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【インタビュー】世界のトップeスポーツプレーヤー、ナスリ選手が語る『eJ.LEAGUE』への思い

2019.04.23

 昨年5月に開催された『明治安田生命 eJ.LEAGUE』決勝ラウンドで、大きな注目を浴びた18歳がいた。決勝ラウンド初戦、準々決勝の2戦で合わせて10ゴールと、爆発的な攻撃力で会場を沸かせたナスリ選手だ。準決勝で1−2と敗れ、“eJ.LEAGUE初代王者”の称号こそ逃したものの、そのセンセーショナルな戦いぶりは各方面から称賛を集めた。

 その後、オンライン大会での功績が認められ『FIFA18 グローバルシリーズ プレーオフ』に招待されると、各国の強豪を撃破しベスト4へと進出。日本人として初めて、サッカーゲームにおけるeスポーツ大会の世界最高峰、『FIFA eWorld Cup』の舞台にも立つこととなった。

 ナスリ選手は、『eJ.LEAGUE』を足がかりに世界のeスポーツ・トッププレーヤーへと上り詰めた。そんな『eJ.LEAGUE』の第2回大会、『FIFA19 グローバルシリーズ eJ.LEAGUE SAMSUNG SSD CUP』決勝ラウンドが4月28日、29日に開かれる。自身の飛躍のきっかけとなった『eJ.LEAGUE』に対する思いを、ナスリ選手に聞いた。

インタビュー協力=株式会社スポーツITソリューション
写真=Jリーグ、株式会社スポーツITソリューション

■日本のeスポーツ発展には“真剣勝負の場”が必要

昨年初開催となったFIFAグローバルシリーズ eJ.LEAGUE(明治安田生命eJ.LEAGUE)に最年少(18歳)で出場。ベスト4に進出した(画像は前回2018年開催大会のもの) ©J.LEAGUE


――『FIFA19グローバルシリーズ eJ.LEAGUE SAMSUNG SSD CUP』決勝ラウンドが迫ってきました。ナスリ選手にとって、昨年の『明治安田生命 eJ.LEAGUE』は初めて出場したオフラインの大会ですね。どんな大会でしたか?
大会前に特別なことはしておらず、いつものようにウィークエンドリーグを淡々とプレーして当日を迎えました。ただ、決勝ラウンド当日はとにかく緊張したことを覚えています。1回戦はリードを奪ってからはずっと守る展開で、2戦目の準々決勝は序盤の取り合いのなかで勢いがついて、ポンポンと追加点を取って進められました。かーる選手(浦和レッズ)と戦った準決勝は先制されてしまったことが痛かったですね。かーる選手とはそれまでオンラインでも戦ったことがなかったんですが、とても守備が堅かったことが印象に残っています。大会には、以前からオンライン通話で話していた選手が多くいたので、初対面ながら友達のような感覚で話せていました。『eJ.LEAGUE』を経てさらに仲良くなれましたし、今もいい関係が継続しています。
――昨年の『明治安田生命eJ.LEAGUE』では優勝を飾ることはできませんでしたが、その後「FUT Champions」などでの成績が認められ、『FIFA eWorld Cup Grand Final 2018』の最終予選である『FIFA18 グローバルシリーズ プレーオフ』に招待されました。初めて国際大会に参加された感想を聞かせてください。
大会はアムステルダムで行われたんですが、僕にとって初めての海外で、食事と会話にはとても苦労しましたね。食事はホテルの近くの「キオスク」や日本から持っていったカップ麺を食べてしのぎましたが、現地の紙幣や硬貨がよくわからず、とりあえず大きなお札を出したり……。最初はジュース1本買うのもひと苦労でした。大会ではベスト4まで行けたので、その時は「思ったより通用するな」と感じました。ただ、『eWorld Cup 2018』やその後のシーズンを経た今は、「やはりプレーオフで戦った彼らは強かったんだな」と思い直しています。
――その『グローバルシリーズ プレーオフ』でベスト4という成績を収め、「FIFA eWorld Cup」への出場を決めました。「FIFA eWorld Cup」ではどのような経験をしましたか?
『FIFA eWorld Cup』は散々な出来だったので、残念ながらほとんど覚えていないんです。実はあの時、風邪を引いてしまっていたのですが、たとえ調子が悪くてもいけるのではと思っていました。ただ、あのレベルの大会に出場する選手は、やはり強い。大会に向けていいコンディションをつくることは課題ですね。
――ヨーロッパや南米などの強豪国と、日本をはじめとするアジア諸国との差はどんなところにあるのでしょう?
世界とアジアや日本の差についてよく聞かれるのですが、明確な差が何なのかは分かっていません。ただ、例えばヨーロッパではドロップバック(引いて守るスタイル)が流行っていたりと、世界大会には自分とは違うスタイルで戦う選手が多いと感じます。僕はパスを回してポゼッションするスタイルが得意なんですが、ヨーロッパでは逆に新しいと見られているかもしれません。

――昨年は「eスポーツ元年」として国内でもeスポーツが大きな話題になりましたが、世界的に見ると日本の環境は遅れていると言われています。日本から世界で戦える選手を輩出するためには、どのようなことが必要だと考えていますか?
国内の大会を増やすこと。それに尽きると思います。トーナメント戦でもリーグ戦でもいい。真剣勝負の場を増やすことしかないのかなと思います。
――ナスリ選手自身についてお聞きします。現在、選手としてどのような活動をされているのでしょうか? 直近で出場する大会や今後の目標は?
直近では、マンチェスターで開催される『eChampions League』に出場します。この大会と日程が重なってしまったので、残念ながら今シーズンの『eJ.LEAGUE』には出場できないんです。現在の目標は、8月に開かれる『FIFA eWorld Cup』に出場することですね。『FIFA eWorld Cup』は世界ランキングで上位の16選手だけが出場できる大会なのですが、今、僕は20位なので、これから数カ月の間にある大会で結果を残して、出場権を獲得したいと思っています。

昨年はFIFA eWorld Cup Grand Final 2018に出場。コンディション調整などの課題は残ったが、世界の舞台で今後につながる貴重な経験を積んだ ©(株)スポーツITソリューション

■今年の『eJ.LEAGUE』は誰が優勝してもおかしくない

――昨年の『eJ.LEAGUE』は、Jリーグが競技団体として初めて開いたeスポーツの大会でした。Jリーグのような存在がeスポーツに取り組むことに、どんな意義があると思いますか?
やはり「Jリーグ」という名前が入っているだけで、『FIFA』シリーズをプレーしていない人からの印象が違います。友人からも「よく分かっていないけど、『Jリーグ』だからすごいことなんでしょ?」と言われましたし、ネームバリューの大きさは昨年も強く感じました。今後もJリーグの名のつく大会を増やして、続けていただければと思います。
――今年の決勝ラウンドは4月28日、29日に開催されます。昨年から大会方式が変わり、今年は37名の選手が決勝ラウンドに駒を進めました。20歳前後の若い選手もいますが、特に注目する選手、気になる選手はいますか?
守備が堅く、安定感がある戦い方をしてくる、くらき選手(清水エスパルス)に注目しています。出場する選手に大きな実力差はないので、取りこぼさない戦い方をする、くらき選手が優勝するのではないかと思っています。対戦カードでは、グループBのつぁくと選手(セレッソ大阪)vsしーしーぶい選手(FC東京)の試合はトップレベルだと思います。グループBには他にもいい選手がいるので楽しみですね。
――今回の決勝ラウンドはJリーグ公式LINE LIVE、Play Station公式YouTubeなどでライブ配信されます。初めてeスポーツを見る方もいらっしゃると思いますが、『eJ.LEAGUE』を見るうえでのポイントはどんなところにありますか?
『FIFA』シリーズをあまり知らない方には、ゲームならではの「いつものサッカーより速い展開」に注目して見てほしいです。また、他のeスポーツと違って、サッカーのルールはすでに分かっている方が多いので、気軽に見られると思います。今大会は誰が優勝するかわからないくらい実力が拮抗しているので、全員が『eJ.LEAGUE』の優勝カップと賞金100万円を目指して頑張ってほしいと思います。

 ナスリ選手が目指すEA SPORTS FIFAシリーズの世界一を決める『FIFA eWorld Cup』は今年、予選開催方式を大幅に変更され、個人ランキング(FIFA 19グローバルシリーズランキング)の上位者が最終予選にあたる『FIFA19グローバルシリーズ プレーオフ』に出場することになる。

『FIFA19グローバルシリーズ eJ.LEAGUE SAMSUNG SSD CUP』は、その「FIFA19 グローバルシリーズポイント」が獲得できる大会の一つとして開催され、4月28日(日)、29日(月・祝)に決勝ラウンドが行われる。

 今年の『eJ.LEAGUE』は、昨年を177人も上回る355人がオンライン予選を戦い、決勝ラウンドにはJ1クラブ推薦選手や『PS4 FIFA 19 JAPAN Tournament』優勝者を加えた37名によって優勝が争われる。果たして、2年目の『eJ.LEAGUE』チャンピオンに輝くのは誰か――。

FIFA19グローバルシリーズ eJ.LEAGUE SAMSUNG SSD CUP 決勝ラウンド

4月28日(日)、29日(月・祝)開催
Jリーグ公式LINE LIVE、Play Station®公式YouTubeにて準々決勝以降をライブ配信
大会情報はこちら https://www.jleague.jp/ejleague/fifa/2019/

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