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【インタビュー】『ウイニングイレブン』制作陣が語るeSportsとウイイレの“未来”

2017.05.31

 近年、日本国内でも少しずつ裾野が広がりつつあるエレクトロニック・スポーツ、通称『eSports』。プレーヤー同士で対戦するコンピューターゲームをスポーツとして実施していくもので、FPSや格闘ゲーム、スポーツゲームを中心に世界でバトルが繰り広げられている。

 6月2日にはUEFAチャンピオンズリーグ決勝に合わせて『ウイニングイレブン2017』の公式世界大会決勝が行われる。日本からはアジア地域決勝を見事に勝ち抜き、世界一を争うための切符を手に入れた2名が『ウイイレ最強』を目指す。

 また、『ウイニングイレブン』シリーズにおいては、9月14日に新作『ウイニングイレブン 2018』がリリースされることも発表。新たなステージへの準備も着々と進んでいる。

『サッカーキング』ではアジア地域決勝の際、『ウイニングイレブン』の制作部に話をうかがい、eSportsの現状や未来、『ウイニングイレブン』シリーズの展望・野望を聞いた。

日本代表や制作陣、アジア各国代表へのインタビューなど『ウイイレ2017』最新情報はコチラ

取材=小松春生
写真=瀬藤尚美

『ウイイレ』東南アジア代表に聞いた「eSports」の現状インタビューはコチラ→→→https://www.soccer-king.jp/news/game/20170531/594283.html

——2022年に開催されるアジア競技大会にて、eSportsが公式種目として採用されることが決定し、ゲームが娯楽としてだけでなく、競技としても立場を確立してきています。これは、ポジティブなニュースでしたね。

制作部 そうですね。いろいろなゲームタイトルでeSportsが盛んになってきています。『ウイニングイレブン』はもともと、対戦が面白いというゲームなので、今まで遊んでくださった方はもちろん、それ以外の方にも興味を持っていただけるキッカケにもなる、いい時期に来ていると感じます。大会の開催も日本はもちろん、世界各国で現在行っています。

——日本でのeSportsの土壌は、世界と比較してどのように感じますか?

制作部 タイトルに限らず、日本でも注目され始めていますが、盛り上がりは海外が若干大きいかな、と感じます。ゲームがスポーツとして遊ばれている度合いで言えば、海外市場が日本より少し熱気が大きいかなと。日本はコンソールゲーム機が市場のメインですが、海外はPCゲームがもともと広く遊ばれており、そちらの方がeSportsの機能などについて先に工夫をしてきた、という事情もありますね。

——日本ではスマホゲーム市場が大きいこともあります。

制作部 そうですね。弊社もタイトルを出していますし、これからも注目していくジャンルであると思います。ただ、プレイステーション本体などでもゲーム実況ができる機能など、プラットフォームとして様々な要素が追加されていますし、そういった部分が今後eSportsの盛り上がる土壌になるのかなと思います。

——eSportsはサッカーやスポーツだけでなく、FPSや格闘ゲームなど様々なジャンルがあります。その中で『ウイニングイレブン』としてはどういう方向性を目指していこうとお考えですか?

制作部 例えばFPSであればマップをあらかじめ知っていて、どこが狙うポイント、待ち伏せするポイントだとかを把握できていたり、使うキャラクターによって特性があったりするので、ゲームを自分でプレイされている方は、すごく面白く見られる部分です。でも、知らない方が見ると、どういう戦いでどちらが優勢なのか、わかりづらい部分があります。一方で、サッカーは世界中で一番ルールが知られている競技なので、大前提の基本部分がわからないというハードルがありません。だからeSportsにおいても、もっとたくさんの人が自分のレベルの中で競い合える可能性があります。なるべく広い間口でeSportsに親しんでいただけることが、一番目指したい方向性ですね。

——その土壌が醸成されつつあると?

制作部 そうですね。インターネットの環境もそうですし、モバイルでもオンライン対戦のeSportsが始まっているタイトルがあります。皆さんが触れられるハードで他の人と競い合えると環境が整っていきます。コアな方も、そうではない方も、なるべくたくさんの方に、楽しんでいただきたいです。みなさんにeSportsというものに親しんでいただき、サッカーも『ウイイレ』も楽しんでいただけることが一番ですね。

 根本には「まずサッカー」だと考えていますので、よりサッカーが広がってほしいというところに重きを置いています。サッカーを楽しんでいただく1つの方法が『ウイイレ』であってほしいと思っています。たくさんの方がサッカーに興味を持っていただいて、ゲームからサッカーを好きになってくれる方もたくさん増えていただければ、さらにうれしいことですね。

——将来、eSportsがオリンピックの競技になれば、小さい頃からゲームを突き詰める子も生まれるでしょうし、ゲームではなくサッカーに関心を持つ子も増えるかもしれませんね。

制作部 そうですね。現在、中西哲生さんが『ウイトレ』(『ウイニングイレブン』を通じてサッカー教育に役立てる)を実践してくださっています。子どもにとって、ゲームは入りやすいものだと思います。そこから「サッカーって実はこういう動きをすれば効果的なんだ」と学んでくれて、実際のプレイもゲームも楽しんでいただければ最高です。

——現実のサッカーとのリンクという部分では、ゲームの“リアル化”という点はいかがでしょうか。

制作部 例えば「デュエル」が、指標として今、一般化してきています。そこはゲームでもデータで違いが出ています。1試合の中で何回そのプレイが選択されたかというデータを蓄積しているんですが、日本のユーザーはスライディングタックルをあまり使わないんです。これは如実に違いが出ているところですね。ゲームにおいてもサッカーの流行りによって、作り込むポイントを毎年考えます。これまではシステム論が盛んであった部分もありましたが、やはり1対1の部分、というところもあるので、ポイント選びにも注力しています。

——操作の点ではいかがでしょうか。

制作部 実際のサッカーに起こる全ての駆け引きの要素が表現できるかというと、ゲームでの視線は俯瞰なので、見える景色が違います。俯瞰で見た時に、サッカーの要素を可能な限り、駆け引きとして簡単に楽しんでいただくということにスポットライトを置いています。一時期、操作も複雑になり、いろいろなテクニックを使えることが強くなる条件だったことがありますが、できるだけシンプルな操作で、難しい操作は極力しなくても楽しんでいただけることを目指しています。

——最後に、『ウイニングイレブン』ファンの方にメッセージをお願いします。

制作部 『ウイニングイレブン』は20年以上続いているタイトルです。昔から遊んでいただいているユーザーの方、最近遊び始めていただいたユーザーの方、いろいろな方が楽しんでくださっていると思います。学生の頃に遊んでいた方も、親御さんになって子どもと一緒に遊ぶような時代にもなってきていると思います。親や友達がサッカーに触れるというつながりのきっかけの一つに『ウイニングイレブン』をしていきたいです。これからも「相手と競い合うことを、簡単な操作で楽しめるように」ということを突き詰めていきたいと思っていますので、ぜひ楽しんでください。

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By 小松春生

Web『サッカーキング』編集長

1984年東京都生まれ。2012年よりWeb『サッカーキング』で編集者として勤務。2019年7月よりWeb『サッカーキング』編集長に就任。イギリスと⚽️サッカーと🎤音楽と🤼‍♂️プロレスが好き

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