔しさは計り知れない。

「サポーターの前で喜んだ瞬間が一番嬉しかった。1年間、ヴェルディファミリーには本当に力をもらった」(中原勇貴キャプテン)

 連覇を果たした東京Vの中原勇貴キャプテンは、試合後、サインを求める子どもたちに囲まれていた。「こんなに均衡した試合は今までになく新鮮だった。盛り上がったし、新しいことをみんなで達成して一つになれたと思う。全国優勝は、自分たちの目標の通過点。世界で戦えるチームづくりを目指して、新しい挑戦をしていきたい(中原)」。

 世界を視野に上を目指す東京Vを倒すのは、どのチームか。レベルアップしていく全国の舞台が楽しみになった。

連覇を達成した東京V。監督のオズを胴上げ

雨で寒くても元気いっぱい。試合の合間には、音楽に合わせビートを刻み、大会を楽しくサポートしたボールガール

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