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「働きながらサッカーを続けられる環境整備」人材派遣のパソナが目指す新たな仕事の形

2016.12.05

南葛SCウイングスと人材派遣会社のパソナがパートナーシップを締結した

 2日、人材派遣会社のパソナは、南葛SCウイングスとのパートナーシップ締結を発表。都内で記者会見を開き、今後の南葛SCウイングスへのサポート内容が公開された。南葛SCウイングスは現在、なでしこリーグ参入を目指し、東京都サッカーリーグ3部を戦っている。しかし、選手の獲得、チームを強化する上で「労働面を懸念する選手が多い」と南葛SCの及川達也理事長は明かした。

「『サッカーを続けるためには生活をしないといけない』。あるいは、『サッカーをやりながら、ある程度の保証を得たい』という要望も選手から出ています」

 仕事とサッカーの両立に苦しむ選手が多いのは言うまでもない。そして、女子選手ともなれば家事育児が加わるほか、厳しい雇用条件が突き付けられることもある。2011年には日本代表が女子ワールドカップを優勝したことで、“なでしこフィーバー”が世間を取り巻いた。しかし、W杯優勝と同時に話題に上がったのは、選手たちが履く“二足の草鞋”だった。選手の大半がアマチュア選手だった当時のなでしこジャパンは、昼間は事務の仕事やレジ打ちのアルバイトで生計を立て、仕事終わりの夜から練習を開始するというのが一般だった。W杯優勝後はプロ契約を勝ち取る選手も増えたが、現状はまだまだ恵まれていると言うにはほど遠い。

 南葛SC事務局の濵本貴裕さんは、「選手たちにも様々な主張があって、『今までこういう仕事をしてきたので、その経歴を生かした仕事に就きたい』という希望を持つ選手もいます。しかし、チームが就職先を支援するというのは厳しいのが現状です。パソナさんと契約することによって、『働きたい』『今までの経験を生かせる仕事をしたい』という選手に、一番働きやすい環境をパソナさんの方で提供していただければということに期待して、今回の契約の打診をしました」と、契約に至った経緯を明かした。

 今回、南葛SCウイングスと契約したパソナは、「セカンドキャリアを見据え、働きながら競技を続けることのできる環境整備」を目指している。人材派遣会社の強みを生かし、選手たちに労働環境を提供するだけではなく、事務職や営業職など引退後の就業に必要なスキルの習得をサポートする。これまでも、南葛SCウイングス以外に、つくばFC、MITO EIKO FCといった地域リーグのクラブとパートナーシップを締結し、チームをサポートしてきた。

 派遣社員として働くメリットは他にもある。1つは練習に参加するための時間を確保できることだ。これまでパソナが派遣した選手たちは、午前中にトレーニングを行う場合は、就業開始を14時からに変更したり、通常は10時から18時の勤務時間を、練習時間に合わせて9時から17時に変更したというケースがある。

 また、パソナが雇用して企業に派遣するという形態のため、定期健康診断や福利厚生が完備されている。さらに、有給休暇が取得できる点も選手にとっては大きい。自分で休みを自由に取得することができれば、遠征のための日程調整が可能となる。フレキシブルな形態で、働きながらサッカーに集中できることが、選手にとっては最も嬉しい条件と言えるだろう。

 会見に出席したパソナ取締役専務執行役員の石田正則氏は、出産や子育て、他にも夢半ばで選手生命を諦めた選手に、もう一度プレイするために仕事を紹介することも、パソナの任務だと主張した。「今年はオリンピックが開催されましたが、子どもを産んでから現役復帰された選手もいました。色々なブランクがあっても『まだまだ自分はやれる』ということを思って活躍された方も多い。そういう方々に派遣のような仕事や、我々のような会社を上手く活用していただきたい。僕らとしても応援していければと思います」

「派遣社員からプロ選手へ」。パソナは夢舞台を目指す選手達へ、仕事の新たなモデルケースを提供する。

By サッカーキング編集部

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