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クラブでボランチ定着の鎌田大地、第2次森保ジャパンでの最適解とは

2023.02.14

ケルン戦では0-3の敗戦となったフランクフルト [写真]=Getty Images

「後半戦が始まって発熱して練習ができなかったりして、少し自分らしいプレーが出せなかった。(オリヴァー・グラスナー)監督にも呼ばれて『このところ前半戦みたいなパフォーマンスができていない。自分のやるべきことをやっていれば、また得点やアシストはついてくる』と言われたところ。でもすぐに結果がついてきてよかったです」

 2月7日のDFBポカール、ラウンド16のダルムシュタット戦で決勝弾を叩き出した鎌田大地。彼は1月後半にコンディション不良に苦しんだことを初めて明かした。1月28日のバイエルン戦で先発から外れたのもそのせいだったようだ。

 しかしながら、このダルムシュタット戦と2月12日のブンデスリーガ第20節ケルン戦はフル出場し、21日に控えるチャンピオンズリーグのナポリ戦に向けて少しずつ調子が上向いてきたのは確かだ。

 最近はバルセロナやトッテナム、ドルトムントなど強豪クラブから関心を寄せられているという報道が相次ぐなど、鎌田は契約が満了となる今夏の移籍市場の目玉になりつつある。本人も前々から「ビッグクラブでプレーしたい」と話しており、より良い条件のクラブに行ければ理想的。それを現実にするためにも、CL決勝トーナメントでどこまで勝ち上がれるかは極めて重要となる。世界中から注目されたFIFAワールドカップカタール2022では期待通りの結果が残せなかっただけに、ここは強烈アピールを求めたいところだ。

 前述のダルムシュタット戦を日本代表の森保一監督も直々に視察。鎌田の復調に安堵したことだろう。少し会話も交わしたようだが、やはり注目すべきは今後の起用法だ。

 カタールW杯の時は、初戦のドイツ戦まで4-2-3-1のトップ下が鎌田の定位置だったが、第2戦コスタリカ戦途中に3バックにシフトして以降は2シャドウの一角に。それがクロアチア戦まで続く形になった。

 だが、現在のフランクフルトでの彼はボランチが主戦場。彼自身も前々から「世界のトップレベルでやることを目指すなら6番か8番のポジションが一番いい」と語っており、できれば代表でも同じ位置に入りたいという気持ちも少なからずあるはずだ。

「(代表でのポジション?)うーん、どうなんですかね。それは監督が決めることなので。僕は中盤か前はある程度、どこでもできるとは前から言っているし、自分がどうこうではなくて、森保さんが決めることかなと思います。6番か8番というのもクラブの話。代表だとまた選手も違うし、兼ね合いの部分もあるので、別にどこで出てもある程度のクオリティでできるかなと感じてます」と目下のところ、彼はあくまでチーム事情に従う考えだ。

 森保監督も鎌田をボランチで使いたいという考えが全くないわけではないだろう。実際、W杯直前の昨年11月のカナダ戦では途中から一列下げて起用。攻撃の起点としての役割を託している。

 アジア予選など日本が押し込める状況であれば、「ボランチ・鎌田」というのは非常に効果的なオプションになる。フランクフルトで見せているような中盤での展開やパス出し、3列目からの飛び出し、フィニッシュといった多彩なタスクを担えるはずだ。

 けれども、対戦相手がW杯基準の強豪国となると、鎌田の球際や寄せ、ボール奪取力がやや不安視される。日本サッカー協会の反町康治技術委員長も「日本でボールを刈り取れるのは(遠藤)航くらい。しかしアルゼンチンはエンソ・フェルナンデスやロドリゴ・デ・パウルのように5~6人はそういう選手がいる。日本の中盤も何でもできる選手が増えないといけない」と指摘していたが、日本のボランチ全体がそこに向き合う必要があると言っていい。

 それを鎌田がよく理解し、ボールを奪い切る部分に磨きをかけ、そのうえで卓越した攻撃センスを発揮できるようになれば、森保監督も文句なしに彼をボランチに据えるはず。クラブと代表で同じポジションを担える状況の方が本人にとってもスムーズだろう。

「CLとかブンデスの上位対決とかになると、お互いサッカーをするので、守備でもより狙いやすいんですけど、ブンデス下位のチームとかとやると、やっぱりハメに行ってもGKにロングボールを蹴り出されてしまうことが多くて、競り合いだったり、肉体的なところがすごく多くなってくる。そういう事情はあるにせよ、自分も競り合いの部分だったりはもっと成長できると思います。今、大事なのは、選手としてのクオリティを上げること。CLもあるし、ブンデスもあるので、まずは試合に出続けることですね」

 その言葉通り、ここから始まるリーグ、ポカール、CLの超過密日程をしっかりと乗り切るところから全てが始まる。その先にチームの勝利、そして攻守両面で激しさを増した鎌田大地が見られるとしたら、それ以上の収穫はない。

 彼のボランチ参入は守田英正、田中碧らには脅威を与えるかもしれないが、競争激化は必ずチームにいい相乗効果をもたらすはず。かつて自身も鎌田と似たようなタイプだった名波浩コーチがどのようなアプローチを彼に仕向けていくのかもいくのかも気になる。

 少し気が早いかもしれないが、3月24日、28日の第2次森保ジャパンの初陣が今から楽しみだ。カタールの地で「自分が代表を引っ張っていく」と宣言した鎌田大地の進化を興味深く見守りたい。

取材・文=元川悦子

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By 元川悦子

94年からサッカーを取材し続けるアグレッシブなサッカーライター。W杯は94年アメリカ大会から毎大会取材しており、普段はJリーグ、日本代表などを精力的に取材。

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