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世界に誇るソニーの技術…ソニー担当者が語るスタジアムソリューション/第1回

2017.10.03

プレー風景を撮影するカメラや放送機器、スタジアムでスロー映像などを映し出す大型映像表示システムなど、ソニーはサッカーを始めとするスポーツの分野において不可欠な存在と言える。近年は最新のテクノロジーを駆使したビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)やラインジャッジが導入され、またスタジアムエンタテインメントの分野でも様々なコンテンツを提供している。

山本太郎氏は、ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ株式会社でスポーツを軸としたビジネスデベロップメントを担当している。ソニーグループが展開するスタジアムソリューションには、どのようなものがあるのか。それらは、世界中でどのように評価されているのだろうか。

* * * * *

――まず、山本さんの入社当初の業務について教えてください。
山本太郎 私はアメリカの大学を卒業後、1991年7月に入社しました。当時は業務用放送機器、つまり放送局で使われているカメラや編集システムなどの海外マーケティングや販売会社のサポート業務をする部署に配属となりました。主に北米地域の業務を担当していました。

――プロフィールを拝見すると、長年海外に駐在していたということですが、どのような業務を担っていたのでしょうか。
山本太郎 シンガポールに始まり、アメリカ、イギリス、もう一度アメリカに戻り、最後はインドと、通算で18年間ほど駐在しました。基本的にはセールスマーケティングがメインの仕事でしたが、最初の駐在地だったシンガポールで業務用機器の営業をしていた時に、シンガポール・インドア・スタジアムで、ソニーの大型ビジョンを使用しており、そのサービスの案件を担当したのが、始めてスタジアムエンタテインメントにかかわる業務でした。その後にコンスーマー(民生用機器)の担当になり、アメリカとイギリスに駐在しました。イギリスではロシアを含む欧州全域の担当をし、オーディオ商品のセールスマーケティングを担当しました。その時にマーケティング活動の一環として、NHL(北米プロアイスホッケーリーグ)のマイナーリーグのチームやNHRA(全米ホットロッド協会)のスポンサー業務などでスポーツに関わることとなり、いろいろなスタジアムを回らせていただきました。直近ではインドに3年半程駐在し、スマートフォンのセールスマーケティングを統括していました。

――2016年に帰国し、現在はスポーツソリューションを担当しているということですが、どのような業務を行っているのでしょうか。
山本太郎 サッカーのゴールライン・テクノロジー(以下GLT)やビデオ・アシスタント・レフェリー(以下VAR)、テニスのラインジャッジなどで有名なホーク・アイ・イノベーションズという会社がありますが、弊社が2011年に買収しました。以来、ホークアイのサービス・ビジネスを、ヨーロッパを中心に広げていたのですが、世界展開として、日本を含めたアジアで展開していくこととなり、現在はそのためのサポートを主に担当しています。

――ソニーには様々な関連グループがあると思いますが、それぞれどのようなグループなのでしょうか。
山本太郎 ソニーには多岐にわたる業種がありまして、エレクトロニクスをメインに、映画や音楽などのエンタテインメント、保険や銀行などのファイナンスと、この3つを軸にしています。私が所属しているソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ株式会社は最先端の映像技術を核に、コンスーマー、プロフェッショナル、メディカル市場向けの製品(ハード&ソフトウェアやシステム)やサービスの開発や企画などを行っています。そこで開発された製品を、ソニービジネスソリューション株式会社が国内向けに販売を行っています。県立カシマサッカースタジアムの例で言うと、鹿島アントラーズさんはJリーグで唯一、自らのホームゲームの中継制作を受託しているのですが、その制作補助という形でソニーPCL株式会社がかかわっています。それぞれの得意分野で協力しながら、ソニートータルのソリューションを提供する形になります。

――海外の事業では、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
山本太郎 6月にUEFAチャンピオンズリーグ決勝のレアル・マドリード対ユベントスの試合がありましたが、子会社のホークアイ社がGLTを提供し、ソニー・プロフェッショナル・ソリューションズ・ヨーロッパという欧州の販売会社が、試合のライブ中継制作用カメラシステム等を納入しました。また、試合の中継をテレビだけではなく、「プレイステーション ヴィーアール」向けにも中継する試みも行いました。ここにはソニー・インタラクティブエンターテインメントヨーロッパというプレイステーション事業を欧州等で展開する会社が関わっています。各関連グループが得意分野を個別に提供するだけでなく、総合的なソリューションとしても提供できるのが我々の強みであると思っています。

――ソニーさんというと撮影機材や放映機器というイメージが強いのですが、それだけではないということですね。
山本太郎 国内ですとソニー・ミュージックグループの1社である株式会社ソニー・ミュージックコミュニケーションズがありますが、そこではBリーグやボルダリングの大会の演出、3×3の全体運営やスタジアムエンタテインメント、ショーエンタテインメントなども担当しています。我々も情報交換をしつつ、一緒に面白いことができないかと常に考えています。

――スポーツの分野において、ソニーの技術やソリューションは世界的にどのように取り入れられているのでしょうか。
山本太郎 いくつかの分野に分けて話をさせていただくと、まず放送の分野が昔からの強みで、各国の放送局やプロダクションハウスの方々に、我々の放送機材やカメラシステムを納めさせていただき、ご活用いただいています。審判補助の面では各国のリーグでGLTが始まっていますし、VARも主要リーグで採用され始めています。また、ピッチ上でケガをした選手への処置のためにビデオリプレイシステムをドクターが活用したり、ホークアイの映像とデータ分析会社のデータを組み合わせて戦術分析やコーチングに使ったりと、様々な分野で活用していただいています。

――世界ではどのような技術やソリューションが求められているのでしょうか。
山本太郎 ソニー・ミュージックエンタテインメントの例も一つかもしれませんが、スタジアム全体のエンタテインメントとして何ができるかというプロデュース力が求められていると思います。ソニービジネスソリューション株式会社はコンサルテーションも得意分野です。鹿島アントラーズさんの例で言うと、テクニカルサプライヤーという立場で2010年頃からお付き合いを開始し、競技を見るだけにとどまらず、さらに観戦の楽しみが広がる空間演出をめざして、ソリューションを提供しています。そういったプロデュースの部分とソリューションの提供が、技術に加えて求められているところだと思います。

インタビュー・文/池田敏明
写真/兼子愼一郎

鹿島の躍進を支える…ソニー担当者が語るスタジアムソリューション/第2回

 

ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ株式会社
プロフェッショナル・ソリューション&サービス本部
スポーツセグメント部
山本 太郎シンガポール、アメリカ、イギリス、インドの販売会社・地域拠点に通算約18年間駐在し、セールスマーケティング関連業務及び新規事業立ち上げ業務に従事。担当したカテゴリーは多岐にわたる(放送・業務用機器、スポーツビジネス、民生オーディオ関連機器、スマートフォン等)。シンガポールでは、大型映像装置の案件を通じスタジアムエンターテインメントに関わり、さらに各国での判定補助サービス、スポーツ関連スポンサー業務などを通じて多くのスタジアムを訪れる。直近では、2013年よりインドにおけるスマートフォン事業を統括し、2016年4月に帰国。現在は審判支援技術やそのサービスを提供するホークアイ事業のグローバル展開を主に担当。スポーツ全般をこよなく愛し、アメフト、ラグビー、野球の競技歴あり。

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