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悔しさを糧に選手権に戻ってきた矢板中央 個性と組織力の向上で歴史を塗り替える

2023.12.27

2年ぶりに選手権出場を決めた矢板中央[写真]=吉田太郎

 今年こそ、壁を破る。

 2年ぶりに全国高校サッカー選手権大会に出場する矢板中央は、2009、2017、2019、2020年度に3位。無名の中学生たちが3年間かけて、矢板中央伝統の堅守や個性を磨き、全国舞台で強豪校と渡り合ってきた。

 だが、2009、2017、2019年度大会はいずれも準決勝で0-1の惜敗。相手のスーパーゴールや終了間際のPKによって敗れてきた。今回こそ準決勝の壁を破って日本一へ。組み合わせ抽選会でMF井上拓実主将(3年)が「日本一になるために、目の前の試合、一戦一戦頑張っていきます」と語ったように、一戦一戦、勝ち続けて頂点に立つ。

 チームは悔しさを糧に選手権に戻ってきた。矢板中央は昨年、選手権の連続出場が『5』でストップ。また、新チームは高円宮杯プリンスリーグ関東1部の前期を4分5敗未勝利と苦戦していたが、夏のインターハイで2年連続のベスト8進出を果たした。前回大会の先発経験者はDF梶谷皇光斗(3年)のみ。だが、梶谷とブレイクした2年生DF清水陽、大型GK大渕咲人(3年)の活躍などによって、同校のインターハイ最高成績に並んだ。

 2023年のインターハイベスト8の顔ぶれで、2年連続の準々決勝進出は矢板中央だけ。その矢板中央は国見(長崎)との準々決勝でも、セカンドボールの攻防で優位に立つなど攻勢に出て、後半はコーナーキックの本数で6対1と大きく上回った。そして、ロングスローを含めて、相手に圧力をかけ続けて決定機も作り出したが、相手GKのファインセーブにあうなど、得点を奪うことができず、PK戦で3人が外して惜敗した。

 試合後に井上は「ここを勝てば矢板中央初のベスト4ということで、チーム全員が気合い入って、モチベーション高くできていたんですけど、ゲーム内容としても、決め切るチャンスが多い中で決め切れなかったことと、自分たちの勝負弱さが出た」と悔しがっていた。そして、「まだ足りないです。一個人が成長しないと、次に強い相手と対戦した時に精神的にも技術的にも負けてしまうことがあると思うので、(選手権へ向けて)一番は個人の成長を期待したいです」とコメント。そこから、個の力と組織力の向上を求めて冬を目指してきた。

 プリンスリーグ関東1部では、後半戦で4勝2分3敗と巻き返して逆転での7位残留。選手権栃木県予選決勝では後半アディショナルタイムに得点を奪い合い、延長後半終了間際にMF小森輝星(3年)が決勝ヘッドを決めて勝ち切った。例年同様、夏以降の成長を見せたチームは、1年生DF永井健慎や切り札のFW堀内凰希(2年)、FW朴大温(2年)らの台頭もある。選手権では厳しいブロックに入ったが、1年前の予選敗退、そして夏の悔しさも力にして勝ち上がり、歴史を塗り替える。

取材・文=吉田太郎

By 吉田太郎

サッカー専門媒体を中心に、主に育成年代の取材活動を展開。

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