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W杯の切符を掴んだ韓国代表…立役者の元Jリーガー、キム・ジンスのキャリアを紐解く

2022.02.04

[写真提供]=韓国プロサッカー連盟

 かつて日本でプレーした元Jリーガーが、韓国代表をワールドカップ出場に導く活躍を披露した。

 韓国は1日、中立地UAE・ドバイのアール・ラーシド・スタジアムで行われたFIFAワールドカップ・カタール2022アジア最終予選第8節でシリア代表に2-0で勝利。2試合を残して10大会連続11回目の本大会出場を決めた。

 この試合で先制点を決めたのは、元アルビレックス新潟で現在はKリーグ王者の全北現代モータースでプレーする左サイドバックのDFキム・ジンスだった。

■Jリーグから欧州、そしてアジア各国で活躍

 今から10年前の2012年、J1リーグを戦っていた新潟に当時19歳のキム・ジンスは加入。在籍期間は2シーズン半とそう長くなかったが、リーグ戦では通算66試合に出場し、才能の片りんを見せつけた。

 その後、2014年夏にはドイツのホッフェンハイムに移籍するも主力定着まで至らず。特に最終年は冬の退団まで一度も出場機会を与えられず、2シーズン半で通算34試合の出場に終わった。

 ただ、2017年の全北現代移籍で韓国に戻って以降は目覚ましい活躍を見せており、同年シーズンにはKリーグ年間ベストイレブンに選出。2020年夏にアル・ナスル(サウジアラビア)に移籍するまで3度のリーグ優勝を経験すると、2021年には夏に1年半のレンタルで全北現代に復帰した後、チームの5年連続となるリーグ優勝に貢献している。

■代表通算2ゴールの不思議な共通点

 そんなキム・ジンスは韓国を率いるパウロ・ベント監督からも信頼を受けており、シリア戦では前節のレバノン代表戦に続き2試合連続で先発出場。前半には不用意なバックパスで相手に決定機を与えた場面もあったが、53分、右サイドバックのDFキム・テファンが上げたクロスを高い打点で頭に合わせ、チームに貴重な先制ゴールをもたらした。

 代表通算2点目となったシリア戦のキム・ジンスのゴールは、約3年前の2019年1月22日、AFCアジアカップ2019準々決勝バーレーン代表戦での代表初ゴールと偶然の縁がある。というのも、2得点のどちらも同じ試合会場であるアール・ラーシド・スタジアムで決めたものだからだ。

 初ゴールが生まれた当時、キム・ジンスは同点で迎えた延長戦に値千金の勝ち越し弾を決め、韓国を勝利に導いた。得点のシチュエーションも、右サイドバックが上げたクロスに逆サイドから飛び込んだキム・ジンスが頭で合わせるという、今回のシリア戦と似通ったものだった。

 キム・ジンス自身、同地での縁は覚えていたようで、シリア戦後の記者会見では「ゴールした記憶があったから、会場に着く前から気分が良かったのは事実」としつつも、「まさか3年前と同じここでゴールすることになるとは思わなかった」と驚きを伝えていた。

■逃し続けたW杯出場……カタールで悲願の出場へ

 キム・ジンスはこれまで2度、ワールドカップ本大会目前にして出場を断念する不運に見舞われてきた。2014年ブラジル大会では最終メンバー23人に残るも右足首負傷で離脱し、2018年ロシア大会では開幕3カ月前の左ひざじん帯損傷で落選を余儀なくされた。

 その後も、2020年12月には右足のアキレス腱を断裂する重傷を負い、一時は選手生命の存続も危ぶまれた。それでも、約8カ月にわたるリハビリの末に昨年8月に実戦復帰すると、同年10月のアジア最終予選で1年10カ月ぶりに代表復帰。そして今回、自らのゴールで韓国のワールドカップ出場をたぐり寄せてみせた。

 1992年生まれの同い年には、FWソン・フンミン(トッテナム)をはじめ、FWファン・ウィジョ(ボルドー)やMFイ・ジェソン(マインツ)など代表の主力メンバーも多いキム・ジンス。はたしてカタール大会で悲願のワールドカップ初出場はかなうのか、今後のさらなる活躍に期待したい。

文=姜 亨起(ピッチコミュニケーションズ)

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