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効率的な走りを身につけるために…秋本真吾氏が指導をポイント解説

2016.11.18

11月初旬、阪神タイガースの秋季キャンプで特別指導を行った、ある「プロスプリントコーチ」が、各種メディアを賑わせている。

そのプロスプリントコーチとは、元プロ陸上選手の秋本真吾氏だ。秋本氏はサッカー選手への指導も数多く行っており、ブンデスリーガのマインツに所属するFW武藤嘉紀を始め、浦和レッズのDF槙野智章や、MF宇賀神友弥、梅崎司、関根貴大、川崎フロンターレのFW大久保嘉人やMF大島僚太、柏レイソルのDF増嶋竜也など、多くのトッププレーヤーが秋本氏の「速く走るためのレシピ」を求めて、個人指導を受けている。

 これまでトッププレーヤーだけでなく、老若男女を問わず幅広い指導を行っており、サッカーキング・アカデミーでも9回に渡りセミナーを実施してきた。そんな秋本氏が走りの指導を行う上で、何に重きを置き、どのように伝えることを意識しているのか。改めて本人に話を聞いた。


――これまで速く走るために様々な方を指導してこられましたが、何を意識してもらえるよう実技、そして講義を行っているのでしょうか。

秋本真吾 「脚が速くなるかどうか」について明確に言えるのは、ものすごくハイレベルになるまでは才能ではなく、理論・理屈に基づいているということです。まずはその理論を紹介して理解してもらい、実技でそれを確認してもらうことにしています。ただし、ただ理屈を述べて解ってくださいというのではなく、見本となる動画をたくさん見てもらい、一緒に考えながら講義を進めていくことで、よりその後の実技に結びつくよう、工夫をしながら構成しています。この講座を終えた後でも、理論をもとに自ら考えながら走りを改善していく、という意識を持ってもらえるような材料を提供しているイメージですね。

――iPadにて撮影した動画を用いて受講者の走り方、ジャンプの仕方などを確認していたのがとても特徴的だったのですが、なぜ動画を使うのでしょうか。

秋本真吾 もし理論を完全に理解していたとして、その通りに動いているつもりでも、頭と身体ではギャップが生じていることが往々にしてあります。自分自身もそうでした。自分はこう動いているつもりだけど、実際はそうじゃない。この差を埋めるためにまず自分の動きを動画で客観視し、それを確認することが大事だと思っています。走っている状態で誰かに指摘してもらうよりも、その方がよりダイレクトに改善点を意識することができるのです。また、指導を行う時にも、実際に直すべき点を相手に見せながらの方が分かりやすいですよね。僕自身が指導を行う際のわかりやすさを追究した結果、このようなかたちになりました。

――受講者の方々の走り方はどのように変化するのでしょうか。

秋本真吾 一言で言えば、非効率的な走り方が効率的な走り方に変わります。速く走るために目一杯歩幅を出し、かかとから地面を目一杯後ろに蹴り上げる走り方で努力度を高めても、なかなか成果に結びつけることができません。これまでの受講者の方々も、みなさん効率的な走り方を身につけることで、結果的に短時間でスピードアップにつながっているという感じですね。

――今回のような一般の方々からプロスポーツ選手まで、幅広く指導されていますが、 それぞれを指導する際、どのようなポイントを意識しますか?

秋本真吾 基本的に子供に教える時も、プロ選手を指導する時も、ポイントが変わるということはありません。同じ人体ですから速くなるポイントというのは一貫しているとも言えますし、またなるべくシンプルになるよう講義内容を昇華させてきています。シンプルな方が改善につなげやすいですし、実際ごくシンプルなことだけで走りは改善されます。ですから、これまでの経験から言っても、運動能力に関わらず誰しも改善に繋げられていますね。ただ、同じポイントを軸にしながら、プロ選手には専門的な内容も肉付けしていく、ということはありますね。

――最後にセミナー受講を考えている方にメッセージをお願いします。

秋本真吾 「走る」ということは、多くのスポーツで必要とされる基本的な動作でありながら、これまでなかなか重視されずにいたように思います。実際トップクラスのスポーツ選手も「走り」の面では、陸上の観点から見れば一般の方と同様に多くの改善点が見つかります。そんな中、各スポーツが総合的にレベルアップを重ねていくにつれ、土台となるフィジカルの重要性に注目が集まるようになってきたと感じます。サッカーの世界でも、距離・速度両面で「走れる」プレーヤーが求められていますよね。非常にシンプルなポイントを押さえることで効率的な走りは誰にでも身に付きますが、それはスピードだけでなく燃費アップにもつながります。この講座では、これまでの指導の経験も反映させながら、現代スポーツに適したスプリント能力を獲得するためのレシピを、みなさんにお届けできればと思っています。

スプリントコーチ
秋本 真吾(あきもと しんご)

元陸上競技選手として活躍。400m ハードルにおいて、数多くの大会で上位入賞を果たし、2010年には男子200m ハードルでアジア最高記録、日本最高記録を樹立。
2012年6月に引退後、本格的に指導者として活動を開始。スプリントコーチとして、オリックス・バファローズ(プロ野球)、オービックシーガルズ(アメリカンフットボール)、INAC 神戸レオナッサ(なでしこリーグ)で指導経験を持つ。
Jリーグでは、浦和レッドダイヤモンズの宇賀神友弥、梅崎司、加賀健一、関根貴大、槙野智章、森脇良太、李忠成をはじめ、大久保嘉人、大島僚太、谷口彰悟などの個人指導も行っている。
一方、トッププレーヤーだけではなく、全国で子供たちの走り方教室など小中学生を対象とした活動も幅広く展開している。現在は地元の福島県大熊町の子どもたちを支援する被災地支援団体 ARIGATO OKUMA の代表も務めている。
2015年には NIKE と契約し、 NIKE RUNNING EXPERT、NIKE RUNNING COACH に就任。

サッカーキング・アカデミーにて秋本真吾さんの特別セミナーを実施!
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