2013.07.05

TBS枡田絵理奈アナウンサー「現場に行かなければ分からないドラマを伝えたい」

 毎週月曜日の深夜に放送されている『SUPER SOCCER』でMCを担当しているTBSアナウンサーの枡田絵理奈さん。小学生の頃にサッカーを習い“ヘディングの女王”として活躍したアクティブな一面を持ち、現在も忙しい仕事の合間を縫ってスタジアムに足を運ぶ彼女。幼い頃から関係の深いサッカーへの思い、そしてスタジアムでのエピソードを聞いた。
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インタビュー=大倉 悠 写真=樋口 涼(CRACKER STUDIO)

――枡田さんは子供の頃から、よくスタジアムに観戦に行かれていたんですね。

枡田絵理奈 はい、神奈川県出身なので、よく横浜FMの試合に行ってましたね。幼馴染がユースチームに入ったりして、その子のお母さんが「チケットもらったから一緒に行こうよ」って、よく連れて行ってもらっていました。

――川崎の試合にも行かれたことはありますか?

枡田絵理奈 当時はまだJ2だったのであまり行くことはなかったですけど、中学校の頃に憧れていた男の子がフロンターレのユースでした(笑)。学校の授業が終わると、その子はすごく遠い練習場まで一人で自転車で行ったりして。だから、ノートを綺麗にとってテスト前に貸したりしていました(笑)。

――思い出が詰まっていますね(笑)。どのようなきっかけでサッカーを見始めたんですか?

枡田絵理奈 自分自身がやってたのと、小学校2年生の時にJリーグが始まったことが大きいですね。友達はみんなキティちゃんとかセーラームーンが好きで可愛い筆箱を持ってた時に、私だけカズ(三浦知良)選手とかゴン(中山雅史)選手の下敷きを持ってた気がします(笑)。

――当時は女の子でサッカーをやってる子が少なかったんじゃないですか?

枡田絵理奈 そうなんですよね。その前にバレーボールとかバスケもやっていたんですけど、ピアノを習っていたので両親に「突き指するから手を使うスポーツは駄目よ」って言われて。それなら手を使うスポーツじゃなくて、足を使うスポーツを、と(笑)。自分が実際にやっていた経験が少しでもあるから、選手への尊敬の気持ちはすごくありますね。

――枡田さんは毎週、数多くの試合をスタジアムで取材されていますが、思い出に残っている試合はありますか?

枡田絵理奈 思い出に残ってる試合は本当にいっぱいあるんですけど、大体は取材で行くことが多いんですよね。でもその中で、一昨年の2011シーズンにアナウンサーになってから初めてプライベートでJリーグを観戦しに行ったんです。それが等々力競技場での川崎とG大阪の試合で(2011年5月29日、J1第13節)。大雨の中、ロスタイムのラストワンプレーで中村憲剛選手がフリーキックを決めた試合でした。いつもは記者席のあるメインスタンドから見るけど、反対側のスタンドからだったので見える角度も違うし、周りの歓声も聞こえて。記者席だと静かにお行儀良くしていなきゃいけないので(笑)、すごく楽しかった思い出があります。

――取材の時とは、全く違う見え方でしたか?

枡田絵理奈 そうですね。でもあまりにいい試合だったので、結局取材したい気持ちも騒いじゃって(笑)。どうしても選手のコメントが聞きたくなって、急遽TBSのスタッフに連絡して、「実は今来てるんだけど」って取材パスを出してもらって。試合終了後に急いでミックスゾーンに行って、急遽インタビューをさせてもらったんです。でもついさっきまで、いちサッカーファンとして試合を楽しんでたので、いつもの「お疲れ様でした」っていう迎え方とはちょっと変わっちゃって(笑)。思わず握手をして、すごく興奮しちゃいました。

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――実際にサッカーを伝える側になってから、サッカーの見方が変わった部分はありますか?

枡田絵理奈 選手たちが、私たちの想像以上に色んなもの背負ってるんだなというのが分かってきましたね。取材を通して色々な選手の思いを聞きすぎたら、いいプレーを見て喜ぶ反面、ミスした選手の気持ちまで気になるようになっちゃいました。日本代表戦なら全選手を心おきなく応援できるんですけどね(笑)。

――いつもスタジアムで取材される時は、どんなポイントを意識しながら見られていますか?

枡田絵理奈 『SUPER SOCCER』だと小倉(隆史)さんが解説してくださるし、私はサッカーの専門的なことは分からないし、語れない。だから、そういう部分よりも選手の性格だったり、パーソナルな部分に注目するようにしています。インタビューする時に、どういう話しかけ方をしたらいい表情が出るかなぁとか、スタジオに来て下さった時にどういう話をしたら喜んでくれるかなぁとか。ウォームアップの時も新しくチームに入った選手だったら「あの選手と結構喋ってるんだな」とか、「中村俊輔選手って昨季は後輩に直接指示を出すことがあまりなかったけど、今季は直接指摘してるな」とか。できるだけピッチに降りて、選手の声が聞こえるギリギリの所まで行くようにしています。

あとは、例えば試合に勝っても、勝ったチームの中にあまり喜んでない選手がいるというか、素直に喜べてない選手がいるっていうことも、取材を続けてると見えてくるんですよね。スタメンで出場する機会が少なかったり、チームが勝っても最後の数分間しか出られなかったっていう状況で、ピッチから戻ってきた時にすごく複雑な顔をしていたり。だからこそ、一点を取ったときの重みをより感じるようになりましたね。

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――結果に至るまでのドラマや背景は、現場でしか見えてこないですよね。

枡田絵理奈 そういうものを視聴者の皆さんに、もっと伝えていきたいなと思うんです。チームで協力して戦ってるけど、実はそのチームの中にもまた戦いがあったり、選手たちが葛藤していたりする。そういう部分が見えることで、サッカーの持つドラマが分かるというか。ゴールした選手だけでなく、他の選手にもスポットライトを当てていきたいですね。

――ワールドカップ出場が決まり日本サッカーが盛り上がる中で、Jリーグももっと盛り上がってほしいですね。

枡田絵理奈 今はJリーグの選手が日本代表にすごく少ない状態だけど、やっぱり(アルベルト・)ザッケローニ監督もすごくスタジアムに来てらっしゃるし。ザッケローニ監督が来ている試合では、やっぱり選手たちがちょっと意識しているなっていうのを感じます。ここからの1年で“ザックジャパン”に新たに入って来る選手は、今Jリーグで活躍している選手たちだと思うので、今からJリーグをチェックしてるともっと来年の本大会を見る時はもっと楽しくなると思うし、思い入れも増すと思いますよ。

枡田絵理奈(ますだ・えりな)
TBS『SUPER SOCCER』を始め、数々のバラエティ番組や情報番組で活躍するアナウンサー。小学生の頃にサッカーを習っていた経験があり、観戦経験も豊富。現在も毎週のように試合会場に足を運び、現場での取材を重ねている。
SUPER SOCCER
国内外のサッカー情報を幅広く紹介。Jリーグや海外リーグの試合をダイジェストで放送する他、選手インタビューや選手たちにスポットを当てたバラエティ企画なども放送している。
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