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「フジビレッジカップ ガールズチャレンジ2016」主催者が語る女子大会の開催意義……「ここを聖地にして、2023年の女子W杯に選手を輩出したい」

2016.11.09

 言わずと知れた“日本の頂上”であり、2013年に世界遺産に登録された富士山。それとほぼ時を同じくして、富士の麓にある「富士緑の休暇村」の施設内に完成したのが、富士五湖エリア最大級の人工芝グラウンド「フジビレッジ」である。

 サッカーのフルコート2面、ジュニアコート5面が取れるグラウンドは、近郊では例を見ない規模を誇る。さらに、グラウンドから徒歩2分の場所に、550名を収容可能な宿泊施設があり、温泉施設や食事なども充実している。ホスピタリティーに溢れるこの空間は、大会や合宿などの開催において、最適かつ最高の利便性を備えた場所だろう。そして、サッカーのみならず、ラグビーや多目的クレーグラウンド、バレーボールやフットサルができる体育館、テニスコート、各種セミナーが可能な会議室などもそろっているため、ユーザーのあらゆるニーズを満たす場所でもある。

 この施設を手掛けるのは富士観光開発株式会社。「富士緑の休暇村」以外にも、そこからほど近い場所にあるスキー場「ふじてんスノーリゾート」、温泉施設「富士眺望の湯 ゆらり」、フジサンケイクラシックでもおなじみのゴルフ場「富士桜カントリー倶楽部」、「富士レイクサイドカントリー倶楽部」、富士スバルライン沿いにあるレストラン「シルバンズ」、家族で楽しめるテーマパーク「富士すばるランド」など、富士北麓のレジャー施設を中心に、地域活性の担い手として、大きな役割を果たしている。

 そんな同社が10月15日、16日に初めて主催したU-12の女子大会が「フジビレッジカップ ガールズチャレンジ2016」である。「日本女子サッカーを盛り上げよう」を合言葉に開催された同大会は大盛況のうちに幕を閉じたが、この大会を主催した狙いを、同社の取締役副本部長であり、富士緑の休暇村・支配人の金子智弘氏に改めて伺った。

 そこには、女子サッカーの普及、育成、強化を見据える、業界を飛び越えた、熱い思いがあった――。

インタビュー・写真・文=本田好伸

「フジビレッジ」を女子大会の聖地に

――「フジビレッジカップガールズチャレンジ2016」はどういった目的で初開催にいたったのでしょうか?
金子智弘 この富士緑の休暇村では、「フジビレッジ」という人工芝グラウンドを導入して3年となるのですが、男子の大会は、私たちの主催するものだけではなく、様々な大会の誘致をできています。その際に「女子の大会が少ないのでやってほしい」という要望も受けていました。それで、縁があって、今大会に協力いただいた株式会社サニーサイドアップさんとお話する機会が今年1月にあり、同じく協力いただいたスポーツマネジメント株式会社さんを紹介してもらいました。弊社の方針としても、なでしこジャパンが今年のリオ・オリンピックの出場を逃したこともあって、女子サッカーを盛り上げるべく、この「フジビレッジ」を女子大会の聖地にしよう目指すことになりました。特に小学生、中学生年代の女子の試合が比較的少ないと言われていますから、そうした年代の女子選手を育成、強化するために大会誘致をしようということに社内の同意が得られ、こうして第1回目のフジビレッジカップを開催できることになりました。

――日頃から男子チームの合宿などは頻繁に行われているのですね。
金子智弘 3年前のこけら落としではヴァンフォーレ甲府の育成カテゴリーが来てくれましたし、ジュニアユースやユース年代など、Jリーグの育成組織なども合宿や試合で利用しており、小学生年代の大掛かりな大会、合宿などもあります。年間を通して、週末や7、8月を中心に、グラウンドの予約が入っているような状況です。

――プレーヤーの負担を軽減する最高品質の人工芝を整備されていますが、そもそもなぜサッカーの人工芝グラウンドの建設を考えたのでしょうか?
金子智弘 やはりサッカーの人気があったことも大きいですね。構想自体は5年ほど前になるのですが、当時は南アフリカワールドカップもあってサッカー熱が高まっていたので、社内の理解を得ることができました。以前から宿泊施設、温泉施設はありましたし、400メートルトラックや土のグラウンドもあったので、合宿などの利用はありました。ただ老朽化もあり、この近隣には少年用の人工芝を5面も取れる場所はなかったので、そういうものを作りたいという思いを持っていました。

富士山の景色を楽しみながらプレーしてほしい

――今大会には、女子選手の普及や育成、強化といった目的がありますが、U-12年代の女子カテゴリーに対して、どのような思いを持っているのでしょうか?
金子智弘 やはり、女子選手が試合をできる環境が少ないということが前提にはあります。ですから、弊社だけではなく、いろんな方々と協力してこの場所に大会誘致を図っていきたいという思いがあります。今大会もまだ1回目ですが、5回、10回と継続していきたいと思っています。そして定着していった先に、2023年くらいの女子ワールドカップに、今大会に参加した選手が出場するようになってきたら、それは非常に嬉しいことですね。

――今大会がそうした夢の舞台になっていくと素晴らしいですね。
金子智弘 そうですね。それと、交流の場としても利用してもらいたいと思っています。山梨県には、U-12の女子チームは数チームしかなく、あとは男子に交ざってプレーしている子ばかりです。他には山梨県サッカー協会の女子部でトレセンを組織してコーチングをしていますが、山梨県のチームだけで女子の大会を開くことはまだできません。せっかくこうした環境がありますから、各都道府県から多くのチームに集まってもらい、試合やピッチ外の活動を通して交流し、仲間意識が芽生えてくれたら嬉しいです。

――改めて、富士の麓という立地も、心を開放してくれる良い環境ですね。
金子智弘 ここは、標高が1000メートルを超え、真夏でも30度以上になることがほとんどないですし、やはりグラウンドから雄大な富士山を見ながら試合を楽しめるところも魅力だと思います。実は、宿泊施設から最も離れたグラウンドで、北西からのアングルが一番きれいに富士山を眺められるのですが、頂上が平らではない、あまり見慣れない形を見ることができます。ぜひ、景色を楽しみながらプレーしてもらいたいですね。

By 本田好伸

1984年10月31日生まれ。山梨県甲府市出身。日本ジャーナリスト専門学校⇒編集プロダクション⇒フットサル専門誌⇒2011年からフリーとなりライター&エディター&カメラマンとして活動。元ROOTS編集長。2022年から株式会社ウニベルサーレ所属。『SAL』や『WHITE BOARD SPORTS』などに寄稿。

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