2016.08.09

VOLUME代表が語る/後編…華やかな『SVOLME』ブランドの挑戦とその裏側にある苦悩

サッカー総合情報サイト

 幼少の頃からサッカーに熱中し、大学卒業後も草サッカーやフットサルに興じていた“生粋のサッカー少年”渡邉祐二氏は2006年、自らが着用したいサッカー・フットサルウェアを制作すべく、株式会社VOLUMEを設立。同年6月、新たなサッカー・フットサルブランド『SVOLME』が誕生した。

海外のブランドかと思わせる、蛍光色を取り入れた華やかで斬新なデザインやカラーリング、そして女性がジャストサイズで着られるXSを含めたサイズ展開。『SVOLME』のウェアは瞬く間に人気を博し、誕生から10年を経た今、もはや日本のサッカー・フットサルシーンにおいて不可欠なブランドへと成長を遂げた。

 『SVOLME』は現在、J3リーグの町田ゼルビアとY.S.C.C.横浜、グルージャ盛岡、Fリーグのエスポラーダ北海道、そしてセパタクロー日本代表など、様々なクラブ・団体のサプライヤーとなっている

 またVOLUME社は、モノトーンのデザインが特徴で、サッカー・フットサルの面白さ、楽しさをファッションというフィルターを通して表現する『penetrar』、『SVOLME』をタウンユースアイテムとしてカジュアルアップした『SVOLME OTAK』など、様々なブランドを展開している。

 後発ブランドとしてフットボール市場に参入し、わずか10年間で確固たる地位を築き上げた『SVOLME』。渡邉氏はどのような思いでブランドを立ち上げ、育ててきたのか。サッカーとの関わり、大学時代の意外なエピソード、そしてブランドに込めた思いなどを語ってくれた。

チャレンジ精神と競技を知ること…それが活躍の秘訣

――VOLUMEを立ち上げた当初から、プロサッカークラブのサプライヤーになりたいといった目標は持っていたのでしょうか。

渡邉祐二 すごく応援しているチームもなかったので、明確にどこ、というのはありませんでしたが、そういった目標は持っていました。

――立ち上げ当初、Jリーグクラブとの繋がりはあったのでしょうか。

渡邉祐二 2006年2月に退職して4月にVOLUMEを創業したんですけど、その準備期間中、すぐに売り上げを作る必要性に迫られました。前職の時にFC東京さんのグッズを製作させていただいたことがありましたので営業に行ったら、その年の製作は既に終わっていました。ただ、その時に運よく川崎フロンターレさんを紹介してくださったんですね。それで営業に行き、Tシャツのデザインを2パターン契約させていただいて。それがVOLUMEの最初の入金でした。その時にサッカー界との繋がりがいろいろ生まれましたね。

――立ち上げ直後、後発ブランドという状況下で、自らをどうポジショニングしてシェアを広げていったのでしょうか。

渡邉祐二 一番考えていたのは、店舗でしっかり取り扱っていただくということですね。それを念頭に置いて、草創期から営業してきた意識はあります。

――ところで、貴社には『SVOLME』と同じプレーヤー向けのブランドとして『penetrar』もございますが、どのような差別化、住み分けをされているのでしょうか。

渡邉祐二 けっこうよく聞かれるんですけど、『SVOLME』はかわいらしさ。カラフルでポップでかわいい、という表現をされるブランド。『penetrar』は男らしさ。カッコいいという表現をされるブランド。簡単に言えばそんな感じですね。ターゲットは両ブランドともフットサルやサッカーをやっている方々なのでかぶるんですけど、嗜好によって違う感じですね。『SVOLME』は男女両方、『penetrar』は男性メインというイメージです。

――『penetrar』は従来はカラフルなアイテムが多いイメージがありましたが、2016年の春夏モデルからは黒と白で統一されたウェアを発表されています。ブランドイメージを変えた真意を教えて下さい。

渡邉祐二 『penetrar』を弊社で扱い始めて8年ぐらいになると思うんですけど、当初は『SVOLME』の成功体験をなぞれば同じように伸びると、自分の中で信じていたところがあったんです。実際、その通りにスタートダッシュには成功して、取引先の感触も良かったんですけど、動きが悪くなった時にコンセプトからブレていってしまって。

――どのようにブレていってしまったのでしょうか?

渡邉祐二 『SVOLME』が売れていった時に、どこのメーカーもカラフルな商品を作るようになって、『penetrar』もそれに倣いかけたんですね。そうなった時に、卸先のお客様の中に「同じようなものを出すんなら『SVOLME』にもっと力入れるよ」という意識が少しずつ芽生えてきて、それでもマーケットの中で広いところを狙いに行ったのが一昨年ぐらいだったんですが、やったら大コケしまして。取引先からも「契約を見直したい」という声をいただいていたので、今年の春夏モデルを出す時に、勇気を持ってガラリと変えようと。コンセプトのところから思いっきり話題になるぐらいの展開にしたほうがいいんじゃないかなということで、白黒を基調としたものにしました。

――かなり勇気のいる決断だったと思います。

渡邉祐二 勇気は必要でしたね。品番数も3分の1ぐらいにしたんですよ。サイズやカラーも大幅に削ったので、それで売り上げが取れるかという不安は正直ありました。ただ、いろいろ分析していくと、広げすぎてしまって一品番ごとの数字が取れていないというのがあったので、お客様にダイレクトに届けるような感じで販売しました。

――反響はいかがでしたか?

渡邉祐二 おかげさまでよかったですね。まだまだ店舗数が少ないですし、バイヤーさんの中にも売れなかった記憶がすごくあって、「欲張ってまた売れなかったら…」という意識があると思います。なので徐々にではあるんですけど、たぶん秋冬モデルもそれなりの反響はあるんじゃないかな、と思っています。

――また近年、新たに『SVOLME OTAK』というブランドも立ち上げられました。コンセプトを教えて下さい。

渡邉祐二 自分好みのスタイル、みたいなところなんですけど、VOLUMEを立ち上げてから10年経った中で、『SVOLME』というブランドが独り歩きし始めたというか、僕らの等身大のところから少しブランド化していってしまったんですね。実際に作っている私たちが着るようなものが少なくなり、ターゲット向けのものが増えてきた中で、もう少しスポーツ要素を入れたファッションアイテムを作れないかと思って立ち上げました。

――既存の『SVOLME』にもタウンユースでカジュアルなアイテムがあると思いますが、『SVOLME OTAK』は具体的にどのような方をターゲットとして見ているのでしょうか。

渡邉祐二 ターゲットは『SVOLME』とは全く違います。年齢層は25歳ぐらいから40歳ぐらいまでと幅広いですね。特に25歳ぐらいの場合は、ちょっと大人っぽい感じで着たい方をターゲットにしています。ごちゃごちゃしているものではなく、分かりやすい色使いで“シンプルなカッコよさ”を伝えられればと。『SVOLME』は若々しくてカラフルなものが好きな方が対象なので、全く違いますよね。

――近年はランニングブームが訪れるなど、スポーツがどんどん身近になっています。その中で、スポーツアパレル業界はどのように推移していくと思いますか?

渡邉祐二 ものすごい淘汰があるだろうな、という気がします。ターゲットが決まっていて、明確なコンセプトがあり、エンドユーザーにそれがしっかり伝わるもの以外は売れなくなっていくんじゃないかな、と思っています。

――では、その中でこれからスポーツアパレル業界で働く方々が活躍するために、必要なことは何だと思いますか。

渡邉祐二 スポーツアパレル業界で活躍できる人間というのは、何事にもチャレンジできる人だと思います。そして、ユーザーさんの気持ちが分かる人。社内でも言うんですけど、モノを作る時に、自分でその競技をやっていて、使う人の気持ちが分からないといいものは作れないと思うんですよ。私もよく知り合いから「ゴルフウェアを作ってほしい。『SVOLME』のゴルフウェアがあれば絶対に売れるよ」と、けっこう頻繁に言われるんですけど、まず私がゴルフをやらないので、ゴルファーの気持ちが分からないから踏み切れないんですよね。『SVOLME』は最近になってランニングのカテゴリーを立ち上げましたが、マラソンはしっかり走っていますよ(笑)。そのように、エンドユーザーの気持ちになっていろいろ考えることが大事かなと思います。

――では、ゴルフウェアを立ち上げることになった場合は?

渡邉祐二 ゴルフもやるでしょうね。「ちょっと行ってきます!」みたいな(笑)。

「自分が着たいものを作りたい」。その思いからVOLUMEを立ち上げ、『SVOLME』、『penetrar』、『SVOLME OTAK』など、様々なブランドでサッカー・フットサルシーンでの地位を確立してきた渡邉氏。「何にでもチャレンジできる人が活躍できる」という本人の言葉どおり、渡邉氏自身の飽くなきチャレンジ精神も消えることはない。きっとこれからも、新たな仕掛けで我々を驚かせ、楽しませてくれるに違いない。

VOLUME代表が語る/前編…女性も着られるサッカー・フットサルウェアの先駆け、『SVOLME』誕生のきっかけ

株式会社VOLUME
代表取締役
渡邉 祐二(わたなべ ゆうじ)

1977年生7月21日生まれ。小学生の頃からサッカーを始め、中学生の時に全国大会出場。高校は名門、国学院久我山高校サッカー部に入部。その後、大学、社会人とサッカーを続け、20代前半まではサッカー浸けの毎日を送る。また、学生時代から好きだったファッションの世界へ進む為、国学院大学を卒業後、文化服装学園に入学。その後アパレル会社で経験を積み、2006年、株式会社VOLUMEを設立。今年で創業10年目となる。

サッカーキング・アカデミーにて、株式会社VOLUME 渡邉氏の特別トークセッションを開催!
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